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最終話 そして伝説の生活へ


 チョコ生産の準備をしたり、オーク君たちと街のゴミ拾いをしたりしながら半年が過ぎた。



 エルシアド発のチョコレートも最初こそ魔族に支配された街で生み出された不気味な食べ物として敬遠されたものの、

 怖いもの知らずの冒険者にタダで配ったりしてるうちに(くち)コミが広がり、今やあちこちの国から商人が買い付けにくるほどの人気商品となった。


 やっぱり人間、甘味には弱いみたい。

 疲れもとれる、気がするというのも人気の秘訣かしら。


 それにしてもすごい売れ行きだ。


 日本で言えば板チョコ1枚を500円で叩き売ってる計算なのにもかかわらず、商人1人で荷馬車いっぱいのチョコを買い取ってゆく。


 そして、そんな商人が1日20人はいるので単純計算で1ヶ月で荷馬車600台分のチョコを生産しなくてはならない。

 

 しかも需要はまだまだ伸びていきそうなのですよ、ありがたい事にね。



「そんな量、俺らだけで作れるワケがねぇぜ!?」



 と、パワーさんが人手が足りないと暴れだす前にエルシアドの領内にチョコレート工場を増やして、元奴隷の方々の就職先がどんどん決まっていった。



 このチョコ大量増産大作戦により街の景気は潤った。


 カサカサの乾燥肌に保湿クリームをたっぷり塗りたくって10代のぴゅあぴゅあなお肌を取り戻した!ってくらい潤いましたよ、ええ。



 利益が出た分、元奴隷や元ホームレスの人たちには充分な報酬を支払い、彼らは住処を手に入れ、清潔な衣服を身に纏い、毎日、店で外食を楽しむ。


 するとそのお金が食料品店や雑貨屋に巡り、もうこの時点でアレクサンドラさんが領主をやってた頃より街全体が遥かに裕福になった。

 


 「魔族には絶対に従わん!」とプリプリ怒ってたエルシアド兵のみなさんもどんどん豊かになっていく街の人々の暮らしを見て何故、自分達が怒っているのかよくわからなくなってきたらしい。


 魔族に従う不届きな街の人たちは額に汗して働き、その一方で自分達は毎日ふて腐れて家で暇をもて余している。


 生活に困らないよう私が兵士の家族には手当てを手配していたのでタダ飯食らいの穀潰し状態。


 

 そんなワケでそのうち、衛兵隊長さんが領主の館を尋ねてきた。



「一体、お前たちはなんなのだ? 力づくで街を支配したかと思えば今度は恵まれないものに職を与え、コボルトやオークたちは街の清掃にいそしんでいる。ハッキリ言ってすごくありがたいのが逆に不気味だ」


「そんな難しく考えないで下さいってば。持ちつ持たれつ。この街が潤った分、単純に私たちも儲かるしウィンウィンな関係ってヤツですよ」


「それでは……その流れに我々、衛兵隊も乗るにはどうしたらいいだろうか?」



 乗るしかねえ! このビッグウェイブに!!


 という心持ちで衛兵さんが協力してくれる事になったので、オーク君たちと一緒に街の外にいる野盗とかならず者たちをとっ捕まえてもらう事にした。



 旅の道中の安全が約束出来れば、行商人も気軽にエルシアドへ足を運んでくれるだろう。




 かくして一時は経済から取り残され滅亡都市になりかけたエルシアドも「ちょっと怖いけど大きなチャンスがある交易都市」という扱いで生き残ることが出来そうでよかったよかったパーティをささやかながらイベっちと開催した。


 領主の館のバルコニーにて街の夜景を眺めながらイベっちと祝杯をあげる。



「いやー、こんなにうまく行くとはな! 異世界転移ビジネスって最高だぜ」


 イベっちは浴びるようにブドウジュースを飲みつつ、自身が打ち立てたチョコビジネスが大成功してご満悦だ。


 私たちの世界にあってコッチの世界には無く、かつ再現可能なものを売りさばくという転売屋みたいな仕事が彼女の性にあっていたらしい。


 チョコに関してはもうエッチさんに仕切らせて、自身は新たに儲かりそうなビジネスの準備を始めている。


 さしあたって次に広めようと力を入れているのは「ゴルフ」だ。



 なぜよりによってゴルフなのかというと貴族のご機嫌とりが関係している。


 魔族によって街が支配されて周辺の貴族たちがエルシアドと手を切ろうとしたが、それは魔族が気にいらなかったのではなく、神様が貴族との膨大な接待費を削除したからというセコい理由だった。


 この世界の貴族の楽しみは限られており、基本的には税金をぶっぱなして酒池肉林のパーティでランチキ騒ぎをする事で領主と貴族の絆が固く結ばれていたようなのである。



 そこで私たちはなんとなく貴族っぽいスポーツ、ゴルフをとある領主に薦めてみた。


 ゴルフクラブなんかはコッチの鍛治屋さんに特注してね。


 最初は「こんなもののどこが面白いんだ」とむくれていた貴族様だったが、いわゆる接待ゴルフで褒めちぎったらすごい喜んでた。


 まぁ接待、というか単に私もゴルフ初心者で下手っぴだった説もあるけどそこは結果オーライということで。



 まともに上位魔族と戦って勝てるワケないのにゴルフならコテンパンに叩きのめせる、ということが貴族には新しい刺激になったらしい。



 そんな感じで今は私とモーさんが各地の貴族の元へゴルフ接待行脚をしている感じだ。


 今はあくまで私たちvs貴族だけど、貴族同士で金や土地の権利争奪の賭けゴルフをしているとチラホラと耳にするようになっている。


 広まるのは結構だけど、それで破滅する領主がいては良くないからね。

 あまりに大きな賭けをするのを禁ずる法律なんかも制定した方がいいのかも知れない。



 なんて、ビビりまくってた私もなんとかかんとか領主らしく勤める事が出来るようになったみたいですよ。


 まぁ、支えてくれるみんなのおかげですけどね、ホント。




 領主として手柄を立てたおかげか私のレベルは今や100近くまで上がっている。


 現実世界でもその影響力は如実に現れ、サクサクと各種、資格試験の勉強が捗っている。



 が。



 正直「がんばって今より良い暮らしがしたい!」欲はアッチの生活で充分満たされてしまった。


 それに元々勤めてた食品会社の事務職も、レベルアップした私にとってはなんか大人の知識をもったまま小学生に戻った的な感覚ですごい余裕しゃくしゃくで仕事が出来る。


 ニュースとか見てたら今からどんな食品が売れるか、それをどこで買い付けたら利益が多くでるかとかそういう経済の流れも分かるようになっちゃったんだよね。



 上司にそんな話をしてみたら、そのうち結構頼られるようになって事務職でありながら相談役みたいなポジションになって近々、派遣から正社員に採用されることになりそうな勢いだよ私。


 出来すぎだね、うひひ!



 だったらもう、異世界では領主としてがんばって、コッチの世界では慣れた職場でスローライフを送るのもいいのかなぁと思ってる。


 がんばれば弁護士の資格もとれそうなくらいアタマよくなったけど、別に弁護士に特別憧れたりしてるワケじゃないですし。



 

 などとのんびり構えてたら異世界では魔族からエルシアドを奪還しようとお隣の軍事国家が軍を動かすとか動かさないとかでモニョモニョしてるみたいで大変やっかいな事になりそうです。


 せっかくみんな笑顔な街になってきたのに余計なお世話だよね。


 イベっちの推測では魔族討伐とか大義名分をふりかざして合法的に領土を拡大する気なんだって。


 そういうのホントよくない!



 だけど、また、みんなで力を合わせてなんとかあんまりみんなケガしない方向でやってくつもりです。



 というワケでこれからその辺の対策を練らなきゃいけなくて忙しくなりそうなので私の異世界ブログ更新もしばらくお休みさせてもらうね。


 ブログ更新は滞ってても、ちゃんと魔王軍としてまだまだがんばっていくよ!



 私たちの冒険はこれからだ!

 (一回、言ってみたかったセリフ)




 おわり



というワケでいったんここで終了です。


本当は領主編もじっくり書いたり他の登場人物のその後も書きたかったけど正直ネタ切れです。

ネタというか、話と話をつなぐ面白トークな部分がガス欠気味というか。


もうちょっと他の人の作品を読んで勉強してきます!

ブックマークしてくれた方々、感想書いてくれた人々、とても快感を感じました。


ご愛読ありがとうございました!


それではまた、

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初から最後までとても楽しく読ませていただきました! 終わり方はスッキリしてて、初めから全体の構想を立てておかれたのかな?っても思いつつ、、(風呂敷広げすぎて途中で放置になる作品がやたら多…
感想一覧
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