7・魔王登場?
のんびり〜
のろのろ〜投稿中〜
「グハハハ待っていたぞ。」
・・・・
「よくぞここまで来たな。」
・・・・
「しかし、この私に勝てると思っているのか? 俺は魔王だぞ。」
・・・・・
「恐ろしくて、声も出ぬか。愚か者め、グハハハハハハハハ・・・ハァハァ グッフォ ゲフォ ゲフォ」
・・・・
あれ?
僕はいったい何の為にここに来たんでしたっけ?
「僕の研究を奪っておいて、偉そうに。」
「なんとでも言え、今の俺は最強だ。お前が何と言おうと俺が魔王である事に代わりは無い。」
「卑怯な奴め。だが笑っていられるのも今のうちだぞ、俺達にはポコが居るからな。」
魔王、コボコさん、ボボコさん、皆さんとても真剣ですよ。
真剣な人達には、とても失礼なのですが・・・
見た目が・・・
僕を含め、3体のスライム 対 真っ黒い・・・ボーリングの球。
球体では無いですよ、ボーリングの球です。
違いですか?
三つの穴があります!!
硬いです!
重いです!
右へゴロゴロ
左へゴロゴロ
実は僕、魔王姿を知りませんでした。
コボコさんの記憶の中の魔王は、魔王になる前の姿でしたし、神様の世界から覗き見てる時は、姿なんて殆ど見えません。力を感じるだけです。
数多の世界があるんです。一々詳しくなんて見てられませんよ。
ちなみに。コボコさんとボボコさんは、目の前で魔王を追いかけ、ペタペタ?ヌルヌル?ノロノロ?とにかく頑張って走ってます。
魔王・・・
確かにスライスにとっては、魔王なのかもしれませんね、近寄れば踏み潰され、張り付いて侵食する事も出来ない。魔法攻撃は全て跳ね返す。
あ、全然使っていなかったので忘れていましたが、魔法が使えるんですよ、この世界。
今丁度、コボコさんとボボコさんが、魔王に魔法を転がしています。
間違いじゃないですよ、コロコロ転がしてます。この世界で魔法とは、丸い玉なのです。それを自分以外のモノに当てると魔法が発動します。
この世界の人間は、ジャンプなんて出来ません。スライムですもん、核を中心にして、水を纏っている様な身体ですから、ジャンプなんて出来るはずがありません。
しかも普段はノロノロ動きですから、魔法をコロコロ転がしても当たります!
僕?
僕は、あまりにも見た目がアレな戦いに、少し放心しておりました。ダメですね、これでは・・さあ、気をとり直して行きましょう。
僕の目的は、魔王の力を奪う事なんですから。
僕は、深呼吸して。
大きな声を出しました。
何故って?魔王に突進する為では無いですよ。
「アンコム〜。」
僕の言葉に反応して、カサカサと気持ち悪い音が聴こえて来ます。
現れたのは連れて来たアンコム全員です。
ですが、怯えているのか、大きな図体で僕の背後隠れようと、一列に並んでます・・・無理だから。
僕スライスだから、スケスケだから!!
しかも小さい順って・・・
全員見えちゃうでしょ!!
せめて、一番大きいのが先頭に来るべきでしょ!
何で、一番デッカいのが一番怯えてるんですか。小さいの守ってあげようよ・・
色々言いたい事はありますが、今はそれどころではありませんね。
「何だお前、その気持ち悪い奴らは!!」
魔王さん、こちらに気付いて、ゴロゴロ転がって来ますよ。
「何ってアンコムですよ?」
あれ?アンコムってこの世界の移動手段ですよね?何で魔王さんが知らないのでしょう?
「アンコム?なっなんだそれは?」
「え?これに乗って移動したり。」
「乗るのか?この気持ち悪いモノに?」
「荷物を持たせたり。」
「持たせるのか?この気持ち悪いモノに?」
「遊んだり?」
「遊ぶ気になれるのか?この気持ち悪いモノと?」
魔王さん、戦いそっちのけで、質問攻めですね。
良いんですけど、語尾に『気持ちわいモノ』って付けないであげて下さい。ただでさえ、人見知りなアンコムが・・・
あ〜あ〜目を潤ませて泣きそうになってますよ。
足をカサカサ言わせながら、僕の背後から威嚇をしてます。
その時です。今までに無いほどの速さで、コボコさんとボボコさんが僕に突進してきました。
「何やってるの?魔王にやられたいの?」
「それともアンコムにやられるきか?」
いえ、どっちにもやられる気はありませんよ。
僕は、丁度近づいてくれたので、コボコさんと、ボボコさんにコソコソと指示を出します。
それを聞いたお二人、とっても怪訝そうな雰囲気を醸し出してます。表情無いのに器用ですね。
「本当にこんな事で良いの?」
「本当に大丈夫なのか?」
ボヨボヨと揺れる二人に、僕は全力で答えます。
「多分!」
多分大丈夫だと思います。思いますけど、僕だって初めて戦う相手なんです。分かる訳無いじゃ無いですか!!
「まあ、他に手は無い・・その方法で行こう。」
そうです。試す気持ちで、やってみましょう。
さあ、多分 反撃開始ですよ!!