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神に転生したが、石像から動けない ―管理社会における神性観測記録  作者: 鷹宮ロイド


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第31話 対話を拒む制度

 問い合わせは、確実に増えていた。


 内容は、相変わらず曖昧だ。

 具体的な被害も、数値の異常もない。


 だが、同じ言葉が繰り返されている。


神殿について、説明してほしい

どういう位置づけなのか

行っても問題はないのか


 どれも、制度にとっては答えにくい問いだった。


 エリオ・クレインは、対応一覧を見ながら、静かに息を吐いた。


 否定する理由はない。

 許可する理由もない。


 会議は、短時間で終わった。


「神殿に関する個別対応は、行わない」


 ヴァイス=ヘルツが、淡々と告げる。


 声を荒げる者はいない。


「危険性はありません」


「禁止する理由もありません」


「だからこそ、対応しない」


 その判断は、制度として一貫している。


 扱えないものは、扱わない。

 測れないものは、評価しない。


 それは、排除ではない。

 回収でもない。


 沈黙という選択だった。


「誤解が広がるのでは?」


 誰かが、控えめに問う。


 ヴァイスは、少しだけ首を傾げた。


「誤解は、説明によっても生まれます」


 静かな言葉だった。


「測れないものについて説明すると、制度が保証していると誤認されかねない」


 それは、確かにそうだ。


 善意であっても、説明は線を引く。

 線を引けば、境界が生まれる。


「よって」


 ヴァイスは、結論を述べる。


「神殿は、制度の対象外とする」


 誰も反論しなかった。


 その判断は、正しい。


 対応方針は、簡潔にまとめられた。


神殿に関する行動は、個人の自由とする

制度としての評価・説明・関与は行わない

危険性が確認されない限り、介入しない


 それだけだ。


 肯定も、否定もない。


 リア・ノートは、その文面を読み終えて、静かに言った。


「……話さない、って決めたんですね」


「はい」


 エリオは、即答した。


「話せないことを、話そうとしない」


 それは、逃げではない。

 制度としての誠実さだ。


 その日の夕方、神殿の前には、いつも通り人が立っていた。


 告知も、説明も、届いていない。

 だが、禁止もされていない。


 だから、誰も気にしない。


 神殿は、制度の外側に置かれた。


 守られたわけではない。

 切り捨てられたわけでもない。


 ただ、語られなくなった。


 俺は、それを見ている。


 かつて、神は語られすぎていた。

 今は、語られなさすぎている。


 どちらも、極端だ。


 だが、今の世界は、これを選んだ。


 対話をしないという選択を。


 その沈黙は、しばらくの間、世界を安定させる。


 だが、問いは消えない。


 問いは、答えを求めるのではなく、

 置き場を探し続ける。


 制度が沈黙したとき、

 その置き場は、自然と一つに絞られていく。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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