第29話
今回は転移者と転生者をかなり出します。
冒険者ギルド、受付カウンター
エミリアはカイト達3人のランク昇格に付き添っていた。
「良し、これで僕達もAランクだ!」
「交流会に海賊討伐、そしてこの前のタイラントボア。あらゆる功績が認められて此処まで来た!」
「これで私達も堂々とAランクパーティーとして胸を張れる!」
「3人共、よく頑張ったわね」
「それじゃあ、打ち上げに行きますか」
と、レオニーの声に4人はギルドを出ようとする。
「あれ?もしかしてエミリア様ですか?」
一同が声のした方向に振り返ると、黒髪太眉の少年がいた。
「貴方は?」
「あ、そう言えば俺、違うクラスだから接点無かったっけ。俺は1年2組のレン・ラヴァーズです。俺は此処には今度行われる大会へのエントリーの受付に来たんですけど、エミリア様も?」
「あぁ、残念だけど、Bランク以上は参加出来ないの。此処にはこの3人のランク昇格に付き添ってただけ」
「そうですか」
「エミリア、大会って?」
「今度行われる、Cランク以下限定の国とギルドの共同で行われるイベントで、私も運営側の仕事をする事になってるの」
「そう!今度行われるバトルロワイアル!その上位4組になった時に選択出来る景品の1つ、遊園地団体招待券で彼女達との熱い時間を過ごすんです!」
「彼女達?」
「現在、俺の彼女は11人!これからも増えていく所存です!」
「それ明らかに浮気よね?男女不純異性交遊に引っ掛かってるよね?」
「俺は全員を平等に愛する!それが出来なければその場で腹を切って死ぬ!」
「此処まで命を懸ける浮気、アタシの居た世界でも見た事ねぇぞ」
3日後、郊外の森入口
そこでは、今日行われる大会の受付が行われており、エミリア達も運営の仕事をしていた。
「大盛況ね~。こんなに参加者が集まるなんて、これも景品効果かしら?」
「えぇ、景品が豪華であればある程、参加意欲が刺激されますからね」
その声に振り返ると、そこにスーツ姿の30代の黒髪男性と、赤髪ポニーテールの女性がいた。
「貴方達は?」
「初めまして、俺は魔王軍幹部外交担当、宮村平助と申します。今回はこの国の視察に参りました」
「私は魔王軍幹部行動隊長、サラマンダーのフレアだ。よろしく頼む」
「あぁ、リーベルさん達が言ってた異世界人ですか?わざわざ挨拶ご苦労様です」
「えぇ、今回そのリーベルさんに、自分達もスタッフをやる大会を見に来ないかと言われた次第でして。可能ならば、今後人間と魔族合同で行って貰おうかと」
「それ、うちの国もお願いします」
と、そこに12歳の赤髪の少年がやって来る。
「初めまして、僕はアレックス・マグガフィン。古の竜の地の初代国王です」
「聞いた事がある。僅か12歳にしてアルテミシア学園を飛び級合格した天才少年で、古の竜と契約して、守護していた地を譲り受けた侯爵家四男。お父様も絶賛していた天才だわ」
「知っていただけて光栄です、エミリア王女。僕もその名に箔をつけてる所で、現在Cランクです」
「成程。でしたら、こちらでも魔王様にお話を通しておきます」
「お久しぶりです、エミリア王女」
と、そこにトウヤ達までもがやって来る。
「貴方達、あの時の…?」
「あぁ、あの時は自己紹介を忘れてました。僕はトウヤ・カスガ。こちらは僕の従者の…」
「セラ・イルストーム。エルフで細剣を使う剣士です」
「カンナ・リンフレータです。バトルメイドをやってます!」
その時、トウヤの背中から、上半身が白髪の幼女のアルケニーが顔を出す。
「マスター、ポポルの事も~」
「あぁ、ごめん。この子は僕の使い魔のポポルです」
「もしかして、貴方テイマー?」
「いえ、テイマーはサブクラスで、メインクラスは錬金術師です。僕達、9月に学園に入るのでお願いします」
「そうなの。夏休みが明けたらよろしくね」
「何だ。随分賑やかなのがいるじゃないか」
と、そこにアラタが声を掛ける。
「アラタ?何で貴方が此処に?」
「此処のスタッフをやってるんだよ。カガリの機嫌を取る為に」
アラタが指差した方向を見ると、カガリが数人と話し合ってるのが見えた。
「あの人達、Aランクパーティーの純白の盾よね?」
「知ってるんですか?」
「えぇ、先ず白髪の彼はリーダーのタンクのシェズ・サリズ、赤髪の彼はシーフのロッソ・ラグド、ピンクのセミロングの女の子はヒーラーのリズ・ピルカーよ。一体カガリさんとどんな関係なの?」
「実はアイツらカガリの正体を知ってる上に、シェズもカガリに惚れててな。何度もパーティーに誘ってるんだよ」
「そうなんだ」
「じゃあ、俺は仕事に戻るから」
「じゃあ僕達も、大会の準備に戻りますね」
そうして一同は一旦解散の流れとなった。
郊外の森、荒野地点
そこでは、大会に出場しているパーティー達が集まり、アナウンスが流れる。
<さぁ、始まりました、アマチュア冒険者パーティーバトルロワイアル!出場者は皆Cランク以下の冒険者パーティー達!皆様には100以上いるパーティーの中の4パーティーになるまで戦って頂きます!見事勝ち残った者達には、選択式の景品を手にする権利と、活躍によってランク昇格となります!皆さん、準備はいいですか?それでは、始め!>
そして開始のブザーと共に、皆が一斉に動く中、赤を基調とした服装の赤髪の青年が右腕のブレスレットのボタンを押す。
「サイバーブレス!」
<ダイブ・オン!>
「サイバーチェンジ!」
そして青年が両腕を回して交差させ、下に降ろすと、黒いライダースーツと赤いプロテクター、そして赤いマスクが装着される。
「電脳の赤き壁!サイバーレッド!」
そしてサイバーレッドがポーズを決めると、彼の背後に赤い爆発が起きる。
<何あれ?!魔力を感じないから魔道具じゃないのは分かる!でも何で爆発?!>
<えー、只今入りました情報によりますと、彼は異世界の戦士、鏑木ソーマ。またの名をサイバーレッド。彼は5人組の戦士、電脳戦隊サイバーズとして、電脳の力を悪用する悪の組織と1年間戦っていたそうです>
「サイバーブラスター!」
そしてサイバーレッドが銃を取り出すと、参加者達に撃ち、剣も取り出す。
「サイバーブレード!」
そこからすれ違いざまに斬り倒し、そしてやられた者達は爆発し、黒焦げになった。
<何で銃や剣で倒された人達爆発してるの?!あの人達大丈夫なの?!>
「私達もソーマに負けてられないわよ!」
そしてパーティーメンバーの魔導士の少女、剣士の青年、姫までもが続いていく。
「まさか異世界に来てまでヒーローショーが見れるなんて…」
「トウヤ様、私達も!」
「あぁ、ごめん。」
トウヤ達も、各属性の魔力を宿した武器、魔法を工夫しながら戦果を挙げていく。
「それじゃあ、リーンにファン、取りこぼしお願いね」
「任せて、アレックス!」
そしてアレックスが範囲魔法で殲滅、取りこぼしを2人の少女が剣と弓で倒していく。
そんな中、レンのパーティーは乱戦の中、慎重に動いていた。
「皆!この大乱闘の中、お互いを見失わない様にしよう!」
「はい、レン君!」
「別に、勝負の為にやってるだけで、アンタなんかの為じゃないんだからね!」
彼等の後方にいる小動物の様な青のウェーブロングの少女に魔力弾が被弾し、倒れる。
「っ!シーちゃん!」
「おっ、ラッキー!まぁ、見るからに弱そうだし、こうなって当然の雑魚だな、こりゃあ」
攻撃していた魔導士の言葉に、レンのパーティーメンバー達の何かが切れた。
その瞬間、レン達は破格の勢いで冒険者達をなぎ倒していく。
<何だぁ!?レン・ファミリー、いきなり怒涛の勢いで周りを吹っ飛ばしてるぞ!?>
<どーも、私、アリア・ガルウェナーが解説します。えー、攻撃を受けたシー・サイレさんは、レン・ファミリー1のマスコット。それ故に、彼女を泣かせたり傷つけたりする行為は彼等の逆鱗に触れる事になり、所謂「てめーはおれを怒らせた」状態に移行し、超人の力を以て無双させてしまう事になります>
<スタッフでもないのに、解説ありがとうございます>
「おっ、凄い勢いだな。俺達も負けてらんねぇ!来い、サイバービースト!」
<サイバービースト!>
サイバーレッドがブレスのボタンを押すと、赤いライオン、青い狼、緑の熊、黄色い鳥、黒いゴリラのロボが現れ、それを見たサイバーレッドもまた別のボタンを押す。
「電脳合体!」
<電脳合体!>
そこからライオンが胸部と腰、狼が右足、熊が左足、ゴリラが両腕、鳥がバックパックとなった巨大ロボへ合体する。
<完成!サイバーキング!>
『えぇ~!?巨大ロボが出た~!?』
そしてサイバーキングのライオンの口が開き、全身のエネルギーが収束される。
<サイバーキング!デジタライズキャノン!>
そしてライオンの口から発射されたエネルギー弾で目の前の冒険者達は吹き飛ばされる。
『容赦ねぇ…』
「っと、こっちも若き王としての威厳を見せておこうか!」
そう言ったアレックスは目の前の冒険者達を土の壁で覆い、真上から火球を落とし、気絶させる。
「ポポル、準備は良い?」
「OK!」
そしてトウヤの加護を受けたポポルは目の前を駆けまわり、冒険者達を糸で縛り付け、セラとカンナがノックアウトしていく。
そうして遂に終了のブザーが鳴った。
<終了!この大会を勝ち残ったのは、レン・ファミリー、サイバーズ出張版、デアライズ王国、白翼の光だ!>
歓声が上がる中、エミリアとアラタは頭痛を起こしていた。
「…彼等の事、お兄様達に教えておかないと」
「胃に穴が開きそうになるだろうけどな…」
見事勝ち残った4チームは、表彰されると共に、褒美もまた与えられる事となった。
レン・ファミリーは、遊園地団体様招待チケットとCランク昇格、サイバーズ出張版は、Aランク魔法石1袋とAランク昇格、デアライズ王国は、古の魔導書3冊とAランク昇格、白翼の翼はAランク魔物の素材とCランク昇格を手にする事となった。
その後、エミリア達はサイバーズ出張版、デアライズ王国、白翼の光、平助とフレアを連れ、アルテミシア城のアルベルトの執務室で、彼等をアルベルトとアルフォードに紹介する。
「と言う訳で、彼等が今回見つけた転移者及び転生者です」
『何故僕達が転生者だと?』
「アレックス陛下、そしてトウヤ君、貴方達はソーマが出したゴーレムをロボと呼んでいたでしょう?レオニーとアリアに確認を取ってあるから、言い逃れ出来ないわよ」
「何かアレックス、年齢以上に中身が出来てるなと思ったら、そう言う事だったんだね~」
「はい、それなら納得です」
と、金髪くせ毛ポニーテールの少女リーン・フィフィーと、黒髪ストレートロングの少女ファン・レノンが納得する。
「ほらソーマ、貴方がゴーレム出したせいでこうなっちゃったじゃない」
「ごめん、俺もつい熱くなっちゃって」
と、ソーマは紫髪のストレートヘアーの魔導士の巨乳少女ミュリナ・シェムハに叱られる。
「コホン。えー、転移者及び転生者の実力者である貴殿らの耳に入れておきたい話がある」
そしてアルベルトも、一同に例の組織に関する話をする。
「…と言う訳で、この世界の平和を守る為に、貴殿らの力を借りたいのだが、どうだろうか?」
「当然だ!俺もヒーローとして、人々の平和を守る為に戦うぜ!」
「貴方ならそう言うだろうと思ったわ」
「ランスロット、私達も付き合いますよ」
「かしこまりました、サーシャ様」
と、銀髪の幼き姫サーシャ・フォン・マリステラと青髪の騎士ランスロット・ゲイザーも同意見を取る。
「僕も、人と魔物が共存する国を作った王として、民を守らなければなりません」
「アレックスがそう言うなら私達も!」
アレックスも、王としての責務の為に賛同する。
「僕もこれからの毎日を守りたいので、協力します」
「私達も手伝います!従者なので!」
トウヤも、守りたい日常の為に賛同する。
「これについては、一度魔王様の下で聞いてみます。もう暫しお待ち下さい」
平助も、中間管理職としての対応を行う事にした。
「話は以上だ。今後諸君の力を借りる事になるだろうから、その時はよろしく頼む」
アルテミシア城、客室
他の者達が既に帰った中、サイバーズ出張版は、エミリアとアラタと個人的な話をしていた。
「まさかマリステラ王国にも転移者が居ただなんて思ってませんでしたよ」
「しかも、この世界からしたらオーバーテクノロジーのな」
「本当よね。私もソーマのあれやこれやを見た時、色々とツッコミが止まらなかったわよ」
「俺も初めてこの世界に来た時は驚いたが、助けを求める声があれば関係ねぇよ。俺もヒーローとしての矜持を全うしつつ、元の世界に帰る方法を見つけて、向こうの仲間と再会する。それが今の俺の行動目的だ」
「…世界間混入。それは500年前から起きてる事かもしれません」
「どう言う事ですか、サーシャ王女?」
「500年前の勇者物語に出て来る勇者以外にも、異世界からの使者が勇者パーティーに居たんです。そして、その世界から持ち込まれた技術や力で共に魔王を討伐したとも言われています。それから500年経った今でも、その力は受け継がれている。これが世界間混入の始まりではないでしょうか」
「…確かに、そう捕らえられるのも自然だ。まさか奴ら、これに基づいて…?」
「そこら辺は今考えても仕方無いから、一旦置いておきましょう」
「まぁ兎も角、私とミュリナさんも、9月にはアルテミシア学園に留学する事になってますし、その時が来たら、改めてお願いしますね」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
エミリアの執務室
エミリアはゼシカと水晶で通信していた。
「…と言う訳で、新たに転移者と転生者を見つけた次第でして…」
<成程。是非会ってみたいものです。特に鏑木ソーマさんの巨大ゴーレムを見てみたくなりました>
「いや、あれはソーマに聞いてみたけど、本当は巨大戦を想定して用意されたものらしいですよ?流石に私もあのサイズの敵とは出会いたく無いですけど…」
<一応、フィルビアの方でも誰か流れ着いていないか確認してみます。では…>
と、ゼシカの通信も終了された。
「…異世界か。本当に色々あるんだな」
「俺としては、あまり混入されたくないけどな」
と、アラタが書類を持って来ながら話しかける。
「後処理の仕事まで手伝ってくれてありがとうね、アラタ」
「構わない。俺の方も、見応えのある企画で楽しませて貰ったからな」
「転生者チームも、この世界で得た技術を上手く昇華させて立ち回れたものね。まぁ、ソーマのあれは私もツッコミを入れざるを得なかったけど…」
「異世界のあらゆるバリエーションは、可能性の拡大にもなってくる。繋がる世界が増えると、可能性も海の様に広がり続けていく事になる」
「それじゃあ私達も、その波に飲まれない様にしましょう」
「そうだな」
こうして2人は事後処理をしながら、異世界の話題を楽しむのだった。
バリエーションは色々あった方がいい。




