剣とは、文武平等に
七ヶ橋大和と七ヶ橋三夜子まさかの兄妹にして、担任と生徒であり、その驚きにやっと慣れた頃、俺と七ヶ橋兄妹は寮へと向かって歩いていた。
「しっかし、武川に頼んで正解だったな」
「急に何ですか」
「いやな、武川も知ってんだろ? 三夜子の事」
今にして思えば、兄妹だがら七ヶ橋を名前で呼んでたんだよな。
「まぁ……一応」
その頃七ヶ橋は、
ガッ ガガッ ガッ ガッ
傘を地面に引きずっていた。
「傘を壊そうとしてると」
「他には?」
「傘が剣だと」
「ほぅ、三夜子がそこまで話したのは武川が初めてだ。三夜子の初めてを手にしたんだな」
「言い方悪くないですか」
「気にするな」
ガッ ガガッ ガッ
「後、傘を壊すのを手伝っていたら、剣狩りだという人に会いました」
「ほぉ……でも傘はある。て事は武川が守ったのか?」
「いえ、突然現れた謎の人物に助けてもらいました」
「は? 謎の人物に助けてもらっただ? それ本当か、三夜子」
七ヶ橋はこくりと頷いた。
「はぁ、謎の人物ねぇ……助けてもらったらならせめて名前だけは聞いておけよ」
「……次があったら」
「まぁいいか、俺を呼んだのは、剣の事を武川に聞かせる為だろ?」
こくり。
「んじゃ、よーく聞けよ」
まず言っておく事だが、剣の呼びは『つるぎ』な。『けん』じゃないからな。
剣ってのはこの世界に全部で100本あるとされて、形は様々、同じ物は2つは存在しないとされている。
「あれ? 昨日会った男は同じ剣を2つ持っていた気がするんですが」
「そこは後で説明するから、今は聞いてくれ」
剣は必ず何かを司っていて、個々に能力が存在するんだ。
「そんな物が百本もあったら危なくないですか?」
「その為に剣には様々な規制があるんだ」
まず、剣で人を傷つける事は出来ない。剣を人体に通すと、通り抜けて傷は一切つかない。その時に剣が傷つけているものは、
「人の闘志、ですよね」
「お、知ってんのか」
「七ヶ橋に聞きました」
じゃあ話が早い。剣ってのは、人の闘志を傷つけている。その闘志を削り切ると動けなくなり、敗北になるんだ。
「だが能力は別だ、アレはものによって体を直接傷つける事ができる」
「それじゃ剣自体が傷つけなくても危ないですよ」
「まあ、そういった奴とか力任せの奴に渡ったら危ないな」
だが問題無い、その為に剣には鍵がついている。
「七ヶ橋が壊そうとしている理由でしたっけ」
「それだ」
鍵にはパズル錠って名前があってな、1~5までレベルがあって、レベルが高い程能力が強く、パズルが難しいとされている。だから力任せの奴とかには使えないんだ。
「因みに三夜子の持つ傘、それは聞いた話だとレベルは4らしい」
「レベル4、二番目に難しいんですか」
「……だから壊す」
ガッ ガッガッ ガガガッ
「そんな簡単な物じゃないぞ、さっき言ったみたいな力任せに壊されちゃ困るからな」
そしてそのパズル錠を解いた者が、その剣の持ち主になるんだ。
「でだ、パズル錠を解いた時現れるのが、剣だ」
剣にも様々な形があるのはさっきも言ったが、その上更に様々種類に分かれてる。
大きく分けて6つ、片手剣、大剣、双剣、短剣、両手剣と、刀だ。
片手剣を普通の剣と考えて、二本あるのを双剣。
刃が広くデカイのを大剣。
逆に薄く短いのを短剣。
柄が長いのを両手剣。
片刃で鍔があるのが刀にカテゴリーされているんだ。
そして中にはこのカテゴリーには入らない物もある。それらを含めて全100本の剣が存在している。
「二本持っていたってのは双剣の証だろう」
そして、ここからが重要だ。
何故剣が存在するのか……
「それはな……」
「……」
「……分かんねぇ」
「え……そこまで言っておいて分からないですか」
「だがな、存在する理由は分かってるんだ」
この世界に100本ある剣、その存在理由は、人の願いを叶える為だ。
「ということは、七ヶ橋が剣の鍵を開けようとしている理由は」
「簡単さ、願いの為だよ」
「願い……」
その条件ってのが、剣を使って、他の剣と戦い、100勝を納める事らしい。
「とりあえずこれだけ説明しておけば良いか。まぁそれでもまだ知られていない何かが剣には隠されているらしいんだよな。俺が今まで話した事も、ある情報家から聞いた物だ」
「次に、剣狩りを行っていたって話をしたな。それの理由は、剣を手に入れる為だな、何故だかは分かるか?」
「願いの為、ですね」
「その通り」
100本ある剣、その1本1本に願いを叶える力があるから、剣狩りをして願いを叶えられる数を増やそうって魂胆なんだ。
「この剣を手に入れようとする目的なんて他に無ぇよ。願いの為、戦って叶える為だから、三夜子も剣を手に入れようとしてるんだ」
そして、最期に言える事がある。
頭の良いだけの奴は剣の舞で負け、力の強いだけの奴はパズル錠が解けない。
パズル錠を解く頭脳と、剣を扱える運動神経、そのどちらもが揃っている『文武平等』にある奴だけが、剣を使って願いを叶える事が出来るのさ。
「文武両道、じゃなかったでしょうか?」
「良いのさ、文武平等で」
「はぁ……良いのかな」




