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クラス転移で僕のスキルが【万物配送(アー・マ・ゾーン)】!? 〜パシリ確定の最弱スキルは異世界文明を【改革無双】する~  作者: のびろう。
プロローグ

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プロローグ ハズレ枠と嘲笑われた【万物配送(アー・マ・ゾーン)】

「はぁ……なんて極上の香りなんでしょう」

清潔な湯気に包まれた真っ白なテントの中で神宮寺沙織は恍惚としたため息を漏らした。

彼女の美しい黒髪は高級なシャンプーの泡で包まれフローラルの香りが空間を満たしている。


温かいシャワーが彼女の白い肌を滑り落ちていく。

ここは魔物が徘徊する危険で不潔な異世界のはずだった。

しかし彼女が今いる場所は地球の高級ホテルのような完璧に管理された快適な浴室である。


泥と悪臭にまみれた地獄のような旅路から彼女を救い出してくれたのは一人の心優しい少年だった。

「海斗くん……あなたの運んでくれるものは本当に奇跡みたい」

沙織は彼の誠実な笑顔を思い出しながら自分の胸に手を当てた。


この時はまだ誰も気づいていなかった。

世界を救うのは勇者の聖剣ではなく一人の荷物持ちの思いやりであることを。

時間は少しだけ遡る。


ーーーーー


ある日の放課後だった。

教室にはいつもの顔ぶれが残っていた。


クラスの中心人物である豪田豪と取り巻きの田中一郎。

財閥令嬢でクラス委員長の神宮寺沙織。

図書委員で隅で本を読んでいる西園寺由美。

剣道部主将の剣崎結衣。

いつも飄々としている服部霞。

そしてごく普通の一般生徒である僕こと相田海斗だ。


帰り支度をしていた僕たちの目の前に突然奇妙なウィンドウが浮かび上がり、

それは現代のショッピングサイトのようなオレンジ色の枠を持っていた。

「なんだこれ?」と豪が叫ぶ間もなくウィンドウが強い光を放つ。

視界が白く染まり僕たちは意識を失った。


目覚めるとそこは石造りの巨大な広間だった。

ステンドグラスから差し込む光が並び立つ鎧の騎士たちを照らしている。

ここはどこだとクラスメイトたちがざわめく。


ふと気づくと僕たちの服装が変わっていた。

豪は黄金に輝く重鎧を着ており沙織は純白のローブを纏っている。

結衣は和風の軽鎧で霞は黒装束だった。

由美はダボダボのローブで僕は動きやすい作業着のような服だ。


「よくぞ参られた異世界の勇者たちよ」

一段高い玉座から王冠を被った老人が立ち上がった。

王様と名乗った彼は僕たちがこの世界を救うために召喚されたのだと語る。

魔王を討伐すれば現代に戻れるというお約束の展開だった。

そして王様は僕たちに与えられた特別な能力について説明を始めた。


「皆の者にはステータスウィンドウを念じることで自身のスキルを確認できる特典が与えられておる」

豪が真っ先にウィンドウを開き高らかに笑い声を上げた。

彼のスキルは『聖剣召喚』という伝説の能力だった。

豪が手をかざすと眩い光と共に巨大な聖剣が現れる。

騎士たちからどよめきと歓声が上がった。

一郎も『身体強化』のスキルを得て豪を持ち上げている。

僕は自分のウィンドウを恐る恐る開いた。


そこに記されていたのは【万物配送(アー・マ・ゾーン)】という見慣れない単語だった。

戦闘関連のスキルではないことは名前からして明らかだ。

「おい海斗お前は何のスキルだったんだよ」

豪が聖剣を肩に担ぎながらニヤニヤと笑いかけてきた。

僕がウィンドウの表示を伝えると豪は腹を抱えて爆笑した。


「アー・マ・ゾーンだってよ。完全に荷物持ちのパシリ能力じゃねえか。俺たちが戦ってる間お前は後ろで荷物でも見張ってろよな」

クラスメイトたちの何人かもつられて笑い声を上げる。

僕は苦笑いをして頷くしかなかった。

そんな中で沙織だけが心配そうな顔で僕に歩み寄ってきた。


「海斗くん、気にしないでください。どんな能力でもきっと役に立つはずですから」

彼女は僕を気遣う言葉をかけてくれたがその表情はどこか青ざめていた。

美しい顔が引きつり鼻をハンカチで押さえている。


それもそのはずだった。

この豪華に見える王城はとてつもなく臭いのだ。

恐らくこの世界の文明レベルは現代で言うところの初期ヨーロッパなのだろう。

水洗トイレや水道といったインフラは存在しないらしい。

王様や騎士たちからも風呂に入っていないすえた体臭が漂ってくる。


極度の潔癖症である沙織にとってここは地獄のような環境だ。

彼女の純白の聖女ローブの裾はすでに城の床の埃で黒ずみ始めていた。

沙織が息を止めて苦しそうにしているのを見て僕は何とかしなければと思った。


僕はこっそりと自分のスキルの詳細を確認する。

ウィンドウの奥に隠された説明文を読んで僕は驚愕した。

そこには現代日本のあらゆる物資が並ぶ見慣れたショッピングサイトの画面があった。

カップ麺から最新家電まで何でも揃っている。

それは紛れもなくなんでも取り寄せることができる神スキルだったのだ。


ただ一つ違うのは購入に必要なのがお金ではないことだった。

商品の価格はすべて【EP(エンゲージポイント)】という数値で表示されていた。

ヘルプを開くとポイントの獲得条件が記されている。


人助けをしたり住民からの感謝を集めたりすることで【EP(エンゲージポイント)】が貯まる画期的なシステムだ。

これなら僕の行動次第でいくらでも現代の物資を引き出すことができる。

僕は自分の作業着のポケットを握りしめた。


魔王を倒すような派手なことはできないかもしれない。

でもこの不便な世界で苦しむ仲間たちを助けることはできる。

僕は誠実な運送業者としてこの世界に衛生と快適さを届けてみせる。

地道にポイントを稼いでまずは沙織をあの不潔な環境から救い出そうと心に決めた。


「よしお前ら行くぞ。俺が魔王をぶっ飛ばしてすぐに帰らせてやるからな」

豪がリーダー風を吹かせて王城の扉へと向かう。

僕たち勇者一行は意気揚々と魔王討伐の旅へと出発した。


しかし外の世界は王城以上に過酷だった。

舗装されていない泥道と不衛生な宿場町が僕たちを待ち受けている。

果たして誠実な荷物持ちとしての僕の第一歩はどうなるのか。

泥まみれの過酷な旅が今まさに始まろうとしていた。

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― 新着の感想 ―
アー・マ・ゾーンが完全に荷物持ちのパシリ能力??? 豪君は日本人かと思いきやそうでもない? これがユー・ビーンとかウン・ユーとかなら荷物持ちのパシリ能力だってのも分かるんだけど、アー・マ・ゾーンって聞…
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