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挿話 国後陣屋の間宮林蔵

史実でも、間宮林蔵は国後陣屋につめていました

そこから、樺太探検に行くところをフィクションにしました

陣屋の長交代の布告を知って、林蔵は怒りを通りこして、脱力感を覚えた


測量係として、蝦夷地にいた林蔵は、現地徴用され、国後に着任した

陣屋そのものが、蝦夷地の冬を考慮しない、本土と同じ作りだった事が始まりだった


陣屋の暖房器具と言えば、囲炉裡が複数あるだけだった

これでは、冬を越すのには屋内に閉じこもるしか無い


冬の警備をどうするか問うた

冬はロシアも動かないだろう

実態を知らぬ者の考え方だった


せめて漁師に普及しているセーターと毛糸帽子の支給を願った

答えは、武士が漁師と同じ物は着られない

林蔵は、自費でセーターと帽子を購入した

一冬を越えた後、各自に一着づつ支給された


国後島を測量し、見張場所の設置を進言したが、人が居ないからと却下された

それでも今の責任者が、少しずつだが蝦夷地の事情を理解し始めていたところだ


林蔵は、知らぬ間に独り言をしていた

「また一から覚えさせるのは、ごめんだ。」


彼の脳裡に、徳内村での伊能忠敬との出会いの時が浮かんだ

そして、ある策が浮かんだ

「陣屋勤めを辞めるのでは無く、測量方として樺太行きを志願したら。」


願書を書き上げ、呟いた

「江戸からは、蝦夷地は見えない。」

「まして、樺太など見ようともしない。」

「ロシアは既に樺太まで来ている。」

「誰かが、観に行かねばならないなら、自分が行く。」


彼の志願は認可され、探検が始まった


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