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数多の世界が僕を呼ぶ。  作者: のんびり歩く
ツルンでプルンな世界
9/20

9・アンコムの恋





暖かな風が優しく二人を包み込み、祝福しているかの様に、ピンク色の花が雪の様にハラハラと舞い落ちる中。恥ずかしそうに、ソワソワとしながらも、頬を赤らめ、相手を潤んだ瞳で見つめる巨大アンコム。一方、魔王さんの方も優しく声をかけ、気を引こうとしている。


二人はゆっくりと近づき、熱い抱擁を・・・・・


抱擁を・・・?


「いったああぁぁぁいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・。」


魔王さんの絶叫が響き渡りました。

ま、巨大アンコムに抱擁されては、そうなりますよね・・・。

無数の足で、ボウリングの玉を包み込む巨大アンコム。球遊びをしている様にしか見えませんが、恋だと言うのなら、きっと巨大アンコムは抱擁しているつもりでしょう。


ちなみに、花びらですが、本当に降ってますよ。

とっても綺麗です。

そんな事を思っていたら、


「ポコ、この花びらみたいなの絶対触らないでね。」


「何なんですかこれ。 」


「愛の証だよ。」


説明になってないんですけど・・・


「愛の証ですか?」


「そうだよ。アンコムは恋をすると、この花びら降らすんだ、これはアンコムの卵みたいなモノなんだよ。これに触れると・・・ほら。」


あら、巨大アンコムに抱擁されている魔王さん・・・花びらが降り積もってますよ。

あれ?何だか少し色褪せてません?

花びらが魔王さんに触れる度、真っ黒いボーリングの玉が徐々に色褪せて・・・

あれ??形状も少しづつ崩れている気がします。

ちなみに、結界の中には花びらが入ってきていません。

結界を張り終えたコボボさんが、巨大アンコムと魔王を見ながらボソリと・・


「相手が魔王だからな・・かなり産まれるぞ・・・。」


「へ??」


産まれる?何が???

そう思ったのは、一瞬でした・・・

ワラワラと溢れてくる小さなアンコム達・・・ワラワラ・・・ワラワラ・・・ワラワラ・・・

あぁ、何処かの世界にいた、カマキリって生物が卵から孵った時が、こんな感じでしたね・・・もう、どれだけ出てくるのぉ!!!!って感じの奴ですね。

でも、出てくるのは、カマリキでは無く、アンコムですけど・・

うっ・・・気持ち悪・・・

大量です。スッゴイ大量です。超大量です。

それを唖然としながら見守っていると、あれ?集まりだしました。


集まって・・集まって・・・集まって??


巨大アンコムになりました!!

しかも、五匹!!

互いに挨拶をする様に、足の前らへんをカチカチ合わせて挨拶しています。

更に、中型5匹に、小型6匹・・・ここは、アンコム牧場なのでしょうか??

あれ?僕何しに来たんだっけ???

アンコム牧場を作る為に来たんでしたっけ?


気付けば足元に広がっていた花びらは、跡形も無く消えていました。


仲良さそうに、カサカサしているアンコム達、どんよりとした目が何時もより楽しそうに見えますよ。


一緒に旅をしてきたアンコム、可愛いとは、なかなか思えなかったけど、アンコムが楽しそうにしているのは、嬉しいですね。


「コボコさん、ボボコさん、仲間も増えたし帰りましょうか!」


「そうだな、産まれたばかりのアンコム達を躾けないといけないしな。」


「僕は、健康診断してあげないと。」


軽やかな声を上げる、僕と、コボコさんと、ボボコさん。

そして、小さな呻き声・・・


「ダ・・・ダズ・・・ゲ・・・デエェ・・・。」


おや? 声がする方を見ると、泥の水溜りがピクピク動いて、呻いてらっしゃる。

アレって何でしたっけ??


「ゴゴ・・・メン・・・ナザイ・・・。」


おや?何か謝っていますね。


「ナン・・・デ・・・コンナ・・コトニ・・・。」


ああ、コレ魔王さんですよ!

そういえば、魔王さんと戦ってましたね。

超小型アンコムに囲まれ、結界の中には侵入されなかったものの、結界に張り付く無数のアンコムを見た為に、大事な事を忘れてました!!

僕の目的は、魔王の魔力を吸収・・・あ・・・・あぁあ〜

僕の目的は、魔王の魔力を吸収する事でした・・・ええ、でしたですよ! 過去形ですよ!!何故って?

ハイ、コボコさんどうぞ!!


「アンコムは恋をすると、花びらに似た卵を辺りに散布するんだよね。そして、それに触れるとあら不思議、魔力を根こそぎ持っていかれます!!そしてその魔力を元に子供達が産まれます。魔力を根こそぎ持って行かれると、本当に辛いんだよね・・。」


あれ?コボコさん、何だか声に力が無いですよ。


「しかも、無数の小さなアンコムが・・・・。」


ボボコさんもですか?

これはもしかして、一緒に旅をしてきたアンコム達は・・・

アンコムの謎が増えるばかりですが、今はそれを置いておいて・・・


あれ?これって??





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