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ここから中庭までどれだけ離れているだろう。
赤子の視力はそれほど良くはないと聞いたことからも、きっと自分と目が合ったのではないと分かったルチアだが、そんな赤子がまるでルチアたちを見ているかのようにして手を伸ばしてきたことに驚いた。
「やべ、隠れろ!!」
そう声を掛けたのは隣で状況を見ていたシリルであり、窓を慌てて占めるとルチアを隠すようにして抱きしめた。彼もまた、デリックとこの場で顔を合わせれば面倒なことになると理解しているようだった。
「はは、騒ぎになりそうだな」
どこか他人事のようにそう口にするミリウスは、笑いながらも目の前のスケッチを続けていく。彼が絵を描くペンの音のほか、聞こえてきたのは誰かが慌ててこちらに駆けてくるような足音だった。
「ルチア…どう言い訳する?」
「どうしましょう、あの子色々と面倒な性格だから」
そう話すルチアだったが、シリルと顔を合わせるとどうしてか笑みが湧きあがってきてしまう。きっとこの場には、焦った様子でデリックが駆け込んでくるだろう。
どんな言い訳も通じないはずで、この場にいる全員が彼によって色々と小言を言われるはずなのだ。
それなのに、今はどうだっていいと感じてしまう。
「私、デリックに懐いているっていう赤子に会ってみたいわ。どんな子なのかしら」
「あぁ、俺も同じ気持ち。あんな小さなうちから、デリックを気に入るなんてセンスがある子だろうな」
ルチアが王家に伝わる瞳を持ったテオと出会うのは、もう少し先のお話。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
スピンオフは本編よりも短くしようと考えていたのですが、思ったよりも長くなってしまったのでここで一旦切っています。
テオとルチアが出会った後の構想は全くないため、今はまだ書いていくことはないかと思います。ただ、いつかルチアが真実を知る展開は描きたいなぁと思っています。拗れそうですが…。
スピンオフは駆け足気味だったこともあり、あちこち修正しつつこちらは一旦完結です。
2026/11/06 完結




