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文武平等  作者: 風紙文
第二章
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勧誘回避作戦

「…で、逃げ切れたのも束の間。同じクラスだから休み時間の度に狙われるようになった、という訳だ」

「……最近は?」

そう、先生から頼まれ事を受けて三夜子と話をするようになっていた頃、何故か月乃は現れなかった。

多少気にはなっていたが、気にし過ぎてクラスへ赴いた途端に飛び出してきそうな感じがしたのでやめておいた。

やる時はやる、ちょっとやそっとじゃ諦めない、月乃の口癖にして座右の銘だと自分で語っていた事があったからな。となると、原因は、

「きっとあの怪我のせいだな」

「……眼帯?」

それしかあり得ない。そういえば前回の家庭科の調理実習の時も、同じ班だった月乃はいなかった。

「他に考えられないな。何があったかは知らないが、せめて治るまで大人しくしてればいいのに」

「……今は平気なの?」

「今?」

この部室にまでは隠れながら来た為に、見つからずに済んだ、ここに俺がいるなんて月乃は知らないだろう。

「多分、平気だ」

「……もしバレたら?」

もしもバレたらか……絶対追われまくるな、俺にまた安息の場所が無くなってしまうのと一緒だな。

「何とかバレないようにしないと……あ」

「?」

首を傾げた三夜子を見ながら、思い出した。

「しまった……あの時に言ったんだった」

パズル部に入ったということを、本人の目の前で。

「……時間の問題?」

まさにその通りだ。文化部の部室練を見ていけばいずれ見つかる。

そうなってしまったら……

「か、かくなる上は……」

月乃を説得して、部活への勧誘を止めてもらうしかない!

握りこぶしを作りながら決断した……のまではいいんだが、

「どうやれってんだ……」

握った手をほどきながら、机に置いた。それが出来てるなら今になってこんなに困ってないっての。

「はぁ……一体どうすれば」

手を組んで目を閉じ、思考に集中する。

正面切って話す? いや、今までに何度もやっている。

遠回しに断る? アイツは遠回しに聞く耳をもたないだろう。

……ダメだ、他の手が見つからない。

「……創矢?」

「ん?」

呼ばれて目を開けると。三夜子の顔がすぐ近くにあった。

「うおぉ!?」

驚きのあまり後ろへ下がろうとしたが、椅子に座っていた為に、椅子ごと後ろへと倒れ込んだ。

「痛っ……」

「……大丈夫?」

朝方、月乃に聞いたように尋ねてくる。

「い、いきなり何だよ?」

「……悩んでみたいだから、何か手伝えるなら」

「いや、それは別に…」

「おーす、皆真面目にやってるか?」

教室の扉を開け、パズル部顧問にして担任の大和先生が入ってきた。

「ん? これどういう状況なんだ?」

部屋の状況を見て首を傾げる

「えっと、その…」

とりあえず、経歴から話さないといけないな。





「なるほどな」

俺は月乃のことを、追われ始めた理由から、先ほどの出来事まで簡潔に説明した。

「つまり、その月乃って女子の勧誘を辞めてほしいって訳だな」

「はい、何か策はありませんか」

「んー、あれだな、ちゃんと理由を言うのが一番だな。ちゃんとした理由を聞けば諦めもつくだろ」

「それが出来たら苦労はしてませんよ」

何回試そうとして、右から左に聞き流されたか。

「そんじゃあ……アレだな、まずはちゃんと聞いてくれる場を作るべきだな」

「それは、どうやって?」

「さっきの話に出た町田っていう女子をこちらの仲間にして、ちゃんと話を聞いてくれるように説得してもらうんだ。ほら、よく言うだろ? 王を倒す為にまずは馬を倒せ、っての」

それって、将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。だよな?

相変わらず大和先生は国語が得意ではないようだ。

しかし、その手は有効かもしれない、まず月乃は理由を聞いてくれていないんだちゃんと聞いてさえくれれば、諦めてくれるかもしれない。

「という訳で……三夜子!」

今まで話に入っていたのかいなかったのか分からなかった三夜子を大和先生は指差し。

「町田と話をするんだ!」

「……何で?」

そりゃそうだ、いきなり町田と話せと言われても理由が分からない。

「そりゃもちろん、同性の方が会話はやりやすいもんだろ? 町田は女子、武川は男子、三夜子は女子、となれば2人の方が会話成功率は高まる筈さ」

「……そうなの?」

何故俺の方を見て聞く。

「まぁ……確かにそうかもしれないかな、同性の方が共通の話題が出来そうだし」

「……」

「と、いう訳さ、三夜子」

「……分かった」

弱くだが、三夜子は頷いた。



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