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異世界税関の日々  作者: あかべこ


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6/7

異世界税関の朝

就職して(させられて)から、一番面倒なのは職場までの通勤だと思う。


地下鉄や電車は馬鹿みたいに混んでて嫌いなので天気がが悪くない限りは小型二輪で通ってる。高校の時にアニメ見て欲しくなってかなり大変だったが、頑張って取っといてよかった。


税関のあるビルにの裏手には小さな立体駐車場と駐輪場がついてるので、駐輪場の方にバイクを停めると「おはよー」と声がかかる。


カタッポのブラッシング中らしい平野さんがひらっと手を振ってきたので「おはようございます」と軽く返す。


カタッポは今日も元気そうである。かわいい。


「ブラッシングってここでやってるんですか?」


「業務前にやらないと毛が抜けて利用者さんに迷惑かかるからね」


ブラッシング後の抜け毛をスッと嗅いでから「今日もいい香りだねぇ」とつぶやいて抜け毛をゴミ袋へ入れる。


「さすが犬グランスおじさん」


「犬グランスおじさんってなに?!」


「近くの高校の子たちが『犬を撫でた後手に残った匂いを嗅ぐ変態がいる、たまに大きな足が一本白い犬を連れてる』って話してるの見ました」


「俺ダァ……」


落ち込みながら頭を抱えてる。


この人、犬好きなのは間違いないんだけど対動物限定で奇行が出るから完全に不審者なんだよなぁ。見た目は決して悪くないのだが……。


「裏口で何してんの?」


「あ、浦川さんだ」


声をかけてきたのは浦川さんという、検疫所まとめのゆるい雰囲気のおじさんだ。


華やかさはないが堀が深い顔立ちやゆるい雰囲気が漫画とかに出て来る昼行灯おじさんを彷彿とさせる。


「カタッポのブラッシングです」


「んで、平野さんのあだ名が犬グランスおじさんって話をしてました」


「犬グランスって……。そういや成田空港の平野ってハンドラーが犬を構い過ぎてストレスでハゲさせたって話があったけど、もしかしてあれお前だったのか?」


「検疫の方にまで話が回ってる!」


平野さんの反応からするとマジらしい。


逆にこんなヤバい人だからこっちに飛ばされたのでは?と不安になる。うちの父親はマジで何考えてここに私を押し込んだのだろう。


「まあ税関に限らずここに飛ばされるようなやつは前の職場で扱いにくいって思われた奴が多いしな、そらそんな奴もいるだろ」


「浦川さんもなんかやらかしたんですか?」


「さーて、どうだかな。少なくとも税関の連中みたいにやべえ伝説は作ってないよ」


「やべえ伝説?」


「新婚3日で東京赴任させられそうになった後輩の代わりに来た大曲さんとか、仕事の厳しさで知られた鬼扇とか、高卒ながらポリリンガルで佐渡の翻訳機なんて呼ばれてた三つ葉とかな」


思ったよりすごいエピソードが出てきたな。


多分そういうことなら三角さんとかもやばいエピソードあるんだろうな。


「……後でエピソード聞いてみますね」


「お、聞いたら後で教えてくれよ。面白そうだし」

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