40 ブドウからできる物
9/18 とうとうゼロポイントのまま一章完結してしまった‥!
アダチさんがなんでブドウにこだわるのかは、城に帰ってから分かった。
「レナっちもブドウだと思うよな、やっぱり」
持って帰ったツルや葉を植物に詳しいサクマさんにも見せて確認している。
「そんなにブドウ好きなんですか?」
疑問を持つセンカに、アダチさんはふっふっふと笑う。
「物知りなセンカちゃんにも分からなかったかな? ブドウがあれば、ワインが作れるのだよ!」
ワインの原料=ブドウはセンカだって知っている。
ただセンカにはブドウを見てすぐワインが連想できなかっただけだ。
隊商が来た時、召喚組は領主一家にワインをふるまわれたのを思い出す。
ここではワインも貴重品らしい。
センカも白湯で割ったワインを味見したが、別に良さは分からなかった。
しかしアダチさんの高らかな宣言に、訓練場に集まっていた兵士が一斉にふりかえる。
「ワインって、祭りの時にしか飲めないアレか?」
「この町でワインって作れるのか?」
「一体どうやるんだ、教えてくれ!」
センカは酒飲みの酒にかける情熱を始めて知った。
「昔はブドウ畑があったことは知っているが森に飲まれたとか。しかし‥ 場所がある程度分かるならワインの作成も可能なのか?」
ルーギルまで目を光らせている。
夏中、兵士隊は街道整備とブドウ畑の痕跡探しに汗水流すことになった。
ルーギルもそっちに夢中で、センカに無駄なちょっかいを出さないのはラッキーである。
ホテイさんとタジリさんが、討伐隊に志願した。
アダチさんが無事戻って来たことを見て、やる気になったらしい。
(男の人の競争意識は分からないなぁ)
で、ついでにブドウの木の周辺を間伐してきたようだ。
「秋が楽しみだな」
広間の話題はそれ一色。
「皆さまのおかげで今年は収穫祭が開けます」
領主一家もニコニコしている。
センカも城壁に登った時、麦畑が黄金色に色づいているのに気がついた。
羊の群れもいる。三圃制、と言う言葉をセンカは思い出す。
魔獣の被害が減ったから今年は豊作が期待できるらしい。
隣町への街道整備が完了したら、物資が手に入りやすくなり転生知識がもっと役立てる。
伐採した小枝が大量にあったから、オオチ君は植物紙の作成に取り掛かった。
アニメで作り方を見たことがあるらしい。
召喚組は大した魔法を使えていない。
だけど各々自分の力で居場所を作っている。
ヒメコとルーギルのことはまだ上手く行かないけど。
(私たち、少しは世界を救えたのかな)
この世界に来た時よりは、城の中には笑顔が増えたような気がする。
今までやってきたことを思い出しても、ほとんどが未完成だ。
成しとげたことは本当に少しだけ。
だけど世界を救うと言うのは、華々しい魔法ではなく地道な努力によるものなのではないだろうか。
(だから、これでいいんだ)
センカはフッと笑った。
きっと今日も明日も明後日も、センカたちはこの世界を救い続けるのだろう。
第一章 終わり
本当に何も解決していないのに終わらせてすみません。
ショボい魔法しかないと、世界を救うのがとんでもなく面倒くさいと言うラストです。
第二章は気が向いたら書きます。
ぽ、ポイントが入ったー!!!
星を四つ入れてくれた方、ありがとうございます!
今作ではあなたが初めてです!
もし第二章も読んでみたいな、との方がいらっしゃいましたら、ぜひブクマやポイントをお願いします!