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ショボい魔法しかない異世界に召喚されて‥世界ってどう救えば良いのですか⁉  作者: ノーネアユミ
1章

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39/52

39 この木なんの木


 釣りはここでは少ない娯楽の一つだ。

 夏は肉より魚の方が食卓に並んだ。

 異世界組ではアダチさんが好きで、五日に一度の休みには必ず川に遊びに行く。



「センカちゃん、ちょっといい?」

 講義の後、センカはアダチさんに声をかけられた。


「あ~ この前の見回りの時にさ、魚釣りの餌の虫見つけたじゃん。どこで採ったか覚えてる? あ、木の近くまで案内してくれるだけでいいんだけど」


 いつもはチャラいと思っていたアダチさんが、気持ち悪い芋虫についてはセンカを気遣ってくれる。

 さすが奥ゆかしい日本人だ。


「構いませんけど、馬が必要ですから。貸してくれますかね」

 前線基地に向かうには馬で3時間はかかる。




「コウタ殿も魔獣狩りに参加されては?」

 ルーギルに相談したら意味深な笑顔で誘われてしまった。


「え、どうしよ」

 蒼白になったアダチさんは、とりあえず一回だけ参加を決意する。




「ね、ねえセンカちゃん、今魔獣が少ないのは本当なんだよね? ね?」



 アダチさんはやっぱりチャラ男だった。

 夜回りでも全然役に立たない。


「無理、無理だよう~ 俺には怖いって!」

 

 周りから白い目で見られる。

(ついて来たなら覚悟を決めればいいのに)


 隊を率いるルーギルもため息をついた。




 昼の休憩時間はみんな基地周りをブラブラしている。


 センカはアダチさんを灌木の茂みに連れて行った。

 アダチさんは、幹やツルや緑の実を凝視する。


「やっぱりそうだ‥ センカちゃん、これブドウの木だよ」

 アダチさんは目をキラキラさせた。



 木についた虫はブドウ虫と言うらしい。

 釣り好きのアダチさんは果樹園で採取させてもらっていたとか。


 ブドウの木は探したら他にも何本もあった。


「秋になったら採りに来なくちゃ」




(ブドウ好きなんだな)

 ニコニコしながら基地に戻ると、無表情のルーギルが待っていた。



「私の目を盗んで、男女が二人で茂みに入るとは何ごとですか」


(うわめっちゃ怒ってる)


「別に何もありませんよ、ブドウの木を探していただけです」

 センカはふくれて言い返した。



「しかしですね」

 ルーギルはセンカの肩に手をかけた。


「私は今貴方を口説いている最中なのですから、誤解を招く行動はおひかえください」

 そしてアダチさんをにらみつける。


「断っている最中だってことも知ってますよね。私だって誤解されたくないんですけど」

 センカは腕を振りほどいた。



 アダチさんは目をパチパチさせている。



 次回、何も解決しないまま最終回!

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