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「…っ、行くな…行かないでくれ…!!」
そんな悲痛な叫び声が聞こえる。
声の方向に視線を向けたディーナは、それが普段の余裕さからは想像できないあのラジェイア公爵の声だと気付いた。気性の荒い船員たちに殴られながらも、必死にその場で頭を下げるラジェイア公爵。
(本当にこのまま計画を実行していいのか?)
ディーナはラジェイア公爵の姿に罪悪感がいっぱいになり、自分の気持ちが揺らぐような気がしていた。
「ディーナ、船内に行こう」
そんな中、トラヴィスの方はディーナを気遣うようにして声を掛けてくれた。彼の言葉にもう一度、自分の中できちんと考えをまとめるディーナ。
(ラジェイア公爵ときちんと対等になるためには、仕方のないことよ)
そうして、ディーナも船内へと足を向ける。
…そんなときだった。
「ふぇ…ふぇえ…」
それは驚くほどにか弱い泣き声であり、ずっとずっと出会った頃から一度も泣くことがなかったその子が、ディーナの胸元で小さく泣き始めた。
ぴたりとディーナの足が止まり、胸元で泣く赤子と目を合わせる。まだ生まれたばかりの小さな子。けれど彼自身が選択をしているように思えて、ディーナはトラヴィスに謝罪を告げることにした。
「あの人の元へ行きましょう」
ディーナはそのまま足早に船を降りることにした。船員たちに謝罪を告げ、ディーナは慌てて追ってくるトラヴィスと共に船を降りたのだった。




