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The Tír na nÓg 〜ティル・ナ・ノーグ〜  作者: 佐藤つかさ
第二章 承
102/222

8-6

【ゲストキャラクター】

キャンディス (Candice)

creator: 美羽さん

登場作品:a piece of applecake(https://ncode.syosetu.com/n5213bd/)長月マコトさん著

 ふと、エドゥアルトはある疑問を抱く。

 

 どうしてユリシーズはこんな話をしているのだろうか。

 

 エドゥアルトの知っているユリシーズはもっと気分屋で、魔法だの神だのといった哲学を語るような性分キャラではない。断じて。

 

 では何か裏があると勘繰るのが、デスクワークに生きる者の悲しいサガだ。

 

 だがその答えは思いがけぬ方向からやってきた。

 


「エ・ディ・さん?」

  

 

 聞きなれた声が背後から突き刺さる。

 

 カウンターとエドゥアルトの背中にのしかかる影が、重い。


 ユリシーズの方を見てみれば、誰かを呼ぶかのように片手を上げていた。まるで最初から打ち合わせでもしていたかのように。

 

 ゆっくりと、ぎこちない動きでエドゥアルトは背後を振り返る。正直振り返りたくないが、振り返らないと、もっとひどくなることを知っていた。

 

 

「よ、よお……キャンディス」

 

 

 そこには長い髪を几帳面に結いまとめ、飾り気のない、だけど生真面目な格好の女性がそこに居た。少なくとも、富豪や貴族ばかりのプルミエールにおいて、彼女の存在は浮いていた。

 そこそこの美人ではあるのだが、今は殺気を振りまき、眉間にくっきりと縦皺を浮かべ、しかも仁王立ちしていた。明らかに怒っている。()()()()()()

 

「役所のお金を使いこんで何してるんですか? 特別顧問なんて名目まで勝手に作って」

 

 彼女の口調はあくまで冷静で静かだった。大体の経験で、そういう時こそガチでヤバいレベルでぶちキレているという事実を、32年の人生でエドゥアルトはよく――彼女と組むようになってからは特に――思い知っていた。

 

「いや待てキャンディス。これには深い理由があるんだ。それこそクラーケンの住処よりも深い理由が――」

 

 ふと思い出す。

 どうしてまだこのカウンターに自分がいるのか。どうして早々に撤退しなかった――否、できなかったのか。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()

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