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38/40

38 謎の木の実

 距離の単位 リー  1リーは約4km


 柵は成功した。

 朝から作業ができたからか、センカ達が馬で向かうと道はかなり奥まで切り開けている。


 夜中、魔獣は出たそうだが柵が破られることはなかった。

 物資が追加される。


 安心して作業を進められるようになったが問題はまだある。


「今は一日どれくらい進める?」

「歩幅にして70歩から80歩でしょうか」

 一日に50メートル強だ。


「それでは遅い。街道の中間地点まであと5リーもある。開通までの時間と労力を考えたら‥ 街道整備を優先して、周りの間伐はひとまずあきらめよう。明日からは人員も増やす」



 隊長であるルーギルの決定に従って、間伐組は草むしりに動員される。

 道沿いの灌木伐採も石畳から半歩分に縮小される。



 開発する空間が少なくなると、木陰が増え涼しくなるし整備のスピードも上がる。

 午後になりセンカ達が引き上げた時点で、100メートル以上は進めていた。



「明日からは小隊を二つ街道に回す。よって女性陣は城に留まるように」


 帰り間際ルーギルが命令を下した。

 みんなからエエ~ と声が上がる。



「静かに。御婦人方の安全のためだ」

 ルーギルは兵士をにらみつける。


 センカだって不満だ。草取りは結構楽しいから。

(女性陣って言うか、ヒメコのことだろう)




 毎日訓練と講義をくり返し、時々夜中の見回りに加わる。

 単調なルーティーンに戻ってしまった。


 前に比べて訓練にはだいぶ慣れたし乗馬も苦にならないけど。


 ただ熱いのはゲンナリする。

 季節は夏に突入。日本よりはずっと涼しいはずなのに。




 夜中の見回りが待ち遠しくなるとは思わなかった。


 今は夜が短いから魔獣も数が減るらしい。

 討伐も二日に一度くらいだ。

 そして昼間は好きなだけダラダラできる。



 そんな日の午後、間伐地帯をウロウロしていたらきれいな小鳥を見かけた。

 珍しいから静かに追いかけると、低木の茂みに飛びこんでいる。


(木の実でもあるのかな)


 細かく観察すると、低木から伸びたツルには緑色のかわいらしい実がいく粒もついている。


(食べられるかな)

 センカは少しもいで口に入れたが‥ とても食べられる代物ではなかった。



「今の季節じゃ食べられる木の実は少ないぜ」

 拠点に戻ってグチると、兵士のガビー君が教えてくれる。


「せめて秋にならないとな」

「でも小鳥がいたから」

「それ、実じゃなくて虫を食べてんだよ。明日一緒に確認しようぜ」



 ガビー君の言う通りだった。

 低木には気持ちの悪い芋虫がくっついている。


「これ、魚釣りに使えるやつだ」

 ドン引きするセンカに気づかず、ガビー君は大きな葉を円錐形に丸め、芋虫を放りこんで行く。


「魚が獲れたらやるよ!」

 ガビー君の満面の笑顔に、センカは顔を引きつらせながらうなずいた。


 ガビ―君は精一杯センカにアピールしています。

 まったく気がついてもらえないけど。


 ストックなくなったので、後二話で第一章を終わらせます。

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