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私は門番、名前は無い。

何故名前が無いのかって?それは私が門番になる為に、主によって生み出されたからである。

強いて言えば門番が名前かな?


私の仕事は、神殿に来る者を誰何する事だ。

誰何とは、誰だお前、何しに来た?って事を、聞く係だと思ってくれ。


まぁ、此処は主の御膝下、不埒な輩なんぞ早々来ない、来たとしても私が排除する。



そう思っていた時期が、私にもありました。


その日は珍しく転移門が起動した、…誰かが来るな。

油断無く観察する、人間?と、犬…いやアレは――。


ううむ、邪な気配は感じない、寧ろ何か神聖な祝福の力を感じる。

何処かの使徒だろうか?


此方の存在には、気付いていないのかな?何やら門の前で騒ぎ出したぞ。


騒いでいたと思ったら、クルクルしだした。

何がしたいのだこの二人は。


回りだしてから数分…何時まで回っているのだろう?

神殿に用があるんじゃないの?早くこっち来てよ!誰何させてよ!


来ない、こっち来ないよあいつら。

何時まで回ってるんだよ!…もういいよ、こっちが行くよ。


足は肩幅に、背筋を伸ばし、顔は少し上向きに、目に力を入れて、威圧する様に、腹の底から声を出し一言。


「誰か。」キリ


セリフと共に槍を、カッ!っと地面で鳴らす。


き、決まった、完璧だ、この瞬間が何時も気持ちいぃ~!

訪問者がいないとこれが出来ない、門番の唯一の見せ所、暇過ぎてシュミレーションはバッチリだ。


あれ?まだ回ってる。

聞こえなかったのかな?

ならもう一度。


「…誰か。」キリリ


決まった、コレも完璧だ。

今度は先程とは違い、左足を半歩引き、体を少し斜めに、胸を気持ち張り、顎を引き、睨みつける様に誰何した。

ふふ、どうだい凄いだろう?私の誰何は108式まであるのだよ。


…嘘でしょ?

まだ回ってるんだけど、何なのこいつ等。

ん~、流石にそろそろ門番的に限界ですね、真面目に誰何しましょう。


「ん!んん!誰か!!」


「うるせぇ!」「ウルサイ!」


「えぇ…。」


…処そうかな。



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