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第59話

これまでとこれから。

 2月末、アルテミシア学園

 3年生以外の生徒達は皆、学期末試験を迎える事になっていた。

 今年度最後の試験と言う事で、生徒達も皆一同に試験勉強に取り組んだ上で挑んだ。

 そして試験終了後、エミリア達も中庭で一息付いていた。


「何とか乗り切った~」


「エミリアにも勉強手伝って貰って良かった~」


「これで何の心配もなく、2年生に進級出来る~」


「皆お疲れ様。今は勉強の疲れを取る為、しっかり休んで頂戴」


 そう言ったエミリアは、直ぐにその場を去ろうとする。


「姉さん、何処行くの?」


「生徒会室。ほら、そろそろ卒業式だから、諸々の段取りを決めておかないと」


「あぁ、そう言えばそうか。いってらっしゃい」


「えぇ、行ってきます」


 そう言ってエミリアは生徒会室へ向かうのだった。




 生徒会室

 そこで会議の前に、ラウディーとリリアンの進学祝いが開かれていた。


「ラウディー先輩、リリアン先輩、進学おめでとうございます!」


「やあやあ皆、ありがとう」


「それで2人は、見事志望した学校に入る事になったんですよね?」


「あぁ、メルティ王国に留学する事になった。元々エンタメ国家なだけあって、服を作る為の技術も高い方だし、俺もこの美女同然の外見を見込まれて、モデルの専門学校で学べる事になった。向こうからも、将来の有望株だと期待されている」


「そう言う訳だから、私の作った服を着たラウがランウェイで歓声を浴びられる様に、私も向こうでの勉強を頑張る事にするからね」


「あぁ、俺も期待に応えられる様、努力するさ」


「ふぅ~。お熱い事で」


「2人共、目標が高い事で」


「それじゃあ皆、卒業式の方、盛大に頼むぞ」


「お任せ下さい。我々も元々、その為の会議をこれからやるので」


「そうだったな。じゃあ、当日は頼むぞ」


 そう言ったラウディーはリリアンと共に生徒会室を出る。


「…では、これより、来月の頭で行われる、卒業式の段取りの会議を始めます」


 こうして、会議の方も着々と進んで行くのだった。




 夕方、女子寮、エミリアの部屋

 夕飯の支度をしているエミリアに、フィーナが声を掛ける。


「ねぇ、エミリア」


「何?」


「聞いておきたいんだけど、やっぱりエミリアの進路は王族生活?」


「そりゃそうでしょう?私だって王女である以上は」


「それなんだけど、元々アンタは剣の名家に生まれた男だった筈でしょ?で、10歳の頃に色々あったせいで、家出を考えてもおかしくない心境になっちゃった所に、本物のエミリアの死体を見つけて、そこに偶然通りかかったシェーラに、自分の男の体と引き換えに影武者として城で生活する事になった事が、今の生活の根本的な理由でしょ?そりゃあ、アンタの両方の家族を始めとする周りの人達はアンタの正体知っても受け入れて、アンタも王女としての生活に充実感を感じちゃってるから、アタシも気にしないけど、可能なら、本来の男としての生活に戻りたいとは思わないの?」


「フィーナの言ってる事は私だって分かるわよ。けど、もう決めた事だから。それに、私も今の女としての生活に、男の時以上の晴れ晴れした気持ちだって沸いているの。王女としての生き方の方だって、実家にいた時以上にやりがいを見出せているのも事実。1人の女性としても、1人の男性を好きになる事だって出来た。だからこそ、これは紛れもない私の意思だと断言出来るわ」


「…そう。なら私もとやかくは言わないわ。それより、夕飯まだ?」


「待ってて。もうそろそろ出来上がるから」


 それから2人は夕飯を頂く事にする。


「折角だし、明日カイト達にも進路の話をしてみましょうか?」


「私も何かフィーナがこの話を出したせいで気になっちゃった。そうしましょうか」


 そして2人は夜をのんびり過ごしておくのだった。




 翌日、昼休み、中庭

 エミリアは早速カイト達に夕べの話題を出したのだった。


「進路?僕の進路は、城の兵士として就職かな?ほら、アルフォード兄さんも城で働きつつ、次期当主に相応しい実力を身につけてきているでしょ?そんな兄さんと一緒に働いて腕を磨いて、そしてエミリア姉さんの側近兼パーティーメンバーとして、姉さんの剣としてこの力を存分に振るいたいな。これは弟としての切実な思い。それくらいは別に良いでしょ?」


「まぁ、カイトならそうなるわよね。私も姉として、期待してるからね」


「俺達は普通にシェーラ先生と一緒に過ごしつつ、魔女を襲名出来る様になる事かな。ほら、俺達はもう両親が死んじゃって、先生の所以外行く当てが無いから。だからパーティーメンバーもやりながら、魔法も極めていきたいんだ。後、出来るなら元の2人に分かれられる様になりたい。ヴァーリとファムと言う例だってあるわ。あの2人の身体の仕組みを解明出来れば、可能な筈よ。おいおいハルト、そりゃあ私とくっついたままは嫌って事か、おい。もう、そんな事言ってないわよマリー!俺はこのままじゃあ貴方に申し訳ないって言ってるだけよ!もしそうなったら、中身の男らしさと女らしさはちゃんと戻るかどうか怪しい筈だろ!大丈夫!ちゃんと戻るわ!俺も男らしく振舞いたいと思ってるんだから、マリーもそうでしょう!?まぁ、確かにな。私も出来るならそうなりたいぜ」


「私は教会に頼んで、冒険者と両立出来る様にするよ。これまでの経験で思ったんだ。私の故郷以外にも、苦しんでいる人は沢山いる。救いを求めている人も大勢いる。だから、パーティーメンバーもやりながら色々経験して、見聞を広めて、そして力を着ける。ゆくゆくは聖女の襲名も目指してみる!ラフィニア様の仕事も手伝える様に!そしてそれは、私と1つになったララお姉ちゃんとシータも望んでいる筈だから!」


「ありがとうハルトマリー、スバル。私とのパーティーも一緒に続ける事を考えてくれて」


「アタシはもう元の世界の未練も無いし、このままこの世界に定住するよ。仕事は引き続き、城の暗部だ。アタシも部下達も、お前に感謝してるんだぜ。こうして腐っていく筈だったアタシらにキチンと向き合って、襟を正してくれて、こうして陽の光の下、堂々と歩ける様にしてくれた。だからその恩にアタシらも報いる。これも、アタシらなりの義理の通し方だ」


「私は貴族令嬢として生きながら、私に出来る事を考えます。元々、あの世界で死んで終わる筈だった魂が、何の因果かこの世界にやってきて、そして皆さんに会えた。これもきっと何かの縁だと私は思っています。だから私も、この縁の為に出来る事を探しながら決める事にします!」


「そうね。レオニーとアリアも、嬉しい事言ってくれるじゃない。そうと決まれば、先ずは無事に学校を卒業出来る様になる事!そしてその過程で、何かしらの成果を上げておく事!皆もそこら辺分かってるわね!」


「進路もいいけど、"天の笛"の件は?」


「忘れて無いわよ。でも、それも何時終わらせられるか分かんないんだから、これについては長い気持ちでやっていくしかないわよ。そうと分かれば、先ずは目の前の学業よ!」


『は~い!』


 と、エミリア達も進路に対する意識を持っておく。

 エミリア達も、これからの人生に幸が訪れる事を信じて進むのを決めたのだった。

2月のエピソード終了。

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