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第十九話

 翌朝、黄華が大登の住むワンルームマンションへ来て引っ越しの準備を手伝おうとしたが、ほぼほぼ大登が荷物をまとめていたから黄華の仕事はほとんど無かった。

 仕方が無いので大登が大学へ行って講義を受けたり、その後にアルバイトへ行っている間、黄華は近所のスーパーへ行って食材を揃え、夕食を作って大登の帰宅を待っていた。

 一方、大登は昨夜と同じで近所の飲食店へ行って夕食を摂るつもりだった。

 帰宅して黄華が夕食を作っていたので驚いていた。

 夕食を終えて後片付けをしたら遅い時間になる。

 マンションの一階にあるささやかなエントランスまで来てから大登は「送っていこうか?」と黄華へ投げ掛ける。

 夜道を女性一人で歩くことが心配になって大登は言ったのだが、黄華は「大丈夫!」と笑顔で答えて帰って行った。

「途中まではバスだし、大丈夫か」

 少しだけ不安もあったが、「治安の良い街だから」と自分に言い聞かせて部屋へと戻った。

 そして迎えた引っ越し当日、朝から黄華が来る。そこへ祖母が橙子を連れて来るが、引っ越しの準備が終わっているので引越業者が来るまで四人でお茶を飲みながら待つこととなった。

午前十時過ぎに引越業者が到着して家財の搬出が始まるが、大登一人分の荷物だからあっさりと終わってしまう。

 先に祖母と黄華がアパートへと向かい、大登は部屋の中に忘れ物が無いか、最後の確認をしてから部屋の鍵を不動産屋へ返し、一年少々お世話になったワンルームマンションを離れた。

 大登と橙子の二人が遅れてアパートへ着いた時には荷物の搬入も半分が終わっていた。

 家財の搬入が終わり、最寄りのコンビニでおにぎりなどを購入して簡単に昼食を済ませて引っ越しの片付けを進めていくと午後三時までには大方片付いた。

「なんか、あっさりしているなぁ……」

 思っていたよりも早く片付いたから大登は引っ越しが終わったという実感が湧かない。

 橙子と黄華が段ボール箱を開梱して行き、大登は置き場所を指示するだけだった。

 それは祖母も同じだったようで「お茶でも飲んでから、帰りましょうか」と橙子に話し掛けている。

「そうですね」

 橙子が笑顔で答える。

「近所に良い喫茶店があるんですよ。行きましょうよ」

 黄華が一昨日の夜に利用した喫茶店について話し、祖母が「そのお店に行きましょう」と興味を持ったのでその喫茶店へ移動し、小一時間ほどお茶の時間を楽しんでから解散となった。

 祖母と橙子を見送った後、大登と黄華は近所のスーパーで夕食の食材を買いに出かけた。

「今晩、何か食べたい物は有りますか?」

 黄華に尋ねられても大登は何も思い付かない。ほとんど身体を動かしていないからお腹もすかないし、明日は午後からアルバイト、午前中に予定は入っていない。こういう時、空腹を感じてから近所のコンビニに行き、お弁当を買うか、おにぎりやカップ麺を買って腹を満たしてきた。だから今、黄華に尋ねられても「……思い付きません」としか答えることが出来無い。

「お腹、すいてない?」

 黄華が大登の顔をのぞき込むように尋ねる。

「うん」

 大登は正直に答える。

「う~ん……」

 黄華、いくつものメニューが頭の中を駆け巡る。

「サンドウィッチとか、いかがでしょう?」

 黄華に言われて大登も「それなら、食べれるかも」と答える。

 二人で食パンやハム、チーズ、レタス、トマト、キュウリなどを買って帰り、黄華がサンドウィッチを作る。

 好みの味だったこともあり、大登は自分で思っていたよりも多く食べていた。作った黄華にしれ見れば大登が「美味しい、美味しい」と言ったことが嬉しかった。

 こうしてバタバタとした一日が終わり、大登は自室のベッドへと入ったのだが、そこで改めて思った。

「これって、いわゆる同棲とかでは無いか?」

 黄華、大登と同い年に見えるし、事情を知らない人が見れば金髪美人と同棲していると勘違いされるだろう。そう言う事を思いつつ、満腹な大登はいつの間にか眠っていた。

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