第十一話
また目が覚める。
カーテンの隙間から光が入っている。
夜が明けたことはわかる。
枕元へ置いていたスマホで時間を確かめる。「八時……」
ほぼ八時だった。
大登は二度寝しようともう一度掛け布団を頭からかぶったが、眠れそうになかったので布団から出てとりあえず一階へ行くこととした。
廊下へ出ると早速、茜と菫に会う。
「おはよう、大登君」
茜が元気良く挨拶してくるが、菫は少しだけ茜の後ろへ隠れるような感じだ。
「おはよう、茜さん、菫さん」
大登も挨拶したが、寝起きで元気は無い。
「もう少し寝てたら良かったのに」
茜に言われて「二度寝しようと思ったんですが……」と正直に大登は答えていた。
「朝ご飯、食べれるの?」
茜は聞いてくるが、大登は首を横に振ってまだ満腹なことを伝えてみる。
茜は「うんうん」と頷きながら「そうだよねぇ、あの量だもん」と言う。
「大登、起きてるの?」
階下から祖母の声が聞こえる。
「起きてるよ」
大登が階下へ向けて答えると「降りておいでぇ」と祖母の声がする。
丁度、階下へ行こうとしていた大登、そのまま階段を降りて一階へ行くと廊下に立っていた祖母が「御茶を淹れるけど、飲む?」と尋ねて頷く大登に「朝ご飯は入らないわよねぇ」と祖母は言って「お昼も入るかしら」と続ける。
今の処、大登はまだ満腹であるから「さぁ……」としか答えられない。
昨夜の唐揚げを温め直して昼食のおかずとして提供されるのはなんとなく想像できるが、今の大登は脂っこいものでは無く、あっさりした物が食べたいと考えていた。
台所に入ると黄華が食器を洗っている。朝食の後片付けと言ったところだろうか。
祖父と青良、藍良、橙子、緑香の四人が居ない。
姿は見えないが、家のどこかにいるのだろうぐらいで大登は気にしていなかったが、祖母から祖父が裏の畑で作業していること、橙子が手伝っていること、青良と藍良は洗濯していて緑香はつい先程、寝室へ入ったと教えて貰った。
「緑香さんが夜型って言うのが、意外だったよ」
大登がそう言うと「夜中に会ったんだよね」と黄華が言い、「日本に来てから、いつの間にか朝寝て、夕方に起きる生活になったんだよね」と話を続けた。
茜は「私たちは困らないけど」と言ってから「でも、なんか変な気分よね」と続ける。
「日本が合わなかったのかしら」
祖母がちょっと寂しそうに言うと「違いますって、いつも言ってるじゃないですか」と茜が真剣に否定してくる。
祖母が淹れてくれた温かい緑茶を飲みながら祖母と茜のやりとりを聞いていると黄華が「大登君、コーヒー飲む?」と聞いてきた。「そう言えば……」
大登は昨夜、タンブラーに入っていたコーヒーを半分ほど残していたことを思い出した。
「茜さん、昨日のコーヒー、残ってたと思うんだけど……」
茜に尋ねると「あれは、フローラが飲んだわよ。温め直して」と答える。
大登にしてみればコーヒーが捨てられずに済んで良かったと思うが、自分の替わりに緑香が飲む必要があったのか、そこは気になるところだった。
「飲みます、コーヒー」
大登は黄華の問いに答えた。




