同時刻、別の場所で
憎い。アイツ等が憎い。
僕は何もしてない。ただ廊下を歩いていただけ、ただ目が会っただけで、体育館の裏に連れてかれた。僕が何をしたというんだ。
あぁ、憎い。
でも、僕には反撃できる力なんて無い。
傘を持って振ったところで、あの人達の様には使えない。それは分かっている……
どうしたら復讐できるか……
そんな時、あの人に会った、
そして聞いた、
もらった、
解いてみた、
解けた、
使ってみた、
あっさりと使えた、
なので、
復讐してみようと、思います。
人の通りが無い裏通り、俺はトボトボと歩いていた。
「ったく……こうなったのも、全部あの可笑しな帽子野郎のせいだ」
あの男に出会う前までは、上手くいってたってのに。
「はぁ……ん?」
少し先に見える通りの奥から声が聞こえた。
「…………はせとだ!」
「…か…なん…っ……だ」
「オ………にや……た……返しに来たぞ!」
よく聞き取れんが、何だかケンカ腰だ。
かといって進行方向を変えるわけにもいかない。この道が近道だからな。
終わるまで少し遠くから傍観しいようと思って足を進めていくと、声の主達を見つけた。
黒髪と、金髪と、メガネの男。黒髪と金髪の前に、メガネが立っている形だ。
「だからなぁ、俺達はんな事される意味が分からねぇって言ってんだよ」
「とぼけるな!」
ケンカ腰なのは予想外にもメガネの方、見た目ではケンカなんかするようには見えない方だ。
「オマエ等が分からなくても、僕にはあるんだ!」
「そうかよ、で? 俺達をどうするんだって?」
「勿論、復讐さ」
そう言ったメガネの奴は、服のポケットから何かを取り出した。
見た目はただの板、手に収まる程度の大きさの板だ。まさかアレで戦うつもりなのか?
メガネの奴は板に指を滑らせ、板に描かれた模様を動かしている。
アレは……まさか!
「見るがいい!」
カチン
何かが填まる音がした。
途端、通りが光に包まれ、思わず目を瞑った。
目を開けた時、メガネの奴の手には、
剣があった。
「はっはっは!」
「な、何だよソレ!」
「復讐の道具さ!」
フォン
メガネが剣を振るった。それが黒髪の横腹に当たる。
瞬間、
ドガァ!
「がっ……!」
「な!」
横の壁に叩きつけられた。
黒髪はズルズルと地面に落ちていき、痙攣を起こす。
「かはっ……」
「て、テメェ!」
金髪が拳を振り上げ向かう、
「止めろ!」
俺はその場に出て、金髪を止めようと声をかけた瞬間、
ドガァ!
「ぐはっ……!」
黒髪と同じ目にあった。
「はっはっは! 見たか!」
メガネは高笑いで、倒れている二人を見下ろす。
「だが、まだ許さないぞ」
メガネは倒れている金髪に向けて、剣を振り上げた。
ヤバい……!
剣が振り下ろされる。
ギィン!
「……ん?」
金髪に当たる寸でで、伸ばして間に入った俺の剣が防いだ。
「誰ですか、あなたは」
メガネは剣を肩にかけた。俺も剣を元の長さに戻す。
「もういいだろ。やりすぎだ、これは」
「違うね、まだやりたりないよ」
「……」
「ふん、間が指した。今日はもうヤメだ」
肩に剣をかけたまま、メガネは去っていった。
「……何なんだ、アイツ」
あの制服は、倒れてる二人と同じ……




