プロローグZERO
ストーリーZEROとありますが、ここまでの全ての話を見てくださったほうがお楽しみいただけると思います。ぜひメインストーリー編からお読みください。
いつものかっこつけプロローグになります。
ーー全てのものには必ず始まりがある。
始まるからこそ終わりがある。人は生まれて死んで行く。花は咲いて散っていく。
始まりがないものなんてない。
一方で、終わりがないものはある。
アインシュタインはこう言った。
『無限に続くものはこの世に二つしかない。一つは宇宙、もう一つは人間の愚かな行為だ。前者については断言できないが。』
天才物理学者らしい、現代の人間に刺さる言葉だ。
しかしここで注目したいのは、宇宙でも人間の愚かな行為でもない。むしろ、"この世で"と言っていることだ。
"この世"というのは"この世界"と言ってもいいだろう。アインシュタインの言う"この世"がどこまでなのかを考えてみよう。
宇宙がこの世にあるものと言っているのだから、少なくとも宇宙以上の大きさをもつものだろう。
仮に、この世が宇宙より広いものとする。
アインシュタインの言うことが正しければ、宇宙は無限大だ。つまり、宇宙より大きいこの世も無限大だ。これは「この世に無限に続くものが二つだけ」ということに反する。ゆえに宇宙はこの世以下の大きさでなければならない(だから前者の断言は避けたのかもしれないが)。
この世は宇宙以上で宇宙以下、すなわち宇宙そのものとなる。
もし、宇宙とは別の世界があったら?
無限に続くものは"別の世"にはまだあるかもしれない。そのまた"別の世"にはさらなる無限が待っている。
あるいは、"世"こそ無限にあるものなのなのかもしれない。
しかし、そんな無限に続くように見えるもの全てに始まりが存在する。円周率は3から始まり、等速直線運動は初期条件から始まり、人間の愚かな行為はアダムとイブから始まり、宇宙はビッグバンから始まった。
皆様にはこれまで数々の世界を観測してもらった。まだまだたくさんの"世"がある。世界は無限に広がっていて、収束することはないのだ。
ならば、逆に始まりへと収束させよう。ZEROに収束させよう。
無限に続くこの物語の最後は、その始まりの物語にすることにしようと思う。
ーーさあ、今こそ、異世界の研究を始めよう。
次回の更新は3/21日 木曜祝日です。
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