表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
インフィヌート ~ダンジョンで倒れた冒険者を救う者の物語~  作者: コヨコヨ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/65

再戦

 レオンとヴィミは魔物を全て無視しながら地上に戻った。

 ウルフィリアギルドに救助カードを提出し、ルークス銀板四枚を得る。


 ――救助カードを回収する仕事より、人を探して助け出す方が報酬がいいんだ。


 レオンはルークス銀板二枚をヴィミから受け取った。

 その後、冒険者の癖で〈ステイタス〉を調べる魔道具に手を乗せる。


〈ステイタス〉

《アビリティ》

 Lv.1

 力:I31→I33 耐久:I33→I35 器用:D538→C658 俊敏:A840→A860 魔力:I13→I15


「え? 魔物を倒していないのに、数値が上がっているんだけど」

「ああ、レオンは知らなかったか。人間が救助カードで故意に人間を回収すると魔物の討伐と同じように《アビリティ》が上昇する。ダンジョン内だと人間も魔物扱いされるらしいな」


 キアズは眼鏡を掛けなおし、真顔で話した。


「な、なるほど。僕は二人を救助カードで回収したから、その分、能力値が上昇したのか」


 ――人を救助カードで救出すればするほど《アビリティ》が上昇する。つまり、魔物が倒せなくてもLv.2を目指せる。人助けしながら強くなれるなら、いくらでも働けそうだ。


 レオンは無意識に体に力が入った。


「ヴィミ、午後からは仕事しないの?」

「お腹が減って、仕事どころじゃないわ」


 ヴィミはレオンに背を向けたまま手を振り、ウルフィリアギルドを出た。


「じゃあ、午後は仕事しなくていいってことか」


 レオンは宝箱から見つけた古びた本が入ったウェストポーチに触れる。

 その後、昼食を抜いてルークス王国の国立図書館に駆け込んだ。

 ルークス王国で今まで使われてきた言語をかたっぱしから引っ張り出し、古びた本の文字と照らし合わせていく。

 すると、四〇〇年前に使われていた文章と似ていた。


「す、すごい。本当に四〇〇年近く前の品だ」


 学園に通っていたわけではないレオンが古文を解読するのは容易ではなく、非常に難航した。

 半日かけて最初のページの一番上に書かれている『英暦四四四年、八月八日』の内容だけ、現代語に解読できた。


『英暦四四四年、八月八日。ダンジョンの調査のため、遠征隊と共にインフィヌートに潜る。護衛は深層に到達した者たちだ。研究者たちだけで潜った時より安心感が段違いだ。今回は誰も欠けないことを祈る』


「どうやら、この古びた本は、『インフィヌート』の調査に来た研究者の日記らしい」


 レオンは四〇〇年も前からダンジョンが調査されていると知り、血が沸き立つ。


 ――早く続きを……、って、もうこんな時間か。


 図書館の閉館時間が迫っており、レオンはウルフィリアギルドに戻るしかなかった。

 古文が書かれた古い本は持ち出し禁止の書物に指定されている。そのため、部屋に戻ってから調べられない。


「この日記が宝箱から手に入ったってことは、著者が日記を落としたか、ダンジョンの中で息絶えたかのどちらか。どちらにしろ、すでに四〇〇年前に書かれた品だし、著者はすでに亡くなっているか」


 ☆☆☆☆


 救助隊に入って八日ほど経った。

 最近、レオンはヴィミと一緒に朝食を得て、仕事の内容を知らされてから『インフィヌート』に潜るという流れが定着していた。

 その後、図書館で日記の解読に勤しんでいる。

 今のところ、特に変わった話が書かれているわけではなかった。

 一日に一層降りていく記録が書かれており、現在五層の解読まで終わっている。


 レオンは午前七時頃、ウルフィリアギルドの食堂でヴィミと朝食を終えた。


「今日は一四層に行くわよ。救助カードを回収するだけだから、特に怖がる必要はないわ」

「中層か。また、フレアリザードと戦わないといけないんだね」

「もう、慣れたでしょ。ずっと逃げているだけじゃ、体が鈍っちゃうから戦っておいた方がいいと思うわよ」

「まだ、二回しか戦っていないし、上層のボスに慣れるっていう感覚がわからないよ」


 レオンとヴィミは早朝から『インフィヌート』に潜り、一二層まで駆け抜けた。


 両者がボス部屋に入ると、復活しているフレアリザードが広々とした洞窟の中で威圧感を放っていた。

 まるで初めて会った狂犬のように威嚇してくる。


「ど、どこを攻撃しよう」


 レオンは刃渡り二〇センチほどのナイフを右腰のホルスターから抜き取り、逆手に構える。


「フレアリザードの攻撃を躱しながら刃を巨体に滑らせるように振るえばいい。死にたくないなら絶対に受け止めちゃ駄目よ。受け流しなさい」

「ここ最近、魔物と戦っていないから……」

「うだうだ言わない。情けない男ね。自分の身は自分で守れるようになりなさいよっ」


 ヴィミは大声を張り上げる。

 あまりに正論過ぎてレオンは何も言い返せなかった。


 ――英雄ルークスが女の子に助けられているような男のわけがない。


 自ら先頭に立ち、仲間を鼓舞するカッコいい男。それが、誰もが憧れる英雄の姿だ。


 レオンは体が細く、筋力も並程度しかない。そのため、前衛職のような猪突猛進は出来ない。

 シーフは前衛職ではないため、突っ込む必要はない。だが、魔物を引き付ける仕事くらいこなせなければ、お荷物呼ばわりされる。


 ――僕が『聖者の騎士』とレベルが同じになった時、ノーリスやカリーと共に前に出て戦えたら、少しは英雄に近づけるかも。


 レオンは口角を少し上げ、視線を前に向ける。


「危なくなったら、すぐに止めを刺してよ」

「わかっているわよ。目の前で人が潰れて死ぬところなんて見たくないわ」


 フレアリザードが咆哮を放ち、砲弾のような重たい一撃が壁に衝突。

 すでにレオンとヴィミは入口付近におらず、フレアリザードを挟み込むように分かれていた。


「お、おい、トカゲ野郎。お前なんか、ち、ちっとも怖くないぞっ」


 レオンは拾った石をフレアリザードの眼球に投擲。『器用』の値が高いため、狙った箇所に的確に命中。


 フレアリザードは攻撃してきた彼を標的にした。

 後ろ足で地面を蹴りつけるように勢いよく加速し、大口を開ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ