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01 新米下女・レイレイ

 ――人攫(ひとさら)いに遭った。


 市井(しせい)のごくごく普通の娘であったレイレイ。ある日、朝食の材料を調達するために山菜を取ろうと出かけていたところ、後宮の女官(にょかん)狩りに遭遇してしまう。


 ひょんなところから下女という立場になってしまった。下女とは、後宮内の身分をピラミッドの序列に表すと、一番低い身分のことである。レイレイの実家はそこそこの平民といったところで、正直に言うと貧しい。当然、下女スタートというのは身分相応なのであるが、この煌(きら)びやかな後宮という場所に対し、仕事が洗濯、掃除といった地味なものばかりというのには、ため息が出てしようがない。


 全く二、三年もすればこの退屈な生活から出られるだろうなどと、侮(あなど)っていたのが間違いであった。市井での生活と違い、後宮での生活はレイレイにとってかなり刺激のない毎日であった。


 それもそのはず、後宮という場所はその性質上、皇帝の純血性を守るほか、男性官僚などによるクーデターなどを防ぐため、女官や下女といった女性らのみで暮らしが構成されている。そのため、異性との交流をする機会というのは全くというほどなく、年相応の娘にとっては少々辛いものがあった。


 レイレイは今年で齢(よわい)十四。彼女が仮に現代に生きていれば、中学二年生。まさに思春期真っ只中という年齢であるというのに、異性との出会いがないというのはなんと哀れなことか。


 それに、だ。後宮で刺激のある生活を得たいのなら、無論、身分をグレードアップする必要があるが、そのためには妃(きさき)や帝(みかど)に寵愛(ちょうあい)を受けられるよう努力せねばならない。だが、それを叶えるためには、なんとかして彼らの前で夜伽(よとぎ)の指名などを受け、一気に身分を挙げてもらう他ない。

 しかしながら、レイレイにはそんな高貴な方々の目に留まるような特別な容姿があるわけでもなく、むしろ悲しいことに、みすぼらしい、とまではいかないが至って平凡である。


 黒髪のお団子ヘアに、やや白い肌。猫のように吊り上がった目。背は平均よりやや高いくらいで、スタイルも痩せ型だがこれといって平凡。女としての魅力はまだまだ発展途上といったところ。


 まあ、ラノベの主人公にありがちな、平凡容姿のモブみたいなのだ。レイレイってヤツは。

 だが、そんな退屈な毎日を送っていた彼女の元へ、とある噂が回ってくる――。

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