41 乙女心は複雑です
お久しぶりですのでキャラ紹介します
センカ ヒメコ 異世界から召喚された日本人 同室 他にサクマ・ニシカワなど計8人いる
ルーギル 領主の息子でイケメン 功績の多いセンカに求婚中
ネミ センカとヒメコの世話をするメイド
センカたちがこの世界に来てから、まだまだ一向に解決しない問題がある。
「困った」
今センカはその中の一つに頭を悩ませていた。
それはヒメコとルーギルの両片思い問題だ。
ヒメコは寝る前に時々ため息をつく。
「センカはルーギルさんのこと、どう思ってる?」
か細い声で聞かれた時は、本当に申し訳なかった。
ルーギルがヒメコを好きなのは一目瞭然なのだが、貴族は自分の恋愛感情だけで結婚が決められない。
今現在目をつけられているのはセンカだが、サクマさんは天然酵母からフワフワパンを作り出すことに成功した。
ニシカワさんは食生活改善だけじゃなく、看護師の経験を活かして衛生指導を行っている。
たとえセンカが求婚を断っても、ルーギルはこの2人のどちらかに照準を変えるだけだろう。
「体育倉庫にヒメコとルーギルを閉じこめるか」
そんなものはここにない。
「雪山の山小屋は」
今はまだ暑いし山もない。
(そもそもあの二人、二人だけになったことないんじゃないのか?)
センカは重要なことに気がついてしまった。
「まずはあの二人を二人きりにさせることから考えなくちゃ」
そもそもこの世界で誰かと二人きりになること自体が少ない。
城の中は兵士や使用人だらけで、つねに誰かが一緒だ。プライバシーもへったくれもない環境。
単独行動が好きなセンカですら少ないのだから、いつも数人と一緒のヒメコに可能なのだろうか?
(そもそもこっちの世界の人間は、どうやって恋愛するんだろう)
まあセンカは祖国の方でも知らないのだけどね。
「えええ、恋愛ですか?」
洗濯物を取りこんでいるメイドのネミを捕まえて聞いてみる。
「わ、わたしの口からは何とも」
すごい困っている。彼女にしては珍しい。
「ネミには好きな人とかいないんだ」
残念そうに口にしたら、ネミは顔を赤くさせ目をそらす。
センカは目を光らせた。
(これは絶対いるパターンだ)
なので、ことあるごとにセンカはネミを観察してみる。
初めは分からなかったが、時々彼女に話しかける青年を確認できた。
ネミはいつもよりかわいい笑顔でニコニコしている。
センカは気がつく。
(目を合わせる時だけ、二人の周りには人が少ない? なんで?)
考察するに、おそらく周囲の様子をうかがい、皆の注意がそれる一点を突いて目を合わせているのだ!
(すごい。プライバシーが危うい空間で、しっかり二人だけの瞬間を獲得している)
対人スキルが半端ない。
以前センカは現代では便利になった分失われた能力があるとテレビで聞いたことがあった。
(それなのか)
センカには無理だ。ヒメコも多分。
「二人きりにさせるのは無理だなあ」
「二人って?」
「ヒメコとルーギルだよ、どっちもウジウジしていてこっちがやきもきする」
ん、とセンカが顔を上げたら、まっ赤になったヒメコがいた。
「うっ、あの、ヒメコこれはその」
あわてるセンカをにらみつけるヒメコ。
「同情しないで! ルーギルさんはセンカのことが好きなんだからつき合えばいいじゃん!」
は? とセンカは口を開けた。
「え、どゆこと? あの人が好きなのはヒメコでしょ」
ヒメコは苦しそうな顔になった。
「そんなことあるわけないじゃん。私、聞かれたんだよ。センカにプレゼントするなら何がいいかって。ルーギルさんに!」
センカは空を見上げた。
(何やっとるんじゃルーギル!)
そんなことをしたら誤解されるに決まっている。
(乙女心が分からないの? ハァ‥ 分からないんだろうな)




