いつか来るはもうすぐ来るなのかもしれない
二年目の文化祭二日目。私以外のメンバーは今年でそして今日で本当に最後の文化祭だ。
まあ私もみんなが卒業するタイミングで生徒会は引退する事にしている。新しい生徒会の人も庶務の御局様なんて嫌だろうしね。
二日目前半の来賓の案内を終えた私は、見回りがてら、色々な所を回っていた。
次はどこに行こう、と思っていると、背後から私を呼ぶ声が。
「ルーシーさん!」
振り向くとそこには、セイラ・ユーストンの姿があった。
「……セイラさん! アスター王国にいらしてたんですね!」
「ええ! 急に決まったから連絡出来なかったの。当然だけどロイも来てるわよ!」
そう言って振り返ったセイラの視線を追うと、穏やかな笑顔でこちらに歩いてくるロイの姿。
「だめだよセイラ。人とぶつかってしまったらどうするんだい? 走ってはいけないよ」
「だって、探していたルーシーさんがいたもの。あなたって本当に綺麗だからどこにいても目立つのね。ね、ロイ?」
「そうだね。見つかってよかった。……久しぶりだね、ルーシーさん」
「ええ、お久しぶりです。……午後から空いているので、よろしければご案内しましょうか? エリアスさんも見回っているので、どこかで会えると思います」
「あら、いいの? ルーシーさんとエリアスさんに会えたらなと思って来たから嬉しいのだけど、気を遣わせていない?」
「ええ、気を遣って言った訳ではありません。私でよければ案内させて下さい」
アスター王国の名物が売っている屋台や、魔法学園ならではの魔法ショーだったり。色々説明しながら楽しく回った。
私とセイラさんの方を微笑ましそうに見ていて、話しながら歩く私達を、人とぶつからないようにさり気なく気を配ってくれているロイはやっぱり素敵だ。
セイラさんと話していても、意識はロイの方にあって。
ロイの瞳に映るのはセイラさんなのに、一々ときめいてしまう自分が本当に嫌になる。
「あ、エリアスさんだ」
光を反射した銀の髪を揺らすエリアスは、小走りでこっちへやって来た。
「やあ、エリアス君」
「お久しぶりです。お二人とルーシーの姿が見えたもので」
「それで、急いで来てくれたのね」
「……ええ。俺もこれから空いているので一緒に案内しますよ」
「まあ! ありがとう! よろしくお願いします」
魔法のショーは人気で、遠くの方で見た為もう少し近くで見たかったと話したセイラさんに、エリアスが魔法を披露していた。
学生ながらも王国随一の天才魔法使いだ。そのクオリティにセイラさんは大興奮で、しかもちょっとした人集りができていた。
「エリアス君は、本当に優しい人だね」
「はい! いつもなんのメリットが無くても助けてくれるんです。本当に優しい人だと思います」
「……エリアス君も苦労してるんだね」
「え?」
ロイがよくわからない事を言い出す。
エリアスは超絶美男子でかなりおモテになるし、セレブだし、貴族だし。苦労しろという方が難しいと思う。
「……今はわからなくていいんだろうね。なる様にしかならない時もあるしね」
「あの、意味がよくわからないのですが…」
「……独り言みたいなものだから気にしないで。それにしても、二年連続で案内してもらっちゃったね。今年は生徒会の仕事でもないのに、本当にありがとう」
「お礼なんて!来ていただけただけでも、すごく嬉しいですから!」
本当に嬉しいから自然とそんな言葉が笑顔と共に出てしまう。そんな私を見るロイの瞳が、少し寂しげに揺れた気がした。
「……どうかしましたか?」
「いや――」
「ルーシー! 次はルーシーの魔法見せてあげて」
ロイの言葉をタイミングよく遮ったエリアスは珍しく私の名前を呼んだ。
「……え……」
「たのんだよ」
「……わかりましたよ!」
人集りが出来たそこで、エリアスの後に魔法を見せるとかハードルが高すぎるでしょう。本当に勘弁してほしかったが、断れるはずもなく。
パフォーマーよろしく大袈裟に腕を高くあげた私は、フェニックス、ユニコーン、グリフォン、ペガサスといった伝説の生き物を象った炎を、大空に向けて次々と打ち出していく。
おおっ…!! と、セイラさんや周囲が沸き、最後は天に昇る大きなドラゴンを打ち出して、盛大な拍手を頂いのだった。
……なんとかなりました。
私が必死に魔法を披露している側で、ロイとエリアスは二人で何か喋っているようだった。
「今日は本当にどうもありがとう! 魔法もとても素晴らしくて、凄く楽しかったわ!また近いうちにお会いできたらいいわね」
「とんでもありません! また長期休暇にそちらにお邪魔いたしますので、よろしくお願いします」
「ああ、いつでも歓迎するよ。君の魔法薬もすごく人気があるしね。今後ともよろしくね。エリアス君も」
「はい。お気を付けて」
そうして、私とエリアスは二人を見送った。
「エリアスさん、ロイと二人で喋ってましたけど、いったい何を?」
「男同士の話。だから教えられない」
「……そんな言い方されたら更に気になるのですが」
「ずっと気にしてれば」
エリアスはそう言って、スタスタと歩いていってしまった。
☆
生徒会のメンバーが誰も参加しなかった魔法大会も無事に終わり三年の卒業も見えてきたその時期、それは、突然やってきた。
"結婚式 招待状"
ロイ・カールトン セイラ・ユーストン
一週間、学園を休んだ。
何もする気が起きなくて、ほとんどベッドの上にいた。
開いたままずっと机に放置された招待状。
覚悟は出来ていると思っていたのに、このざまで。
文化祭にロイとセイラが来た時、気づかないふりして笑顔でいたけど、予感したのか違和感はあった。
今までのロイとの距離感が少し何か違うような、遠くなったような、でも嫌な雰囲気とかそういう感じではなくて、なんと言い表せばいいのかわからないほどの、小さな違和感だった。
少し寂しげに揺れた瞳も、どうしてだったのかわからないけど、関係あったのかもしれない、なんて思ったりして。
ひどくぼんやりした一週間だった。
☆
久しぶりの学園、生徒会室。休んでいて申し訳ありませんと謝罪した私に、みんな、たまにはゆっくり休んだ方がいいと笑って言ってくれた。理由も聞かないでおいてくれた。
無言で無表情を向けてくるだけのエリアスは、一人だけ唯一、私が一週間も休んだ理由を知ってる。
☆
「ああ、もう卒業なんて早すぎるよ! もっと学生でいたい!」
タキシードに身を包んだディランは、駄々っ子のようにそう言った。
「私も寂しくなります。ほとんどの時間をみなさんとこの生徒会室で過ごしたんですもの」
「うわーん。ルーシーちゃーん!!」
そう言ってしゃがんで抱きついてきたディランの頭を子供のように撫でる。本当に年上なのに年下みたいで、弟がいたらこんな感じなのかな、と失礼な事を考えてしまう。
「最後までそれすんの」
そう言ったエリアスに引き剥がされるディランは、最後ぐらい、いいじゃないかあ!と、叫んでいた。
この流れは数えきれないぐらいやったのだ。今日で最後なんて信じられない。
レオナルド殿下は、王城で政務をしつつ、国王陛下であるお父上についてまわり、勉強なされるとか。
ハロルドさんも、レオナルド殿下の補佐としてこれからも横にいるらしい。
ディランは護衛騎士から騎士団に入り、更に腕を磨くと言っていた。
フォーレンは、ご実家を継ぐべく本格的に働くらしい。
エリアスは元々、学園入学当時から魔法省にスカウトされていて、在学中も時々顔を出していたらしく、卒業後そのまま入省するという。
みんな忙しくなるであろうし、中々顔が見られなくなると思うとすごく寂しくなる。
卒業パーティの会場に入り、私は生徒会としてここにいるので、端の方で大人しく見ている。
三年間一緒に学んだ者同士満遍なく踊れるようにと卒業生のみの参加だ。
さすがは生徒会。全員囲まれている。
楽しそうに踊る卒業生を見ると私まで楽しい気持ちになっていた。
「ねえ、君は踊らないの?」
そう私に声をかけてきた卒業生がひとり。
たまにこうして、学年が違う人に声を掛けられる事があった。昔のように特徴的な格好はしていないので、私がルーシー・ハワードと知らないのかもしれない。
昔の私を知っている同学年の生徒は基本的に、私に話し掛けてこない。生徒会の仕事で私がたまに喋りかけたりするぐらいで。
だから、こうして気軽に喋りかけられるのは少し嬉しかった。
たまに、こうして違う学年の生徒と喋っていると、相手が私の後ろに目線をやって、次の瞬間にはぎょっとした顔でその場を去っていく。
そしてその向けていた目線の先を見ると、必ずエリアスがいるのだ。
そして毎回『なにしてるんです?』と聞いても『…別に』とだけ言って去っていくのだ。
結構仲良く喋っていたつもりだったのに、私の話がつまらなかったのか、同じ人がもう一度喋りかけて来てくれることはなかった。そんな感じで全然友達が出来なかった。
「わたくしは生徒会ですので、ここに入れてもらっていますけれど、卒業生ではないのでダンスいたしませんわ。卒業生の皆様で楽しまれてくださいませ」
「いいじゃないか。学園の中心である生徒会の一人が踊ったって誰も怒らないよ」
「でも……」
「じゃあ端っこの、ほらあそこなら目立たないでしょ?」
ここまで踊りたいと言ってくれているのだし……と少し揺れてしまう。確かにちょこっと隅の方で踊っただけなら少し見られても誰も怒らない気もする。
「では、少しで宜しいのでしたら」
「もちろん、少しでも凄く嬉しい」
そう言ってニコッと笑った男子生徒に手を取られ、端の方に隠れるようにして移動した。
「君って、二年生の生徒会って事は、ルーシー・ハワードさんだよね?」
「ご存知だったのですか?」
「もちろんだよ。君と踊れるチャンスなんて今後はないだろうから、勇気を出してみたんだ」
あまり上手ではないステップだったが、一生懸命踊るその姿には好感が持てた。
「まあ、そうだったのですね。ではわたくしも勇気を出してよかったですわ」
「ルーシーさんって……本当に優しいんだね。しかも近くで見ると更に綺麗だ。僕の人生の中で断トツ。僕なんか相手にされないって思っていたから、今まで中々喋りかけられなかったんだ。だけど卒業のもっと前に勇気を出していればって後悔してる」
「お上手ですわ。確かにもっと前からだったらいいお友達になれていたかも知れませんわね。……あらもう戻らないといけないわ」
いつの間にか、曲が終盤に差し掛かっていた事に気づいた。
「ま、まだいいじゃないか。もう少しだけ君を見ていたいんだ」
「少しでもよいと仰ったではありませんか。お叱りを受けてしまいますわ」
「君の、綺麗な君のためなら叱られたって構わないよ。僕が君を守ってあげる」
いつまでたっても腰に添えた手を離さない。
……この人しつこくないか。
他のメンバーはともかく、エリアスに見つかったら何を言われるかわからない。この会場を出されるかも。
「あの、本当に離してくださいませ!」
「ダメだよ。もう離せないよ」
「何故ですっ。手を動かせば離せま――」
最後まで言い終わる前に、後からぐいっと引っ張られた。
ぐえっと声が出そうになるのをすんでのところで堪えた私を誰か褒めてくれ。
目の前には先程の生徒はもういなかったが、背後に気配がする。
近くのカーテンの裾が若干凍り始めているのが見え、死んだ……と、思った。
「……説明する猶予が、ほしい?」
私の耳元で優しく囁かれ、背筋が凍る。その声は確実に、今一番会いたくない人のものだった。
☆
ドンッと耳の横で音がする。
エリアスが壁に手を突いた音だ。完全に死角になったその場所に連れてこられた私は、ここまで怒った顔をされるとは思ってなくて、動揺する。
「……隅で大人しく見てるって言ったよね」
「え、ええ。ですけど、少しだけと言われて、無下に断るのも……お祝いの席ですし」
「ねえ。あの男があんたをどういうつもりで誘ったかわかってる?」
「は、はい。私の事を知っていて、今後私と踊る機会はないから、勇気を出したとお聞きしましたけど」
私がそう言うと、壁に突いてない方の手で顔を押さえて、長い溜息をはいたエリアス。
「とりあえず、もう帰って」
「な、最後の卒業パーティですよ!」
「あんたがじっとしてないのが悪い」
「今帰れば、生徒会の打ち上げが……」
「だめ」
「……本当に、だめ?ですか?」
私は顎を引き、下から上目遣いで見上げて、小首をかしげた。
「……だめ」
「……ほんとうに? こんなにお願いしても?」
こうなったら仕方ないと、リリー直伝上目遣いからの甘えた声という伝家の宝刀を抜いた。
「……次、いなくなってたらすぐに帰すから」
エリアスは私から、ふいと視線を逸らしそう言った。
――リリー、本当にありがとう。
最近エリアスがよく怒るのだと、聖女認定され一躍有名人となったリリー・レジェノにそう話すと、リリーは少し考えたあと何故か少し面白そうにニヤリとしながら、この技を伝授してくれた。
『あなたね……! 私がこんな事したら余計怒らせる事になる気がするんだけど』
『いいえ! 絶対に大丈夫です! 実は私もダレン様にお願い事をする時によく使うんです』
『確かにあなたがやれば効果的かもしれない……って見かけによらずあざといわね……』
『私、聖女なんて言われてしまってますけど、普通の平民の女ですから。女は多少あざとくなければですよ!』
『普通ってどういう意味か忘れたけど、まあ試してみるわ。笑ってしまって許してくれる事を期待するしかないけど……。逆にすべって余計怒らせてしまったら、なんか奢りなさいよ』
『大丈夫ですから! それに貴族の方に奢る機会なんて絶対ないので、逆に何かご馳走させてほしいぐらいです』
『……う、うん』
とその様な事があり、実際試した所、笑われる事無く大成功した訳である。
笑う所か耳を赤くして、もういい……。と初めて試した時のエリアスの反応には凄く驚いた。
リリーが太鼓判を押しまくったのは、この技がこれほどまでに凄かったからなのだろうと思った。
リリーは使いすぎるのはよくないとも言っていた。
このパーティの後は生徒会全員でお酒を飲むことになっていて絶対帰る訳にはいかなかった為、久しぶりに使わせて頂いたのだった。
☆
「三年間、お疲れ様ー!」
「ご卒業おめでとうございますー!」
「生徒会もみんなよくがんばってくれた」
そんな声からはじまった最後の生徒会での飲み会。ディランががっつり飲みたい!と言い出し、オシャレなお店ではなく、大衆的なお店に来た。
全員私服に着替えており、店にいる客達はここにレオナルド殿下がいるなんて、誰も思いもしないだろう。
「レオナルド様って、意外とどこでも馴染めますよね」
「ああ、私の長所のひとつかもしれないな」
そんな会話も許されるほど、生徒会の中ではみんなラフに話す。忙しかった生徒会なので、いつの間にかこうなっていた。
明日は全員予定を空けたということで、飲もう飲もう!と大はしゃぎだ。
「ルーシー聞いてよお。俺またふられちゃったんだあああ」
そう言いながら勢いよく机に突っ伏したディランは完璧な酔っぱらいで。かくいう私もそこそこ酔いが回っていた。
「好きな人にふられちゃうって辛いですよね、元気だしてくださいぃ。私がお酒に付き合いますからぁぁ!」
「いやいや、ディランがあちこち手を出すからだろ……」
とそう言う他の四人はお酒が強いので、まだまだ素面の様子。
「ルーシーちゃんっ! ハグして!」
「どうぞ! どんとこいです!」
椅子から立ち上がってディランを受け止めるべく両手を広げた私に、わーんっと向かってきたディランとの距離がゼロ距離になろうとした瞬間、私の服がくいっと引かれ強制的に椅子に戻される。そしてディランは派手にすっころぶ。
「エリアスさんっ! 酷いですよ! ディランさんが死んでしまいます!」
「そんな図体したやつが死ぬわけないでしょ。逆にあんたが潰されて死ぬんじゃないの」
確かにディランは可愛らしい顔とは違い背が高いし、引き締まってる。
よく、俺はこのギャップがいいと言われるんだと叫んでいる。
「でももうこのやり取りが見られなくなると思うと寂しいね」
「……そうだな」
そういうフォーレンに、同意するハロルド。
「今、この瞬間を! 楽しむ! ぞー!」
「ぞおー!」
いつも生徒会でこうしてずっと騒いでいるのはディランと私。
こんな夜更けまで男達に混じって大騒ぎしている貴族令嬢など、冷静に見ればとんでもないだろう。
エリアスいわく、ハワード公爵家が私に甘いのと、生徒会の信頼で成立しているのだと言っていた。
本当に有難かった。前世の娼婦時代はこうしてみんなで馬鹿騒ぎしながら飲むのが普通だった。それが楽しくて楽しくて仕方なかったのだ。
☆
かなりの時間飲み続け、ディランは完全に潰れ、護衛だというのにレオナルド殿下が率先しておぶっているのだが、それでいいのだろうか。
フォーレンも珍しく酔っ払っていて、ハロルドに肩を借りていた。
私も結構飲んで酔ってはいたが、まだ歩けるほどには意識がしっかりしていた。 エリアスが家の馬車で送ってくれるそうだ。
他の生徒会みんなにしつこいほど別れの挨拶をした私は、それを見て呆れているエリアスと共に、侯爵家の馬車に乗り込んだ。
「あんた、結婚式出席しないの」
ちっとも酔ってないらしいエリアスは私の正面に座り、触れたくない話題を振ってくれる。
「……今とても楽しい気分なのに、それ聞きますか」
「今じゃないとだめなんじゃないの」
今日送ると言ったのはそういう事か。お酒が入った今なら確かに素面で話すよりはましではある。
……変な酔い方してたら地獄の絵図になる所だが、今日は大丈夫だと、エリアスもわかっているらしい。
「……しますよ、もちろん」
「なら俺も出席する」
「私をエスコートしてくださいね」
「当然だよ。あんたひとりじゃ危なっかしくて見てられない」
「私、泣きません。笑顔でロイが幸せになるのを見てます。泣きそうだったら腕をつねってください」
「俺、本気でつねるけど大丈夫?」
「皮膚を引きちぎらなければ大丈夫です耐えます」
「……泣く前提みたいに聞こえるけど」
「私は、ロイと結婚して一番幸せな時に死んで、ロイを独りにしてしまったんです。今度は本当に幸せになってもらいたいんです。だから絶対笑顔で祝福します。……泣いたら引きちぎってもらってもいいです」
「……真顔で怖いこと言わないでくれる。……嬉し涙ならいいんじゃないの」
「嬉し涙が出るか、悲しい涙が出るかは、まだ、わからないんです」
「……とにかく引きちぎってほしいわけね」
「本当にエリアスさんはブレませんよね」
「あんたに一番言われたくないからね、それ」
エリアスに見守られ屋敷に帰った私は、ベッドの中で少しだけ泣いた。




