没案だった計画
夕方。
結局、ルドガーはもう少し考えてから決めるということになり、明日の昼までに決める約束をして解散という形になった。ルドガーは外町の中心にある家に戻ることにしたが、ローグはミーラが寝泊まりする小屋に泊まることにした。それは、ローグがミーラと一緒に泊まることを意味する。
「坊主、何かするつもりじゃないだろうな?」
「ルドガーさん、心配は無用です。私は何されても問題ありません。ローが望むなら私はこの身を……」
「二人とも、言いたいことは分かるが、俺がミーラの小屋に泊まるのは昼間の時みたいなことがあった時のためだぞ」
「え? 昼間? あっ!」
「また、追手が来た時のためか……」
昼間は、バルムドとハイドという魔法協会の追手がやってきた。うまく倒したが、また来る可能性もなくはない。ローグはそのための対策として、ミーラと同じ小屋に泊まることにしたのだ。ここなら、町外れにあって、人気が少なく戦いやすい。ルドガーとミーラは納得したが、ルドガーはあることも思い出した。
「そういえば坊主、バルムド達なんだがいつまで眠っているんだ? その魔道具の……」
「こいつは『魔封書』な、あいつらは【睡眠魔法】『仮死睡眠』をかけてあるから、俺が起こさない限り絶対起きない、何をされてもな。不安ならあんたが処分してもいいぞ?」
「……そうか、ならこいつらは俺が責任をもって預かろう」
「し、処分ってまさか……」
魔封書を見ながらローグは、彼らの生死をルドガーに預けた。ミーラはさすがにそのやり取りの意味が分かったようで、言葉に詰まる。
「なら、今日はこれまでだ、何かあったらすぐ来いよ」
「ああ、そうするよ。多分大丈夫だけどな。それじゃまた明日」
「おやすみ、ルドガーさん」
ルドガーはそのままバルムド達を抱えて、外町に戻った。町外れの小屋にローグとミーラだけだ残った。ルドガーが見えなくなったところで、ローグはミーラに声をかける。
「なあ、ミーラ」
「な、何!? ど、どうしたのかな?」
「この小屋は二人分寝れるスペースはあるか?」
「あ、ああ! そういうことね! だ、大丈夫よ、いざとなれば私が外に出るから……」
「それじゃ意味ないだろ」
「え?」
ローグは小屋の中に入り、隅々まで見て回った。汚くはあるが魔術できれいにできる程度のもので、二人分が寝れるくらいの広さがあるようなので安心した。これならローグに必要なものは揃っている、没案だった計画のために必要な準備が。
(ルドガーがもう少し心配をしていたらこの計画は実行できなかったな、ミーラの奴隷化という復讐計画が)
「ロー? どうかしたの? 何か気に入らないのがあった?」
「魔術できれいにしただけさ、後は周りに魔術を張るだけだ、そうしたらもう寝よう」
「え、もう寝るの? うわっ、こんなにきれいになってる! すごい!」
ミーラが小屋の中がきれいになってることに感動している間に、ローグは小屋の周りに魔術を張り巡らせた。これから行う計画をだれにも邪魔されないように。魔術を張り終えたローグはミーラに問う。
「……ミーラ、お前は何をされても問題ないといったな、それは命だけじゃなく身も心もいいのか?」
「……!……うん。私を好きにしてもいい、私の命も、か、体も……こんな私だけど……」
ミーラはローグの言葉の意味を察して顔を赤くして答える。そういう覚悟もしているようだ。ローグはミーラと小屋の中に入ってミーラを優しく抱きしめる。
「ッ!? え? え!? ええ!?」
「ミーラ、お前はこれからずっと俺のものになれ」
「ロ、ロー……はい……」
少し離してミーラの目を見つめるローグを見たミーラは、目を閉じて答えた。ローグはそんな彼女に対し、小声でつぶやいた。
「【外道魔法・色欲】『操らぬ人形』」
ローグの魔法が彼女を変えるために発動した。彼女の心を壊して、『奴隷』として作り直すために。ローグは魔法をかけながら、ミーラに口づけをかわす。そして、そのまま押し倒した。それから……。




