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5章の24

「護るじゃなくって、一緒に護ろう、だよ」

 はっとし、彼女を見る。

 千景は晴道を仰ぎながら、にこりと笑った。

 とても嬉しそうに。とても優しげに。とても凛々しく。

 同志の少女は正義を取り戻していた。

「ああ。……千景」

「うん?」

「俺たちはテロ組織ってことになったみたいだな」

 一之瀬がそう表現していた。彼を思い出したのか、千景は一瞬渋い顔をしたが、

「意思を貫くマイノリティーっていう意味だよ。いいじゃない。やってやろうよ」

 千景は前を見据えた。既に姿を消したオルタに挑みかけるように。

「どっちが罪人なのか、わからせてやる。そして本当の罪からまもってあげるんだから、感謝してよね」

 血球振動を操る少女は、確固たる口調で己の意思を示す。

 千景はもう大丈夫だ。怒りに我を忘れ、暴走することは二度とないだろう。

 晴道は彼女の横顔に微笑んだ。

 すっと手が伸びてくる。

「さ、私たちも帰ろうよ」

 千景は早くも一歩を踏み出しかけている。

 早く、この島から出よう。一緒に。

 そして共に歩んでいこう。

 晴道はその手を取った。

「よろしくな、千景」

 唐突な申し出に、きょとんとする千景。

 しかしすぐに、明るい笑顔で頷いた。

「うん、よろしくね。沖田くん!」

 二人は同時、駆け出した。

 向かう先は、連絡橋の伸びる埠頭。

 晴道と千景は、正面突破を貫いた。相対する正義に真っ向から挑み、そして自分たちの思いを押し切った。

 前方から吹き付ける海風が、駆ける二人を撫でていく。

 追い風は吹かないかもしれない。しかし、それならそれで構わないだろう。

 彼らは生まれながらに、風を切る術を持っているのだから。


End.

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