10話目! とある鍛冶師視点
「頼む!剣を打ってくれ!金なら払う!」
「帰ってくれ、アンタじゃ扱いきれんよ」
いつものやり取りに疲れを感じる。
俺の持つスキル「魔道鍛冶」は打った武器に魔法を組み込ませることができる。
それなりのコストや実力が必要で、組み込める魔法の種類も少ないが剣を魔力タンクの代わりにしたり、切り札としての魔法を本人の魔力の有無にかかわらず使える武器を手に入れたがる人は多い。
俺が組み込める魔法はたったの3つ。それも一つの加工物につき一つの魔法しか組み込むことができない。
さらにその三つとも使い勝手が悪い。使いこなせる人は少ない。
一つ目、巨大化。刃のある武器にしか組み込むことができない魔法。
発動することで持ち手は変わらないが刃の部分だけが大きくなる。
元の武器のサイズによるが大剣ならば家程の大きさにすることができる。
しかし欠点がある。重さは大きさに伴い増える。
決まったサイズにしか巨大化させることができない。
剣に込められる魔力だけでは巨大化させるには魔力が足りない。
二つ目、終焉ノ力。細長い加工物にしか組み込むことができない魔法。
発動することで細長いものの先端から魔法の光線を一定時間放ち続ける。
射程距離は高めの木の長さ程度で威力は岩を貫通する。
これにも欠点があり撃った後に再度使えるようになるまで一月ほどかかる。
操作を誤れば自らが大怪我をする。
細長いものの重さが数十倍になる。
三つ目、魔力貯蔵。金属製のものに組み込むことができる魔法。
組み込んだものに魔力を注ぐことで魔力を蓄えておくことができる。
蓄えた魔力を取り戻すことができる。
この魔法の欠点は魔力を10入れたとすると1しか蓄えられない。
10取り戻そうとすると1しか取り戻せない。
それらの操作は緻密な魔力操作が必要になる。
俺は使いこなせる実力を持つ人にしかこのスキルを使わないようにしている。
過去に一人だけこの三つとも扱えると判断できた奴がいた。
そいつには三つともそれぞれを組み込ませて武器を打ってやった。
そいつ以外に三つ共を使えこなせそうなやつを見たことはない。
そいつは結局すべてを使いこなした。
家程の大剣を振り回し、数トンはあると思われるロングソードを扱い、魔力の操作を完璧に扱う。
そいつは強かった。大したスキルを持ってないらしかったが実力は本物だった。
そいつに武器を渡してから25年がたつ。
そして最近新たな魔法を組み込めるようになった。
まだ使えこなせる奴には会えていない。
そいつならば扱える気がする。
そいつは旅に出たと聞く。
探しに行くか。
そう決めた




