勧誘の理由
「はい、もしもし」
『あ、花香? アタシよ』
「雅さん、どうかしたんですか?」
『えぇ、実はね、上手くいったら部員が手に入るかもしれないの』
「え……」
『これでやっと部活が作れるわ』
「は、はい……そう、ですね」
『待っててね花香、明後日にはきっと、部員を増やしてみせるから』
「あ、あの……雅さん」
『ん? どうかしたの?』
「い、いえ、すみません。何でもないです」
『そう? じゃあまた後でね』
「はい……」
『それじゃね』
「……」
戦いが明日に迫った今日、部室に押川がいなかったので俺は先生に戦いのことを話していた。
「決着か、ついに武川も勝敗を持つんだな」
「そういうことになりますね」
「……私も」
「三夜子も戦うのか?」
「……うん」
「へぇー、ま、頑張れよ」
その時、扉が叩かれた。
「開いてますよー」
大和先生が言うと、扉が開き、入ってきたのは、
「あの……」
町田だった。
「先生に用か?」
「い、いえ……実はですね、雅さんのことで」
月乃のこと? そういう町田は俺の方を向いて話した。
「あの……武川君、雅さんと何かありました?」
「何かって?」
「その、部員になるかどうかで賭けをする、とか」
もしかして、『剣の舞』のことか?
「あー……多分そうかも」
「やっぱり……」
町田は胸の前で両手を握り、
「武川君、ごめんなさい」
深々と頭を下げた。
「え?」
「雅さんは悪気があって武川君を勧誘をしてる訳ではないんです……全部……私のせいなんです」
町田のせいで、月乃は俺を勧誘していた?
「どうしてそうだと?」
「それは……」
「もしかして、あの眼帯も町田のせいなのか?」
大和先生の問いに、町田は頷いた。
「はい。そうです……」
「なるほどな」
「先生、月乃の眼帯の理由知っているんですか?」
「あぁ、俺は押川から……正確には押川が電話した表方から聞いたんだけどな」
表方って、学校の情報通と呼ばれている二年生のだろうか。あんな珍しい名字は学校に2人は居ないだろうから、多分そうだろう。
「そうか、これで理由が繋がったな」
「どういう理由ですか?」
「それについては、私に話させて下さい」
町田の言葉に、大和先生は空いた席の一つを進めて座らせ、俺達はその前に集まると。町田はゆっくりと語り出した。
月乃の部活勧誘、そして、眼帯の理由を。




