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影の探偵  作者: 猫平
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副社長の為人



結局その後、警察は自殺、探偵は他殺の方向で調査を進めることに決まった。


なぜ警察には自殺の方面で調査をしてもらうのかというと、単に可能性があるからだ。雅臣は今回の件、ほぼ確実に他殺だと見ているが、万が一外れた場合に捜査が大きく遅れるというのも忍びない。


ふと部屋を出るとき、壁際のタイルの隙間に何か小さなものを見つけた。


ー………失敬。


手に拾ったそれを見ると、オレンジ色のビーズのようなものだった。反射的に誰も見てないのを確認すると…それをポケットにねじ込んだ。そうして何食わぬ顔で葉山さんと副社長の先導に従ってエレベーターへ向かった。




エレベーター内の居心地の悪い空気に耐えかねたのか、友則は副社長のご機嫌を取り始めた。


「ん?そう言えば副社長、随分といいブレスレットをしていらっしゃるのですね。中々値が張るんじゃないですか?」


自然と全員の視線が副社長の腕に集まる。


急に話しかけてきた友則に少し驚きで目を剥きながらも副社長は答えた。


「ええ、まあ。そこそこの品ですよ。意外とお目が高いんですね、支倉先生。」


褒められて少し調子に乗っているように見える友則は副社長に対してお世辞を雨のように降らしている。


そんな中、葉山さんが先ほど副社長の腕を見て少し表情を変えたのを見ていた雅臣が新たな質問を場に提示する。


「…どうしたんですか?葉山さん。副社長のブレスレットに何か。」


本人としてはさほど顔に出していないつもりだったのだろう。急に話を振られて少ししどろもどろしながら葉山さんが答えた。


「い、いえ、そんな、特には何も。ただ、以前と少し違うような気がして。」


葉山さんの指摘に副社長は少し残念そうな顔をした。


「ええ、壊れてしまいまして。長年愛用していただけに少し寂しいですね。」


雅臣はなぜか、この副社長を冷酷で者に対する愛着などないような人だと思っていたので、少なからず驚いた。人は見かけによらないものだ。


ようやく一階に着いたベルが鳴り、そのまま副社長とはそこで別れた。その後、受付まで案内してくれた葉山さんに礼を言って、三人はオフィスを後にした。


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