1-3一夜限(いちやかぎ)りの夢(ゆめ)
あっ、そういえばだけど、星莉亜と初めて会った時の英語のやり取り、わかっただろうか。わかったふりして飛ばさないでいただきたい。あれでも意外と大事な場面なのだ。
あの星莉亜が誰だかわからなくて、考えていた時の場面。あそこで俺は、「Who is she ?」、「I don’t know. Who ?」と考えた。あれは、「彼女は誰?」、「わからない。誰?」と語訳する。OK? それから、「I’d not love to !!!」は「いや、承らん。承りませんぞー!」です。あとは会話になるが、「『Stop !! Stop !! Listen my talking !! My talking is you important !! OK?』」は「『待った! 待った! 俺の話を聞け! そう、あの人のように! 俺の、俺の、俺の話を聞け~♪を聞くようなノリで! そう、あの、俺の、俺―――多少めんどくさくなりました。―――そう、あの曲のように! このノリでは何だが、俺の話はきっと、お前にとって重要な話になるはずだ! いまはかみあってないけど、きっと!』」という意味で―……。……。独り辛っ! 独りでこのノリ辛っ!
「こ、困ってるようだね、優里」
振り向くと、そこには星莉亜がいた。
うん、ホント、ナイスタイミング! ナイス助け舟!
「助けに来てくれたんだ…よな?」
「やっぱり困ってるようだね、優里。手を貸してほしいか?」
俺はうなずくしかない。うなずかない理由がない。
「ほう、ならばわたしが助けて進ぜよう」
「おう、サンキュー。ほら、こっち来いよ」
星莉亜は一瞬躊躇った。がしかし、行くしかないと悟ったらしい星莉亜は、こっちへ来た。なんで悟らなきゃいけなかった? なぜ? ……? まあそれは置いておこう。
「ででで? ななにに、おおおおおお困りなのかしら」
「なんかだいぶ無理してますねー! どうされましたー!?」
「むむりなんか、してないですわ! ただ、…………―――」
星莉亜はぶつぶつ言い始めてしまった。
「どうした?」
もう顔は真っ赤だ。
「ただ…、ゆ、優里がさぁー……」
「?」
一瞬強気になったかと思ったら、やはり口ごもるのだった。
まあ、それもそれでとりあえず置いておこう。
「で? あの言葉はどういう意味だったんだ?」
「あの言葉? ああ、あの言葉ね」
えっ? わかったの? 『OK. OK. What ?』だったはずだけど…。
「そうそう、あれはねー。『そう簡単には渡さないわよ!』っていう意味」
なんで――――――!!!!!!!!!
「感性がありえん…」
すると、星莉亜は頬を膨らました。違う理由で。
「むー、リアクションが薄い!」
「いや、ウケ狙いなら普通に説明しようよ」
俺も狙ったけど。それはただ読者さんが退屈してるかなと思ってなー。そういう経緯でやったんだ。
「わかった。わかりました!」
「いや、俺別にしつこく言ってないよ!?」
「えっとね。『わかった。わかった。何?』っていう意味なんだよ」
「そのままじゃねーかよ!」
「そのツッコミを待ってました! じゃあ、わたしはこれで。ト―――」
「ちょっと待とうか」
俺は星莉亜の手をつかんで、言い逃げを止めた。
「言い逃げはちょっと勘弁してほしいな」
「へ、へへへへへへへへへ―――――――……………」
「っていうことで、次。えっと。『Although I’d not like to say, I be member of otaku. Is that OK ?』は『言いたかないけど、それは俺がオタクの一員になるっていうことだよな?』」
「……言わなきゃだめ?」
俺はうなずく。
「ちっ」
なにぃ―――――!!!!! 舌打ちだと――――!!!!! 別に気にしないけど。って言いながら意外と気にしてる俺がいる。この手の悪態ぐらいは流せるようになっとかなくちゃなとつくづく思う。
「えーっとねー。『うん。私のために』だよ」
「なにが!?」
「そんなもん自分で調べろい!」
「ろいってなんだよ。ろいって。てかなんか読者蹴散らし発言―――!!!」
「悪い?」
「悪いわ―――!!」
俺は一度溜息をつく。そして、
「『Yes. Please for me.』だとよ」
なんか嬉しかった。星莉亜の横にいれて、何となくうれしかった。その気持ちは星莉亜も同じだったらしい。
「で、そのあと俺が英語で断ったんだっけ?」
「そうそう。でも、OKしてくれたんだよね。その節は、どうも」
「ああ。それであとはざっとした自己紹介だったな。英語だったから、あんまり恥ずかしみがなかった」
「あ、それ、わたしもだわ。それであとで思うと恥ずかしかったりする」
「同感だ。……。星莉亜」
「ん?」
「俺たちって、何となくだけど、―――」
―――気が合う気がしないか?
最後まで言ったかは定かではない。けれど、何となく伝わった気はした。
気づけば、朝だった。
心のこもってないあとがきから、一話空きましてだんだんあとがきが楽しくなってまいりました、織宮尋です。実は約一時間振りです。前話さっき出しました。いま、第四章を絶賛執筆中なんで、楽しみにしていてもらえば幸いです。まだまだ新米なので、どうぞもうちょっと読んでもらえればと思います。次話は自信があります。オチがどこに行くかわかりませんが…。
そういえば、今日は九月九日で、日本では菊の節句と親しまれている『重陽の節句』ですね。それを祝してという思いは到底ありませんが、本日デビュー&三話という、ちょっと奮発した形になりましたが、どうでしたでしょうか。気に入っていただけたかどうかは聞きません。どうでしたでしょうか。
次話では、やっと『神!』が出てきます。そんな神々しいわけではないので、気軽に見て下さい。
前話もあわせて評価・感想をお待ちしております。