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文武平等  作者: 風紙文
第三章
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勉強会in

縦15センチ、横5センチ程の板。中央に縦と横に線が引かれてチェックのように見え、それによって描かれた正方形9個の内、右端の1つだけは窪んでいる。

そしてもう1つ、縦3、横約1センチの小さな板。柄は無く、ちょうど窪みに入る形だ。

これが、あの剣のパズル錠だ。

前と比べると、剣のままで持っていたのとでは使用の際に中のパズルを動かすという行為が、板を窪みに入れるというのに変わっただけで特に不便は無くて助かった。

それと三夜子曰く、気配が薄くなったらしい。自分ではよく分からないが、ホウさんの話によれば剣を持っているというのが他者にバレにくくなったみたいだ。

そんな出来事があった日から時は進み月曜日。今日から、学校の部活が全て休みになった。ついにテスト週間になったのである。

「それじゃ、テスト勉強頑張るように」

今5限が終わり、先生が念を押してから教室を出ていくと、クラスがざわめき出した。


後一週間かー


でも終われば夏休みだよ


けど勉強ヤだなー


色々な会話が飛び交う中、俺は鞄に教科書を閉まい、一人教室を出た。テスト週間ということもあり、勉強に集中しろと言われて家の手伝いもこの一週間は無しになったので、俺はとりあえず、パズル部の部室へと向かうことに。

「……創矢」

「うぉ!?」

その時、いつの間にか隣に三夜子が並んで歩いていた。出るところまでは一人だったのに、いつの間に。

「急に現れたな……」

「……普通に近づいた」

「だったら並ぶ前に声をかけるか、肩とか叩いてくれ」

俺の気配は薄くなったそうだが、三夜子はむしろ気配が全く無い。

「で、どうした?」

「……先生が」

「大和先生か?」

こくりと頷いて、紙の束を取り出した。

「……コレを使えって」

紙の束を突きつけられた。それを貰い、見てみると、

「コレって……そういうことか」

それは割引券、駅前にある有名なファミレスのドリンクバー半額券だった。

「……どうする?」

つまり部室は開けないから、ファミレスで勉強会を開けという大和先生の厚意だな、コレは。

せっかく厚意を無駄にするのはよくない。しかし、それを俺が決めるのはどうか、だよな。

「部長に任せるよ。やるなら部員にメールを送るなりで連絡が必要だしな」

「ん……じゃあ」

三夜子は携帯を取り出し、操作を始めた。

「……送信」

早いな、いったいなんて書いて送ったんだろうか。

と、その時、携帯が鳴った。携帯を開き、届いたメールを開く。差出人は……もはや言うまでもなく。

「何故俺にまで送る」

「……部員だから?」

なんで疑問系で返す。間違いではないんだが俺この場にいるし、というツッコミはもう言わないでおこう。

メールの文面はとても分かりやすく書かれていた。前に送られてきたのと似てるな、文字が減って、少し言葉を変えただけなら、履歴から使いまわしてあの速さなのかもしれない。

「また冬野に送ってないよな?

もし前回の履歴からならあり得るので一応聞いてみる。

「……大丈夫、今度は外した」

なら安心だ。改めてメールを見て、冬野と大和先生のアドレスが無いことを確認した。

「この文面的には、部室前で集合するんだな?」

「……そう」

並んで歩き、俺達は部室へと向かった。





「いらっしゃいませー! 何名様ですか?」

「5人で〜す」

ファミレスへと来たパズル部の全員は、定員の後に付いていき、席へついた。

「ご注文がお決まりになりましたら、そちらのベルで及びください」

水を運んできた定員の言葉を聞いた後に割引券を見せると、500円以上注文する必要があったため、メニューを見て全員で手を伸ばせそうなフライドポテトを2つ注文。

「それでは、ドリンクバーのグラスはあちらになります。ごゆっくりどうぞ」

定員が去ると、まず月乃が口を開いた。

「まさかここで勉強会を開けるなんてね」

「考えたこと無かったな」

地元でもあるため、ここには何回も来たことはあるが、実は学生だけで来たのは今日が初めてだ。

「ボクはやったことあるよ、陸上部の先輩がここでバイトしてたから」

「……私は無い」

会話が少し続くと、フライドポテトが運ばれて来た。

「さて、勉強会なんだし、ちゃんと勉強しないとね」

言うなり月乃は鞄から教科書を取り出すが。

「でもその前にドリンクバー行かなきゃ」

押川は席を立ち、

「行こ、みゃーさん」

「ん……」

三夜子を連れ、ドリンクバーへと向かった。

「ちょっ、早くない?」

「いや、遅いぐらいだろ」

もう頼んだものが来たしな。普通ならその前に持ってきててもおかしくない。少し喋りすぎたようだ。

「全員で一斉に離れるのはマズイだろう、俺が残ってるから、2人とも行ってくるといい」

「悪いわね早山、行きましょ創矢」

俺と月乃は席を立ち、ドリンクバーへ。その途中、先に行った押川達が戻ってくる。

2人とすれ違い……

「?」

ふと、席に戻る押川が持つグラスを見た。だが押川の背によってそれは叶わなかった。しかし一瞬見えたそれは……アレは、なんだ?

「どうしたのよ?」

「いや、何でもない」

見間違いだよな? それかここのドリンクバーが凄いのか、押川が凄いのかだ。

ドリンクバーに到着。グラスを持ち、ドリンクの種類を見る。色々とあるが、やはり定番のお茶類か炭酸か。

「無い……よな」

「何が無いって?」

「いや、何でもない」

見る限り、押川が持っていったのと同じ色の飲み物はここには無い。

「んー、どれにしようかしらね」

グラスを持って品定めをする月乃を横に、俺はさっきの飲み物が気になって仕方なかった

「創矢は何に……創矢?」

「え、あ、どうした?」

「さっきからどうしたのよ、上の空じゃない」

「いや……実は」

「あ、もしかして……さっきのやつね?」

どうやら、月乃も気付いてたようだ。

「実はさっきからアタシも探してたのよ。リリの奴、いったい何をいれたのかしら」

「さぁな……けど、多分だが」

「……一つだけじゃない。それだけは言えるぞ」

押川達と入れ違いでやって来た早山が、俺達の会話に入ってきた。

「アレからは何種類もの香りを感じた。炭酸も幾つか入っているだろう」

何故早山がそれを分かったかは置いといて、押川は、かなりカオスなミックスジュースを作成したのが分かった。

「きっとここの全種類入ってるわよ、アレ」

「でも、紫色だったぞ?」

普通紫色ってブドウ系の飲み物か、作っても赤と青を混ぜて出来る色。ここにブドウジュースは無いし、青い飲み物も無い。どうやっても紫色は出来ない筈なんだが。

それから少し、色々と考察を重ねるもどれもピンと来るものはなく、結果として、

「きっとアレよ、混ぜたら化学反応を起こしたのよ」

信じがたいが、それ以外考えられなくなった。

「さて……どうする?」

「気になり過ぎて勉強にならないと言うなら……本人に聞いてみるのがいいだろう」

やはり、それしかないか。

「よし……行くか!」

「えぇ!」

「あぁ」

なんだか妙なテンションになった俺達を加え、勉強会は開始された。





とりあえず、しばらくはテストがあるし、剣に関われないかもしれないな。


次回より少しの間、武川と異なる視点で物語が進行していきます。

実は一章から使っていたのですが、主人公である武川と、別の誰かの視点、その2つで一つの章を進めていきます。

二章では月乃と早山の2人。一章では、まだ謎の多い原良。

では今回、三章は……

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