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『紅蓮の魔女』と『神速の配信者』  作者: 我王 華純
第一章 誕生『神速の配信者』
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第11話 『星崩の大魔宮』① グランドダンジョン突入

 グランドダンジョン『星崩の大魔宮』に挑戦する当日……


 俺たち四人は【ダンジョン統括省】に移送され、『星崩の大魔宮』の入り口へと向かっていた。


 どうやらダンジョンへどこかの山中に存在しているようで、俺たちは特別にチャーターされたバスで山道を移動している。

 周辺一帯は政府により完全に封鎖されており、何重にもバリケードが設置されており、厳重の出入りが管理されていることが伺える。


 「後少しで到着だ。各々準備しておいてくれたまえ」


 バスの中には俺たち四人の他に、鏑木支部長を始めとした政府関係者も何名か乗車している。


 バスの後部座席には、セイラさんと清十郎さんが並んで座っている。

 優雅な様子でバスの外の風景を眺めているセイラさんと、腕を組み目を閉じながらどっしりと構えている清十郎さんの対比が面白く感じられた。


 「……ふう、やっぱりちょっと緊張してきちゃったな」


 俺はというと、やはり緊張している。

 昨晩も色々と考えすぎてあまり眠れなかったほどだ。

 

 これから挑戦するのはグランドダンジョンだ。

 鏑木支部長によると、世界中に存在するダンジョンの中でも最難関と言われており、そこを踏破したものは歴史に名を残すと言われているほどのものらしい。

 そんな恐ろしいところに俺はこれから挑戦するのだ。

 まだダンジョンデビューして数日のこの……俺が!


 「大丈夫ですか?ちょっと顔色が優れないみたいですけど、どこか体調でも悪いんですか?」


 アイリーンさんが俺の様子に気付き、心配してくれている。


 「いや、体調は問題ないです……ちょっと緊張してるだけで……」

 「あら、そうだったんですね、大丈夫ですよ、ハヤトさんはいつも通りに配信に専念して頂ければ問題ありませんから」

 「……そうですね、ありがとうございます、精一杯頑張りますね」

 「はい、その調子です。心配しないでください、ハヤトさんのことは……」


 アイリーンさんは笑顔のままで俺の顔を覗き込むように言葉を紡いだ。


 「私が守ります」


 その言葉にドキッとした瞬間、目的地に到着したようで、バスが停車する。


 「よし、目的地に到着した。ダンジョン内に入ってもらう予定時刻の13時までは後30分程度ある。

各自、準備を整えておいてくれ」


 鏑木支部長がこちらに指示を出した後、バスから出ていってしまった。

 その後、残りの政府関係者も降りていき、最終的にはバスの中にいるのは俺たち四人だけになってしまった。

 このまま時間まで待つのか、四人の間に沈黙が走る……


 「……ねえ、少しお話しませんこと?」


 その沈黙を破ったのはセイラさんだった。


 「せっかくこれから協力してグランドダンジョンへ挑戦するんですもの、お互いコミュニケーションを取ってもっと団結しましょうよ!」


 セイラさんが放つ言葉は正論そのものだった。

 だが、俺の隣でその言葉を聞くアイリーンさんの表情はどこか浮かないようにも見えた。


 「駄目ですよお嬢様、あちらにはあちらのペースというものがありますから」

 「だって、折角の機会なんだからみんなで力を合わせて挑みたい。わたくしはそう思いますわ」


 清十郎さんが見かねて諫めてくれるが、セイラさんは止まらない。


 「あの……アイリーンさんは大丈夫ですか?」

 「はい?ええ、私は大丈夫ですよ?」

 「あっ、そうですか、それなら良いんですけど」


 ついさっき、俺のことを心配してくれたアイリーンさんへ今度はこちらが気遣いの言葉を掛けた。


 どうも、アイリーンさんはセイラさんに対しては何か思うところがあるようだ。

 セイラさんと絡む時だけ、僅かに様子がおかしくなるように思えるのだ。


 「あの……アイリーンさん」

 「はい?何でしょう?」

 「上手く言えないんですけど……困ったことがあったら気にせず何でも言ってくださいね」

 「……はい!ありがとうございます!」


 俺の言葉に笑顔で応えるアイリーンさん。

 多分、アイリーンさんは俺には本当のことは教えてはくれないだろう。


 それでも、何かしらの力になれれば……


 そんな本心からの一言だった。


 「よし、時間だ!四人ともダンジョンの入り口へ向かってくれ!」


 時間の到来を告げに鏑木支部長がバスに入ってくる。


 ……いよいよだな。

 俺は更なる鼓動の高鳴りを感じる。


 「いよいよですわね、清十郎、気合を入れていきますわよ!」

 「はい、お嬢様」


 セイラさんたちの気合も十分だ。


 「アイリーンさん、それではよろしくお願いします!」

 「はい、一緒に頑張りましょうね」

 「ええ、頑張りましょう!」


 今のアイリーンさんは先ほどとは違い、朗らかな笑顔で優し気な雰囲気を醸し出している。


 バスを降りると目の前に巨大な宮殿のようなダンジョンが姿を現した。


 これがグランドダンジョン『星崩の大魔宮』……つまりダンジョンの最難関の一角。


 そんなものが目の間に存在し、尚且つこれからそのダンジョンの中に突入することになるのだ。


 四人で並び入り口の前に立つ。


 「現在12時59分……たった今13時になった!いつでも突入してくれても構わんぞ!」


 鏑木支部長の合図で四人共に足を踏み出す。


 グランドダンジョン『星崩の大魔宮』の攻略が今始まったのであった。

 

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