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土着信仰において魂は頭に宿る。
では17年の思い出はすべてデータとなって頭に蓄積しているはずだ。アイリスはそれを“精神の宮殿”と呼んでいる。
外界の情報――人の声。鳥の囀り、ありとあらゆる生活音など、さらには他人の思念――をすべてシャットアウトして、自らの心を無限情報の海へとダイブさせる。そして思い出の中から真実をつかむのだ。
熟考するときは、いつもそうしてきた。
父の死。――今は関係ない。
母の自殺。――それも今は関係ない。
妹は今どうしているだろう。――大事だけど、それは後で思いにふけろう。
情報を整理しろ。子供のころ遊んだ積木細工みたいに。
考えろ。
今は第八師団に支援は求められない。アイリスは今謹慎中だ。
考えろ。
後輩の――だけど立場上義兄でもある――アレイオンに相談する? ダメだ。人のいい彼はすぐ上司に報告する。あの上司が真面目に捜査するわけがない。
考えろ。
別の師団に要請するなら? 爆破テロを止めれば点数稼ぎになる。引き受ける騎士はいるだろう。交流会、合同演習……何でもいい。頼りになる騎士を引っ張り出してリストアップしろ。
考えろ。
そうだ、第十師団に野心的な騎士がいたはずだ。
何よりも――あそこには“あの人”がいる――
思い出して。
アイリス、この世には死ぬより恐れるものがある。それはな――
お父さんの言葉。
時間だ。




