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ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~  作者: mimiaizu
第1章 悪童編
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協力する少女と情報

 ローグの決断を聞いたルドガーとミーラは、その後も必死に説得を続けた。


「事の重大さを理解しろよ! 相手は国そのものになるんだぞ!」

「危ない橋をわざわざ渡るようなものよ!」

「そう言われてもな……」


 しかし、ローグの意志は折れることはなかった。遂に二人は渋々ながら諦めたが、ミーラはある条件を出した。


「ロー、どうしてもというのなら私にも協力させて!」

「な、何を言うんだ!? 嬢ちゃんまで!?」

「……ミーラ」


 ミーラの言葉にルドガーは度肝を抜かれた。ローだけなら仕方がないが、ミーラが協力するのはおかしい。彼女は今、魔法なしなのだ。


「今の私でも、頭のいいローなら何かに利用できるでしょ! ローは魔法なしから魔法持ちになったんだから!」

「お、おい、嬢ちゃんよ! それとこれとは話が別だろ!」

「もちろん、最初から協力してもらうぞ」

「「ええ!?」」


 今度は二人そろって驚いた。ミーラは最初は断られると思っていたために、いきなり受け入れられるとは驚くほかない。ルドガーもローグが受け入れるとは思わなかったのだ。


「え? え? いいの? 本当に?」

「自分で言ったんだろ? それにお前には俺を手伝う理由があるだろ? 償いたいのは嘘だったのか?」

「あ、うん、そうだよね! な、なら私は……」

「冗談じゃねえぞ! 何言ってんだ! お前正気か!? この嬢ちゃんに何をさせるってんだよ!?」


 ルドガーは怒鳴る。それもそのはず、ミーラは魔法なしというだけじゃなく、左半身を大火傷している。そんな彼女まで加担させるなど、ルドガーの正義感が許せない。


「魔法なしと容姿のことを気にしてるのか? それなら対策がある」

「なんだ!? 対策ってのは!? どっちの問題も解決するってのか!?」

「その通りだ」

「「!?」」


 ローグの言葉に二人は言葉を失った。どっちの問題も解決できる、その言葉が意味することは……。


「魔法なしの問題の解決案として、俺が村人から奪った魔法の一部をミーラに与える」

「何!? その魔道具はそんなこともできるのか!?」

「そ、それじゃあ、私の火傷は、どうなるの?」

「回復魔法を使う。もちろん、これも村人たちから奪った魔法だ。ミーラの火傷も治せるはずだ。そのついでに、魔法協会にばれないように姿も変えよう」

「ぼ、坊主……」

「ロー……」

「ルドガーさん、あんたがそれでも心配だというなら、あんたも協力してれないか? 与えられる魔法はまだあるから?」

「な、な、な、何だって!?」


 ミーラがローグに協力することそのものが反対だったルドガーは、思いがけない提案をされてしまった。


「……坊主、何言ってやがる……。今更俺に魔法協会と戦えというのか!? 一度負けたこの俺に!?」

「ああ。経験者がいれば心強いと思うんだが?」

「んなっ!?」

「…………」


 ローグの提案を聞いたルドガーは、とても受け入れられないと思った。一度負けた上に魔法を奪われ、外町で生きていくしかない身の上になったのだ。もう一度戦っても同じことの繰り返しになるに決まっている。そうとしか思えないのだ。


(こいつは何もわかっちゃいない! こいつの過去には同情できるが、やろうとすることが滅茶苦茶だ! 現実が見えてねえ!)

「ふざけんのもいい加減にしろ! お前は……」

「勘違いするな、誰もあんたに直接戦えとは言っていない。そんなことをされても困る」

「は?」

「え?」


 ルドガーはローグの胸ぐらを掴んで怒鳴りつけたが、ローグはその言葉を遮って話を続けだした。さっきの言葉とは矛盾したことを言い出したのだから、ルドガーも意味が分からなくなった。ルドガーは落ち着いて最後まで話を聞いたほうがいいと判断し、ローグの胸ぐらを放した。


「……どういうことだ、俺を戦力にするんじゃないのか?」

「俺があんたに求めるのは情報だけだ。あんたなら魔法協会の内部構造、人物関係、戦力のことをよく知ってるはずだからな」

「あ、ああ、そうだな……」

「あんたはそれを俺たちに与える、その対価に俺はあんたに魔法を与える。俺が求める協力はそういうことだ。あんたは間接的に魔法協会と戦えばいいだけだ」

「……そういうことか」

「ああ、俺たち二人のために知ってること全てを話すだけだ。それだけでいいんだ」

「………ロー、ルドガーさん………」


 ルドガーはしばらく何も言えなくなった。そのまま考え込んでしまった。


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