その6
2月5日
どうやら、日記が冒険者の中で流行り出しているみたいだ。
どのような、心踊る冒険が書いてあるのかと思って、見せてもらったが、プラム様は、ほぼグルメリポートだし勇者は私の観察記録だった。
個人情報侵害ということで勇者の日記は暖炉にくべたかったが、日記を書くことの大変さは理解している。
特別に目を瞑って返却したが、頭の中が花畑であることを露呈するだけの日記を友人に見せたようだ。
「勇者、日記書いてるって? 見せろよ~」
「あぁ、いいぞ」
勇者に恥という言葉はないのか。
「愛されてるわね♪」
勇者の日記は話題になり、私の友人も見せてもらったそうだ。
やはり燃やすべきだったろうか……。
ちなみにプラム様のグルメリポートは、資料的価値も高いとのことで引っ張りだこだそうだ。
日記に描いてあるイラストも上手だからなぁ……。
天は二物を与えずっていうけど、あれは嘘だな。
2月6日
石清水さんの「魔女の館」に遊びに行った。
「うふふ!人を呪うなら任せて!」
こんなに、朗らかに笑う人だっただろうか。
まるで、水を得た魚のようだ。
「惚れ薬ありますか?」
勇者が私をチラチラ見ながら、そんなことを言うので、手の平を思いっきりつねってやった。
2月7日
サブマスター(ルナ)の家に遊びに行った。
前々から誘われてはいたのだが、ようやくお互いの休日が重なったのだ。
ルナは昨年2月に生まれた従妹を溺愛している。
まぁ常軌を逸しているとは思うが犯罪の域までは達してないと思う……たぶん。
ルナのお母さんが作ったミートパイ、おいしかった。 店を出せるレベルだと思う。
2月10日
ギルド協会本部のお偉いさんが来た。
「国の最高戦力が、何をこんなところで油売ってるの?」
そういえば新人を鍛えるためと称して難易度の低い依頼しか受注せず、ギルドでお喋りを楽しんだり、飲み歩きしているところしか見てない。
ガルシア様が敵前逃亡したため、プラム様が代わりに叱られていた。
2月27日
「夫婦喧嘩はギルドでは仲介できません」
受け付けの前に、デカデカと、そう書きたい……出来れば個人名付きで。
3月1日
何かのついでにギルドに来るという人も多い。
難易度の高い張り紙を見て笑っている野次馬に告ぐ。
それ(浮気調査)の依頼主は君の奥さんだからな?
3月2日
断るのが馬鹿らしくなって受け入れることにした、とんでもコーナーの受けがいい。
我がギルドでの稼ぎ頭のウォルターさん
いわく「癒される」そうな……
みんな楽しそうに笑い転げているもんな。あっちの世界で言う、バラエティーみたいなもんか。
こっちの世界、娯楽少ないもんなあ。
楽しませてくれたお礼に、とクエストを解消してくれたりするので依頼人も喜ぶ結果になっている。
今まで悩んでいたことが、こんなに簡単に解消するなんて。
もっと早く気がつくべきだった。
3月1日
たまたま顔見知りに遭遇したので会釈した。
そのまま通り過ぎようとしたのだが、おばさんの持っている袋の中から猫が頭を出した。
金色の瞳の黒猫だ。
たまに道端で見かける猫だったが、飼い猫だったのか…
ほっこりした。
3月4日
勇者の妹がギルドに殴り込みにきた。
胃が痛い。




