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文武平等  作者: 風紙文
第四章
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合宿一日目終了

俺達が宿に戻った時にはすでに三夜子達、そして月乃の後輩2人が来ていた。

何でも偶然出会ったとか、月乃を追ってきたとか、色々な理由があって本音は分からないが、とりあえず来たらしい。

机を囲んだ先ほどと同じ状態に、開いていた一辺に2人を加えた状態で集まった。

「さて、自然を堪能したところで、最初の問題に戻ろうと思う」

最初の問題、そう、まだ明日以降の予定が未決定なこと。

誰か何か思い付いたか? と大和先生が訊ねると、

「あの……」

おずおずと手を挙げたのは、横矢だった。

「えっと、横矢だったな」

「はい。実は先ほどその話をお聞きして、よろしかったらあたし達の案を採用していただけませんか」

あたし達、とは横矢と稲影の事だろう。

「どういう案だ?」

「はい、簡潔に言いますと、あたし達と勝負してみませんか?」

勝負?

「まさか緋鳴、アンタ、アレの事言ってるの?」

知っているらしい月乃が訊ねると、

「その通りです月乃先輩」

横矢は首を縦に振った。

「うわ久しぶりねそれ! 凄くやりたいわ!」

月乃が何やらわくわくしだした。勝負と聞いて喜ぶとは、いったい何をするんだ?

「具体的に申しますと、勝負の内容はチャンバラみたいなもので、頭につけたボールを叩きあうものです」

「おぉ、何か楽しそうだなそれ。皆はどうだ?」

「アタシはやりたいです! 去年出来なかったので!」

月乃は即賛成、

「面白そうだからボクもやってみたいです!」

続いて押川も賛成、

「……全員が賛同するのでしたら、自分も参加します」

早山は多数に合わせ、

「……私もやりたい」

三夜子も少し考えてから、賛成した。

「俺もやってみたいです」

俺も賛成。剣道ではないチャンバラなんて小学生以来だ。

これで自動的に早山も賛成になり、

「よし、じゃあ明日は横矢の案を採用させてもらう、それで良いな?」

パズル部部員が声を合わせて返事をし、こうして明日の予定が決定。

「それで緋鳴、場所とか時間はどうするの?」

「それはこれから決めますけど、やはりあの社の前が良いかと。明日迎えに伺います」

「よろしくね、緋鳴」

明日の予定は、横矢達中学生とのチャンバラ勝負となった。





……side 珀露


「ただいまー」

「お帰りー、お兄ちゃん」

家に帰ってきた僕を、さすがに起きていた緑羽が迎えてくれた。

「どこ行ってたの?」

「緋鳴と一緒に駅に、電車の時間を調べてきたんだ」

「遅れちゃマズイもんね、オープンキャンパス」

「うん、それとさ緑羽」

僕は駅前で出会った月乃先輩達パズル部の皆さんの事を話すと、

「ほんと!?」

緑羽が詰め寄ってきて、玄関との板挟みにされてしまった。

「う、うん、牧津の宿に泊まってるんだって」

「まっつーの所か〜……ここからじゃ一時間くらいかかるね……往復で二時間、その間に晩ごはんになっちゃうだろうし……」

あ、緑羽が行く気だ。月乃先輩と晩ごはんを天秤にかけてうんうんと唸っている。

「緑羽、とりあえず家に上がらせてよ」

「あ! だったらさ!」

何か閃いた緑羽の顔が更に近づく。

「ち、近いよ緑羽」

「月乃先輩が居る内にアレやろうよ! 皆さん呼んで対抗戦とか!」

「あぁ、うん、それならもう緋鳴が提案したから。明日あの社の前に集合するんだよ」

「ひなちゃんナイス! もちろんボクも行くからね!」

「うん、もう頭数に入ってたよ。とりあえず僕を家に入れてくれない?」

「うわぁ〜、うわぁ〜! 久しぶりに月乃先輩と遊べるんだ〜、明日が楽しみだね、お兄ちゃん!」

「うん……楽しみだから……僕を家に上がらせて……」


その後、緑羽の興奮が収まるまで僕は玄関に居続けたのだった。



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