第52話
1月のエピソード開始。
アルテミシア城、地下
そこでファルナとマーシャはおせちを食べていた。
「新年あけましておめでとう!」
「はい。新年あけましておめでとうございます、ファルナさん」
「所で、アンタ生者なんだから、地上で皆と一緒に挨拶回りした方がいいんじゃない?」
「いえ、私は賑やかなのは、あまり好きではないので」
「ふーん、そうなんだ」
<なぁなぁ、折角の新年だし、地上に出ようぜ!こんな暗い場所じゃあ、全然気分上がんねぇし、何より、新年からお姉ちゃん漁りだってやりてぇし!>
と、ファルナとマーシャは2人で髑髏に肘を落として黙らせる。
「お父さん、新年早々セクハラを働くのは良くないよ」
「本当にろくでもないエロ親父ね。やんなっちゃうわ」
「それに私達は、此処で幽霊達と新年を祝うのが性に合ってる」
と、地下で集まってる幽霊達と新年会に勤しむのだった。
年が明けて、皆新年を迎える事となった。
此処、アルテミシア王国でも、新年初売りセールを出してる店や、新年を祝う芸やショーを見せている公演、新年祝いの食べ物やゲーム等を出している露店があった。
そんな中、エミリア達はアルテミシア中央教会へ足を運んでいた。
「新年からの縁起として、ちゃんと教会でお参りしておかないとね」
「お姉様達と教会でお参りです!」
「そしたら、お守りとかを買って、表の出店でも回ろうか」
「アラタさんも、付き添いありがとうございます」
「構わない。アルベルトやアルフォードに頼まれてるからな」
「しっかし、スバルも教会の仕事手伝うってんで、新年早々、朝から仕事に出る事になったからな」
「まぁまぁ、そんなスバルの顔を見ておくのも、今回の目的だから」
「それに、聖女ラフィニア様にも、ちゃんと挨拶くらいはしておかないとね」
そしてエミリア達は教会の中に入り、参列に並ぶ。
そしてスバルが気づいて声を掛ける。
「皆!今日は来てくれたんだ!」
「まぁね。私達も縁起を担ぎたいし」
「そりゃそうか。それじゃあ、新年からの縁起と言う事で、どうぞお参り下さい」
「あらあら、これはこれはエミリア様じゃあありませんか」
と、エミリアに気づいたラフィニアが声を掛ける。
「初めまして、私はラフィニアと申します。もしかして、貴方達もお参りに?」
「はい、そうですけど」
「それは丁度良かった。後で談話室に来てくれませんか?私もそろそろエミリア様に挨拶しておきたかったんです」
「はい、それは構いません」
「スバルさん、後で案内お願いします」
「かしこまりました」
そう言って去っていくラフィニアを、アラタとレオニーは怪訝な顔をして見つめていた。
アルテミシア中央教会、談話室
そうしてエミリア達は、ラフィニアと対面を行っていた。
「改めまして、私は世間から聖女として知られているラフィニアです。どうぞよろしくお願いします」
「はい、改めまして。私はアルテミシア王国第1王女、エミリア・フォン・アルテミシアです。よろしくお願いします」
「第2王女、ユーフィリア・フォン・アルテミシアです」
「アラタ・ホシミヤ。星空の勇者で通っている」
「カイト・ワーグナーです。剣の名家の者です」
「ハルトマリー・メティーアです。よろしくお願いします」
「…レオニー・ブランシェーダだ」
「はい、よろしくお願いします。実はですね、私もこの教会での年明けの仕事が終わったら、もうこの国を離れる事になってたんですよ。だからその前に王女姉妹に挨拶に向かう気でいたのですが、まさかそちらからこの教会に足を運んでくれていたなんて、手間が省けて助かりました」
「そうだったのですか。態々挨拶を考えて下さり、ありがとうございます」
「いえいえ、私も名の知れた身である以上、当然の事ですので。出来れば、妹にも来て欲しかったのですが、あの子も多忙の身である以上、仕方のないことです」
「妹さんがいらしたのですか?」
「今、メルティ王国で大売出し中のアイドル、ラーナ・レクルドがそうなのですが」
「えっ!?あのラーナ!?学園の方でも結構話題になってたから知ってる!まさかラフィニア様の妹だったなんて!言われてみれば、何処か似てる気が!」
「そうなのよ。私にとっても本当に可愛い妹で、今でも連絡を取り合ってるわ」
「ラフィニア様、貴方の事はスバルからも聞いてます。何でも、救える人を救っていきたいとか。とても素晴らしい志だと思いますよ」
「ありがとうございます。その言葉だけでも励みになります」
そして一同は5分程話し合う事に。
「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
「こちらこそ、お話出来て光栄でした。では、失礼します」
そしてエミリア達も退室した。
「ラフィニア様、噂通りの人だったね」
「確かに、あの高貴さとたおやかさ、聖女と言われるだけはあるね」
「私も、あんな綺麗な人とお話出来て嬉しかったです!」
「フフッ、ユフィったら。…って、さっきからどうしたの、アラタ、レオニー?何か考え込んでるみたいだけど?」
「あっ、いや、何て言うか、あの女を見た途端、何か剣を抜きたくなる程の悪寒を感じて」
「アタシも、海賊やってたせいか、妙な気配を感じて(それに気のせいか?鼻も変な匂いを感じたし、アイツの胸、不自然に揺れながら、少しずつ大きくなってた様な…?)」
「そうなの?まぁ、その様子からして、気のせいだと思ったんでしょう?」
「まぁな…」
「さて、それじゃあ外も満喫しましょうか」
それから一同は教会の外に出て、お守りを買うなり、出店を回るなりして楽しんでいった。
夕方、協会、裏の茂
そこの木々の中でラフィニアは自分の胸を揉みしだいていた。
「あぁ~ン!エミリア様、やっぱりお姫様らしく女の子の魅力を色々詰め込んだ美貌の美少女で、ユーフィリア様もとても可憐な女の子だったわぁ!星空の勇者とカイト君も中々のイケメンだったし、ハルトマリーちゃんとレオニーちゃんも確かな美少女だったわぁ!お陰でこんなに溜まっちゃったぁ!で、出るぅ!」
と、ラフィニアは声を上げながら、その足元にとても大きな水溜りを作った。
「はぁ…はぁ…。ふぅ、待ち合わせの時間までに抜く事が出来たわ」
「ラ、ラフィニア様…?」
と、そこに1人のシスターが声を掛ける。
「あら?貴方、どうしたの?」
「いえ、その、ラフィニア様を見かけた為、何かと思って来たのですが…。後、何ですか、その水溜り?何か白いし、何より、それ、妙な匂いがする様な…?」
「あら、見ちゃったの?なら、仕方ないわね」
と、ラフィニアは催眠の魔法を使ってシスターを眠らせる。
そこに転移魔法でジルティナが訪れる。
「お待たせしました。…どうしましたか?」
「この子、私の秘密を見てしまったの。口封じの方、お願いね」
「分かりました。全く、貴方と言う人は…」
と、ジルティナは転移魔法で3人揃ってアジトへ向かう。
シスターを研究員に引き渡した後、2人はジルティナの部屋で話す事に。
「それで、貴方から見て、エミリア王女はどうでしたか?」
「そうねぇ。見たところ、清楚で可憐で、それでいて人の上に立つ者として真面目で芯のしっかりしてる女の子だったわ。コッソリ鑑定してみたけど、冒険者としても確かな高水準のステータスだった。流石陽光の姫君って所ね。後、星空の勇者には迂闊に手を出さない方がいい。彼は実力も練度も彼女達より遥かに上だったから」
「そうですか。こちらでも、ケイリーとミルザから、オーラが使える話は聞いていますし、星空の勇者にも油断はしません。彼女らに対する警戒レベルもちゃんと引き上げます」
「賢明ね。それと、私ももうアルテミシア王国を出立する事になってるけど、後の事はよろしくね」
「無論です。そちらも次の国での仕事の方もお願いしますよ。それでは、こちらも参りましょうか」
と、2人は部屋を出て、自分達の部署お控えの研究所へと向かう。
そして、そこにある魔法陣の中央に、先程の茶髪のショートヘアーのシスターの頭を持つ、筋肉質の男が裸で立っていた。
「融合は完了した様ですが、頭部以外は、ベースのままになってる様ですね」
「流石にその体じゃあ、彼女の代わりに教会に戻る事なんて…」
「問題ねぇよ」
と、男の筋肉が波打ったかと思うと、その身体が元のシスターと同じラインになる様形作られ、筋肉の変形を終えた男は、ピッタリフィットする様になった下着と修道服を身に付ける。
「これが俺が新たに得た能力。こんな風に自分の骨や筋肉を、自分の思い描いた形に変形させる事でどんな形にもなり、女の身体らしく見える様、騙す事だって出来る。ぱっと見じゃあ気付かないし、直に触られても固さを調節すれば分かんねぇよ」
「成程。それなら問題無いわね。じゃあ、彼女の代わりにシスターの仕事しておいてね」
「それでは、ラフィニアが去った後のアルテミシア王国の動向を探って下さいね」
「了解だ。俺の方も、取り込んだ女の知識に記憶、素養に至るまで、全て俺の一部となった。だから…これからは私の事は、アルテミシア中央教会のエーミアとお呼び下さいね、ラフィニア様、ジルティナ隊長」
それから時が流れ、ラフィニアのアルテミシア中央教会での勤務期間が終了を迎えた。
その翌日、玄関口にて、エーミアと挨拶をしていた。
「それじゃあ、私は行くから、後の事はお願いね」
「えぇ、いってらっしゃいませ、ラフィニア様」
そしてラフィニアを見送ったエーミアも教会の中に戻り、シスター達を見渡していく。
(へへっ。やっぱり此処のシスター達は良い女が揃ってる。出来れば、あんな事やこんな事を…)
と、エーミアはスカートの前部分が盛り上がり始めたのに気付き、太ももの筋肉を変形させてそれを隠す。
(っと、あぶねー。俺も此処では元のエーミアと同じ様に清楚なシスターを演じておかねぇと。…そうだな。騙せそうな奴が居たら、病気だの何だの噓ついて、治療と称して犯して、勘付いたらまた素体にすれば…ん?)
と、エーミアは目の前を歩くスバルに気づいて声を掛ける。
「あらスバル、おはよう。今日も早いわね」
「エーミアさん、おはようございます。私も教会の仕事の傍ら、学校の課題を片づけたり、新学期の準備をしたりしなくてはならないので」
「あらあら、シスターに学生に冒険者、三足の草鞋で大変ねぇ」
「そうなんですよ。私も早く、立派な聖職者にならないといけないので」
「まぁそうなの。それじゃあ、頑張ってね」
「はい、失礼します」
と、去っていくスバルをエーミアは邪な目で見つめていた。
(スバル・フェニア、うちの元実験体。見れば見るほど、欲情を誘われる身体付きじゃねぇの。畜生、アイツが脱走せず、双性者の一員になってくれたら、俺もその身体で遊ぶ事が出来たのに。まぁいいや。俺もラフィニアと同じ役割を持った以上、俺の方でも新たな実験材料を狩らせて貰う。そしてケールとラーナみたいな関係を築ける新メンバーを見繕っておくか)
そしてエーミアは、男としての本性を隠しながら、清楚なシスターを演じて教会の仕事に没頭していく。
この様にして、何時何処で誰が"天の笛"となり替わっていくのかも分からない。
エミリア達もその事にすら気付かないまま、このまま新学期を迎えていくのだった。
次から3学期へ。




