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The Tír na nÓg 〜ティル・ナ・ノーグ〜  作者: 佐藤つかさ
第二章 承
79/222

7-8

 意外なことに、痛みはまるでなかった。

 体が自分のものではないようで、手足が上手く動かせなかった。


 背中から胸にかけて“何か”が、アイリスの体を貫通していると認識できたのはしばらく後だった。

 かろうじて視界でとらえられるのは 胸から生えた“何か”だけ。それは金属のようで、歪で、ぐちゃぐちゃで、ぬめっていた。

 

 地面から伸びているそれは、まるで竹のようにさらに高さを増し、それに比例してアイリスの肉が上に引っ張られるにもかかわらず、まるでゴムのように感覚がない。痛みがない。それは死の感覚。

 

 つま先が宙に浮いて細い体が持ち上がった。まるで案山子スケアクロウみたいに。

 

 地面に零れていく血だまりを踏みつけて、リリアーヌが無感情に見上げていた。

 

 

「敗因をお話ししたでしょう?」

 

 

 特に感慨のない声で、死神は言った。 

 

  

「この戦いは一対一じゃない。――二対二ですわ」 

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