8・魔王討伐?
僕達は、身を削りながら、高速移動を始めます。
スライムボディの良いところは、痛覚が無い事ですね。身が削られる感覚はありますが、痛みはありません。ですがコレ、下手をすると大事な核まで削りかねません、気を付けねば。
ですが、今は三人揃って、全力で逃げます!
え?戦わないのかって?
戦いませんよ。全力で逃げます。
アンコム?放置ですよ。
何故って、アンコム放置が今回の作戦の一つだからです。
アンコムは、見知らぬ人を見ると、臭い粘液を吐きかけますから、手始めにアンコムの粘液をお見舞いしようと考えたんです・・・・。
勿論それだけでは終わりません。その後の事も考えていました・・・・
はい!考えていましたよ!
全力で走りながらも、アンコムを残していく多少の罪悪感を感じ、チラリと魔王とアンコムの方を見ると・・・あれ???
何だかアンコム達の様子が変ですよ。
アンコムが何故か戸惑ってます。
アンコムの視線の先には、ゴロゴロ転がりながらゆっくりと、アンコムに近づく・・・・・魔王さん??
「ほらほら、怖く無いよ〜アンコムちゃん。仲良くなろうね、アンコムちゃん。」
アンコムちゃん??
「本当に君は不思議な生物だね。」
あれ?さっきまで気持ち悪いを連発していた魔王さん、何故か突然アンコムに優しくなりましたよ。声のトーンが上がっている気がします。
ですが、そんなものアンコムに通用するわけが・・・わけが・・・・・あれ???
アンコムも恐る恐るですが、魔王に近づいてますよ。人見知りはどうしたんですか??
それに、アンコム・・・何だか少し赤くなってませんか?
照れてるんですか?
何時もカサカサいっている足が、モジモジしてますけど・・・
慌てて、僕は動きを止めました。
それに気付いたコボコさんと、ボボコさんも動きを止めます。
「ポコどうしたんだ?早く逃げないと巻き込まれるぞ。」
「コボボさん・・・・アレ。」
そう言って、僕はアンコムと魔王を指差しました。
僕の指差した方向には、さっきよりも近づいているアンコム達、しかも一番臆病なはずの、巨大アンコムが先頭になって近づいています。
懐こうとしている様に見えるのですが・・・
「どういう事なんでしょう?」
「まずい! 非常にまずい!!」
コボコさん突然焦りだしました、どうしたんでしょう?
「ボボコ、急いで結界を張って、アンコム対策のヤツ。僕も張るから!ポコは・・・そのままで。」
物語の中では、ここでチートスキルとか言って、超強力な魔法で魔王を倒すとか、超強力な結界を張るとかするのでしょうけど・・・僕には無理です。
何故って?そんな事したら、この世界、丸っと吹っ飛びますよ。
なんたって僕、ONとOFFしか出来ない、神の力しかありませんから!!!
チート過ぎて、使うと世界が丸っと吹っ飛ぶとか、僕が一番危険人物ですよね・・・
ですが、僕には物理攻撃が残っています。スライムの身体ですが、戦う事は可能です!!!
自分で言うのもなんですが、数多の世界を渡り歩いたおかげで、かなりの腕前ですよ。
だから、アンコム攻撃で動きが鈍くなった後に出すつもりだったんですけど・・・
それどころでは無さそうですよね・・・
まあ、僕の愚痴はどうでも良いんです。それよりもコボコさんが焦っている訳が気になります。
「どうしたんですか?」
「あんな優しい声をかけながら、アンコムに近づいたら。」
「近づいたら?」
「アンコムが恋をしちゃうよ。」
あれ?何か、この状況に似つかわしくない言葉が聴こえてきたんですけど・・・
こい?・・・コイ?・・・恋?
「攻撃の一種ですか?」
「違うよ!恋だよ恋。」
「えっと・・・何故?」
恋は理解できます。アレですよね、甘酸っぱくてほろ苦いくて、メロンの味がするヤツですよね?
あれ?イチゴでしたっけ?ミカン?モモ?
ま、なんか味がするヤツですよね??
味はともかく、何故アンコムが恋をするのか、何故恋をするとまずいのか、分かりません。
「日頃、気持ち悪がられて、オレ達以外が近づく事も無いからな、惚れやすんだ。」
惚れやすいって・・・
「それって、僕達の敵になるって事ですか?」
「まだ敵になる方がマシだよ。」
「いったい・・。」
「・・・・子孫を残そうとするんだよ。」
え?それって・・・・




