ある日の話 3
読んでくれている方、ありがとうございます
楽しんでもらっていますか?
真坂達のクラスニ年A組の家庭科の授業、調理実習中
「温泉タマゴって温泉で作るものじゃないの!?」
家庭科室の黒板に書かれている材料に真坂がビックリしている。衝撃だったようだ。黒板には「材料 卵 1/湯 適宜」と書かれている。
「え? 温泉でしょ?」
真坂の疑問に答えながらゆかりが何か粉末状なものをお湯の中に入れている。
「でも材料にはお湯って書いて……」
お湯が入っているナベから匂ってくる香り、お湯の色とゆかりが捨てた袋に真坂は驚きを隠しきれなかった。
「おっ……温泉の素で!?」
真坂はゆかりの行動に驚きよりも戦慄を覚えた。
(しかも色がピンク……!!)
「これぞ本場!」
だが、ゆかりが得意げなので何も言えない。
「はいっ、あ―――ん」
やたらと優しい笑顔で食べさせてくれようとするゆかり。真坂の(自分で食わんのか!!)という心の叫びなど聞こえないのだろう。
「ちょ…………!! ちょっと待って! 止めてえぇ――!!」
ゆかりが問答無用で食べさせようとしてくるのでさすがに命の危機を感じた真坂。涙声で足をじたばた動かして嫌だという意思表示をした。黙って離してくれたゆかり。
(あ……諦めてくれたのかな?)
真坂がホッと一安心したのはつかの間、ゆかりに調味料を近くまで差し出されて一言
“問題点は味じゃないよ”
きっとそう伝えてもゆかりに通じないんだろうな、助けて先生。
ある日、ニ年A組でほっぺたを抑えて痛そうにしている真坂。
「うわっ、どうしたの虫歯?」
茶色の髪で母性が強そうな陽菜という級友に心配された真坂(陽菜の席は真坂の後ろ・ゆかりの隣)
「う゛~~昨日抜いてもらったんだけど……」
「結構腫れてるよ?」
陽菜の心配に心配になった真坂。
「ほっ、本当!? そんなに腫れてる!?」
話の流れで陽菜がゆかりに同意を求めているのに今、気づいた彼女。
「元の顔、覚えてないから解らないけどね」
冗談なのかもしれないが、冗談に聞こえないゆかりのどうでもよさそうな感じに場の空気が凍りつく。
「腫れてんじゃないのー?」
どうでも良さげな表情のゆかりを見た真坂は悲しそうである。
(あたし達、友達だよね!?)
陽菜も「それはないでしょ」と苦言を呈したそうだが、ゆかりは全く気に留めていないみたいだ。
「ゆかりちゃんって私のこと嫌いなの?」
さすがにさっきのゆかりの態度に傷ついた真坂。聞きづらいことではあるが、これからもゆかりと付き合いたいので勇気を出して尋ねた。
「は? 突然どうしたの?」
ゆかり的には特にいつもと真坂への態度と変えているつもりはないので反応に困る。
「だって私へのツッコミが全体的に酷いから」
「何それ」
真坂を傷つけないようにどことなくいつもよりツンツンした表情より柔和な笑みで応えた
『大体っ!!』 「嫌いなら一緒にいるわけないでしょ」
「ゆかりちゃん」
真坂はゆかりの本心を聞けて安心感を得る。思わず感涙してしまうくらいだ。
「真坂で!!!! 遊ぶときが私は一番楽しいんだから!」
ゆかりは言わなくて良さそうなことまで言わされた感があるので黙って教室から去っていく。
(何、言わせるのよまったく!! という心境なのかもしれない。真坂は嬉しい反面、ゆかりのセリフの一部が気になった。何かが引っかかったような感覚を覚えたが、多分気のせいだということで真坂は考えるのを放棄するのだろう。
とりあえずこれで完結です。
また話が思いついたら書き直しとかあるかもしれません。