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それは、久しぶりに教会で行われたお茶会の日だった。
上の子たちはすっかりトラヴィスに懐いており、彼が話してくれる様々な隣国の話や美味しいお菓子に夢中になっていた。次男であるフィンのほうは同じ神父を目指したいという夢まで語っている程である。
「ディーナ、少しだけいい?」
そんな楽しいお茶会の中、ディーナはどこかぎくしゃくとしたジュールに呼び出されることになった。ジュールの緊張したような、言い出しづらそうにする表情には覚えがある。
(…今度は何かしら?賭け事?でも…最近は夜遊びはしていないわよね)
いつだって問題を起こした後の彼はそんな表情だった。
基本的には側に付いていたハワードが事情を知っているために、ディーナにはハワードの方から先にトラブルの内容が入ってくる。ジュールが自分でトラブルについて打ち明けてくるのは、自分じゃどうしようもなくなって困ったときだけ。
「私は何を手伝えばいいの?」
もう何度、彼にこう問いかけただろう。
慣れ切ったそんな言葉を告げたディーナだったが、ジュールに手を引かれるようにして連れられたのはすっかり見慣れた場所だった。
体調がおかしくなって、それをきっと夫を不幸にした自分への神の怒りだと感じて神に祈りを捧げていたディーナ。そんな場所にジュールに手を引かれてやってきたのである。
「これを…受け取って欲しい」
ジュールがそんな言葉と共に取り出したのは見慣れた小箱であり、中には息子であるエルドに預けていたはずの結婚指輪があった。
(…あ、忘れていたわ…)
ずっと前にエルドに指輪を預けて、今、自分の左手の薬指には子供たちが選んでくれた指輪があった。箱に入っているのは、侯爵家に代々伝わってきた大きくて指に付けるだけでも重たい宝石のついた指輪である。
それをまるで、プロポーズのようにして片膝を付きながら渡してくるジュール。ディーナは彼の緊張している理由がこれだと分かって、一瞬にして彼へと愛おしさが溢れた。
「今更、私に愛を誓うのですか?」
からかうようにしてそう告げたディーナ。
困ったようなジュールの表情にやっぱり胸がいっぱいになって、ディーナは彼から指輪を受け取る。そうして薬指には、重たい指輪が輝くことになるのだった。
ディーナとジュールを元通りに夫婦として納めて、一旦このお話は終わりです。
本当はジュールなんか捨ててラジェイア公爵に乗り換える展開が書きたかったのですが…どうしてこんなことに!
ハワードの過去とか、ラジェイア公爵のお姉さまとか、行方不明の王子とか…実はトラヴィスが隣国に繋がりがあったりとか、ベルのその後とか…
そんなこともいつか描いていきたいのですが、まったく下書きが終わっていません。
暫くはこちらの誤字やおかしな描写などを直しつつ、のんびりと番外編を描いていきたいです!
反応嬉しいです。いつもありがとうございます。
章のタイトルの頭文字を集めると意味が出てくるのは、私の悪い癖です。




