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ディーナはハワードから受け取った調査報告書を読んだ後、すぐに馬車に乗り込もうと動き出す。頭の中はまだ混乱したままであるものの…自分のお腹にもまだ幼い子がいることからも、この子に顔向けできる自分でありたいと思っていた。
そのためには…ジュールが抱えている赤子を見過ごすことが出来ないだろう。
「っ、待ってください!」
しかし、ディーナは馬車に乗り込む寸前にトラヴィスによって腕を引かれる。バランスを崩したディーナはトラヴィスによって後ろから抱きしめる形で抱きとめられ…そのまま離してはもらえなかった。
「神父様…?」
「ハワードという男性からある程度、事情は聞きました。…ただ、貴方が危険を冒してまで行く場所ではないように思います。僕が赤子だけを助けてきます。それでいいじゃないですか…」
トラヴィスの言葉から、彼が自分のことを案じてくれているのだろうと理解する。しかし、ディーナは頷くことができなかった。
「…ごめんなさい。この問題は私が関わるべきだと思うんです」
ディーナはそっと自分のお腹に触れ、もう片方の手で馬車の手すりに捕まる。他にも多くの視線がある中で神父であるトラヴィスに抱きしめられたままでいるわけにはいかない。
ディーナはわざと周囲にも聞こえるように、少し焦った素振りをしながら「危ないところを支えていただき、ありがとうございます」と告げた。
「…いえ、僕の方こそ誤解されるようなことを、すみません」
ディーナの態度にトラヴィスも周囲からの視線に気付いたようだった。彼が目を伏せるようにしてきゅっと唇を噛むのが分かる。すると、少し遠くから様子を見ていた様子のハワードが近くに寄ってきて、神父に変わってディーナをエスコートして馬車に乗せてくれた。
「行きましょう」
ハワードが御者に声を掛け、馬車の扉が閉められる。そうして馬車は次第に教会から離れていくのだった。




