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文武平等  作者: 風紙文
第三章
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西洋対中国

「まず言てしまえば、その剣は百本ある内でも特にレアな代物だ」

この剣がレア物、そりゃあパズルを解いた先にまたパズルがついているこの剣、今までに見たそれらとは違うとは思っていたが、まさかそこまでとは。

「レア物故に能力も高い、レベル4にして、レベル5とほぼ同等の力がある……まぁレベルの概念など使い手の腕でどうとでもなてしまうがな……んぐ」

言葉の終わりに、ホウさんは肉まんを含んで噛まずに飲み込んだ。さっきからそうだが、熱くないのか?

「しかしだな、言てしまえば私はその剣についての80パーセントぐらいを語ることが出来る……だがそれはやめておこう……んぐ」

「何故ですか?」

そんなに知っているのならぜひ聞きたい。しかしホウさんは肉まん入りの袋に手を入れながら。

「語るべき相手が違うな。しがない情報屋からよりももと聞きたい主が創矢にはいるだろ……んぐ」

言葉の度に肉まんを噛まずに飲み込んでいるのが気になるが……ホウさんよりもその情報を聞きたい人? つまりその人はこの剣のことを知っている人ということだよな。思い当たるのは、一人しかいない。

「ところでだ、何故剣のままで持ち歩いていル? いざという時には便利だろうが、そのせいで私のように気付く者がいるのだゾ?」

「あ、それは」

そもそも剣を見た時からこの形だったので、擬態形状という形への戻し方が分からないからだが。

「なるほど、擬態形状に戻せないのか」

まだ言ってないのに、ホウさんは答えを出した。

「そのパズル錠は簡単だ。中の板の一枚を外してしまえばいいのだ……んぐ」

肉まんを飲み込んでから、ホウさんは剣を覗き込み、

「コレだ」

一枚の板を指差した。板の中で一枚だけ、線が二本書かれているものだ。そのまま差した指を右端に持っていき、一角の上へ。

「コレをここへ動かせば外せる。そうすればパズル錠を閉ざせる」

「分かりました」

俺は肉まんを平らげ、早速パズルを動かした。二本線の板を右端に持っていける道筋を考える。

「それが上手く行けば良いことばかりだ。持ち運びが楽になり、板を外しておけば他の者に使われる事もない……なにより」

ホウさんは肉まんの入った袋を、ベンチに置いたまま立ち上がった。

「剣の気配が消えて、狙われる確率が下がるぞ」

「え……?」

「ようやく見つけました」

その言葉に顔を上げると、公園の入り口に一人の男が立っていた。

妙な格好、と言ってもいいだろう、何せ白いタキシードを着ていたのだから。

髪は男にしては長めの金髪、顔立ちもどこか西洋風で。それらを合わせるとまるでおとぎ話に出てくる王子様のような姿だ。

男はその手に一輪の赤いバラを持ち。

「剣の気配を頼りにこちらへ来てみましたが、まさか二振り同時に出会えようとは、あなた方が持つ剣、狩らせていただきますよ」

剣、狩るという言葉が、あの男が剣狩りの人物だということを実感させた。

そうだ、あの男の特徴、初めてホウさんに会ったときに聞かれた男の特徴と同じだ。それに、

「しかし、本当に薄い剣の気配だけを頼りに行けば、二振りの剣……これは私の日頃の行いが良いから……否!私が美しいからです!」

あの男、とんだナルシストだった。まぁ普通のナルシストを知らないからあれがどの程度かは分からないが、それらを踏まえてあの男はホウさんが探していた人物にして、大和先生が言っていた剣狩りの者だと分かる。

「おい、創矢」

ホウさんが小声で、あちらには聞こえないように声をかけてきた。

「お前は錠を閉めるのに専念しろ、万が一。いや億が一に剣が取られても板が無ければただの塊だからな」

「わ、分かりました」

億が一は聞いたことないが、よほど無いって意味だろうな。

「別に急かしはしないが、なるべくなら外し方と組み込み方を覚えておけ、便利になる」

するとホウさんは服の袖からある物を取り出す。見た目は龍の絵が描かれたキーホルダー、だがそれが何であるかはすぐに分かった。

「その間私は、アイツをボコボコにしておく」

カチリ、と何かが填まるような音が鳴り、ホウさんの手にあったキーホルダーが輝きだし、形を変えた。

光が消えた時、そこにあったのは剣だった。

縦に長く、薄い片刃、柄には紐が巻かれ、刃にはキーホルダーにもあった青い龍の絵が書かれている。あの剣、モデルは青龍刀みたいだな。

「さぁ、かかてくるがいい剣狩りの男」

右手に剣を持ち、体を斜に構えて左手の指を閉じた掌を前にして出した。あれがホウさんなりの構えなんだろう。

「ふふふ、私もナメられたものですね。二対一ではなく、一対一で挑もうとは」

男は持っていた赤いバラを自身の口元へ持っていくと、

「いいでしょう、まずはあなたの剣から狩らせていただきます」

バラに息を吹き掛けた。その瞬間、バラが赤く燃え上がった。

「それが剣だたか」

「さぁ……参りますよ!」

炎が消えた赤いバラは、剣へと姿を変えていた。

柄には対した特徴は無いが、刃は長く、真っ直ぐではなく波打っているような形をしている。

あれは……フランベルジェか。炎の模して造られた剣で、あの刃で切られると肉が妙に削がれて治療を困難に、さながら炎で焼きただれたようにしてしまうらしい。

西洋式のフランべルジュと、青龍問刀の中国式の戦いだな。

「ふっ」

先手はホウさんだった。一息と共に足を踏み込んで相手の間合いを詰めながら、剣を横に薙ぐ。

ギギギィン!!

波打つ刃のフランベルジェとぶつかったことにより、普通よりも鋭い音が鳴った。


ギギィン!


ギギギィン!


丁丁発止、刀などで互いに激しい音を立てて打ち合う様子。という意味の四字熟語だが、今の2人はまさにそう言える状況だった。

「なかなかやりますね、しかし、その程度では私には勝てませ…」

剣狩りの男が余裕の言葉を言う最中、

「はっ!」

ホウさんは剣を下に押し相手の剣ごと地面に向けさせると、

「ほっ!」

その状態のまま、左足を軸にした右ハイキックを男の顔面目掛けて放った。

「な!?」

慌てた剣狩りの男がバックステップで避けた為に、ハイキックは空振りに終わった。

「な、なんてことするんだあなたは!」

男も思ったか、確かに『剣の舞』で肉弾戦を使うなんて予想外だった。

「私の顔にキズがつくじゃないか!」

そっちかよ。

その言葉に、ホウさんは嘆息の息を吐いて答えた。

「先も言ただろ、私はオマエをボコボコにするとな。それに戦闘気力を削っただけでは剣を取た後に普通に動ける。取た後にも相手には行動不能でいてもらうほうがこちらとしては助かるからな」

なるほど、剣を取った後でも、その人は身体的に傷をおっている訳では無いから奪い返しに来る可能性もある。ならばホウさんの戦い方も良いかもしれない。人を傷つけるのは、どうかと思うけど。

「ふふふ……なるほど、あなたも彼方の人間ですか?」

彼方の人間?

「それがどうしタ?」

「いえ、やはりそちらは野蛮だなと、『剣の舞』において剣のみならず、手を出すとは」

「足だがな」

いやそういう意味じゃないですよホウさん。

「分かてないようだから、教えてやる」

ホウさんは剣を新たに構えて、発した。

「『剣の舞』はそう簡単に勝てるものではない、剣における能力には限界がある、そうなたら後は自身の力に頼るのが当たり前だろう、剣の能力を自身の体術と共に、文武平等に使うのが勝利の鍵だ」

え、今、文武平等って……? その言葉確か、あの人が……

「ふむ、今あさりと使てしまたが、妙にしくりとくる。あのバカもバカなりに言葉を考えるようだな……そういう意味では、私はあのバカに興味があるらしい」



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