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とある村
かつてその村は、笑顔で溢れていた。
村は大地の恵みが豊穣であった、村の近くの森の奥には、聖なる泉があるらしく、そこから流れる水源があり、水も豊かだった。
水源のおかげで農作物も豊作続き、この大陸にしては珍しく、冬に餓死者が出ない程豊かであった。
しかし一年前、突如泉に災厄が訪れた。
魔女だ、魔女が現れたのだ。
村には伝承があった。
伝承では、古の魔物を封じた聖剣が、湖の底にあるらしい。
聖剣の力によって、泉が浄化され、聖なる泉になっていると。
その聖剣に魔女が呪いをかけた。
泉は枯れ、川も干上がった、蓄えはあるが何時まで持つか分からない。
何とかしようと、村人総出で泉に向かったが、森に入って直ぐに撤退を余儀無くされた。
モンスターだ、ただの村人では、ゴブリン1匹でも脅威なのが、この世界の常識だ。
それも複数体、絶望的である。
冒険者組合に討伐を依頼したが、辺境のこの地に来てくれる、物好きな冒険者は居なかった。
井戸も掘った、だが水は僅かにしか出なかった。
一年後
村の集会場に各代表が集まった。
そこでは今後の事を決定するための会議が行われていた。
若者の代表が、苦渋の表情で絞り出すように声を出した。
「村長、もう限界だよ、水を買う金も…もう無い、明日にも飲む水は無くなる。」
中年の代表が怒りの形相で叫んだ。
「一年耐えた…一年耐えたが!冒険者も領主も、動いてくれなかった!」
年長者の代表が疲れ果てた声でつぶやく。
「もう、村を捨てるしかないのかのぅ…。」
一年間、やれるだけの事はやった。
何度も森に挑だがダメだった、領主の館に直訴しに行っても門前払い、冒険者組合に掛け合っても、報酬が安すぎて無理だと、突っぱねられた。
村はもう限界だった。
「村長、決断を。」
「村長、決断の時じゃよ。」
「村長!」
「村長!」
「そんちょ!」←子供代表
「…………わかっ!!」村長
その時、森の方角から何かが飛来し、井戸に当たりまた何処かに飛んで行った。
Ξ首 ↘井戸↗ Ξ首 ☆
「一体何じゃ!」村長
井戸の方に全員が向かうと、其処には、井戸から間欠泉の様に噴き出す、大量の水があった。
「水だ!」「水じゃ!」「水だぞ!」「水や!」「みじゅ!」
其処には求めてやまなかった水が溢れていた、これがあれば村を捨てずに済む。
「奇跡じゃ。」村長
その日、村中に笑顔が咲いた。
数日後、川にも水が戻った。
川に水が戻るまでの間、村人の命を繋いだのはあの井戸だった。




