表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Tír na nÓg 〜ティル・ナ・ノーグ〜  作者: 佐藤つかさ
第二章 承
77/222

7-6

 騎士の剣と死神の刃。

 人知を超えた速度で大気を割り、叩き合い、火花をまき散らす。

 まるでフェンシングのごとく、必殺の一撃を叩きこむ一瞬を互いに探りながら、剣先同士で打ち合っている。

 軽さで優るリリアーヌの剣が、鈍色にびいろの突風となってアイリスに襲い掛かった。

 

 

 だが、

 

 

 気合一閃! アイリスが振り下ろした一撃が、リリアーヌのショートソードを粉砕する!

 

 リリアーヌは使い物にならなくなった剣を二本とも投げ捨て、一瞬だけ思案する。

 

(アイリスの方が剣技に分がある。騎士としての経験――いえ、費やしてきた情熱の差ですわね)

  

 だが手にした武器が砕ければ、また別の武器を拾えばいい。それも砕ければまた次。その次も――

 

 そうしてアイリスとリリアーヌの演武えんぶは続き、花畑に転がっているのが突き刺さった剣よりも、砕けたそれの方が勝り始めた頃、勝負の流れが変わりつつあった。

 


(あの人との“契約”もありますし、ここはしかけてみましょう)

 

  

「終わらせますわ」

 大気を割るリリアーヌの斬撃は、明らかにこれまでのものとは異なっていた。

 

 四方八方、全方位から降り注ぐ白銀の暴風雨。

 

 流麗で無駄のない、それでいて重たい剣がアイリスめがけて降りかかる!

 

「何、よ。……これっ!」 

 

 さしものアイリスも驚愕に対処が遅れてしまう。受けきれない分はかろうじて躱すも、リリアーヌの剣はさらにスピードを上げて、アイリスを容赦なく削り取っていく。

 

「アイリス・リベルテ。貴女の敗因はその視野の狭さです。この戦いは一対一ではありません」

 

 金属の突風が吹き荒れる中でリリアーヌがささやいてくる。

 それがアイリスの神経を逆なでした。

 

「……っ! 負け惜しみは見苦しいんじゃないっ!」

 

 跳ね上げた剣先がリリアーヌの剣をとらえた。いかに早いといえど、リリアーヌの剣はたった一本。それさえ止めれば嵐は止む。

 

 主の手を離れた剣はひゅんひゅんと回って宙を舞い、花畑に刺さって動かなくなった。

 

 それはアイリスの絶対勝利だった。

 はずだった・・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ