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影の探偵  作者: 猫平
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支倉友則の仮説



「今回の事件はおそらく他殺と見るべきでしょう。」


友則の前口上に、改めて葉山さんと永野刑事と副社長の3人は驚きを見せた。友則は続ける。


「まずそう考えた理由ですが、主に二つ。一つ目は葉山さんが仰った通り、理由がないからです。自殺というのはそれ相応の事情と覚悟がないとできません。聞いた話だと、最近それほど思い詰めた様子もなく、むしろ上機嫌だったとか。到底自殺なんてするような精神状態には思えません。」


葉山さんは同意を示す頷きを見せる。しかし浮かない顔の永野刑事が口を挟む。


「では事実上の密室の中どう殺害したのでしょう。」


友則は思わず苦笑を浮かべている。雅臣はまだそれを解決できていない。そもそもそれが分かっていれば事件は解決。世の中そう上手くはいってくれない。


「残念ながらそこはまだ何とも…少し時間をいただきます。二つ目の理由ですが、場所ですね。」


3人は怪訝(けげん)そうな顔で首を傾げる。友則は得意げに説明を続ける。少し演技に加えて本当のドヤ顔を浮かべている気がする。内容を指示しているのは雅臣であるのだが。


「不自然だと思いませんか?なぜ普段座る椅子の側ではなく、入り口の側に倒れていたのでしょう。」


「それはやはり、自分の死をアピールするためなのでは?それ自体が何かのメッセージだと考えると…。」


副社長がおそるおそるといった様子で意見を述べる。永野刑事も頷いている様子を見ると、警察から聞いた意見を代弁しているのだろう。


「そう、死をアピールすることが目的です。密室、指紋のない凶器、自分の腹を刺す体勢。これだけ条件が揃えば自殺だと思われるには十分でしょうね。それが犯人の狙いだと思えば、それも不自然ではないと思いませんか?」


友則の迫真の演技を見ながら、雅臣は心の中でほくそ笑む。いくらなんでも根拠がない詭弁(きべん)だとわかっているから。


案の定、永野刑事は簡単には引っかかってくれない。


「しかしそれもあくまで可能性の話で、そんなことを言い出したらキリがないんじゃ…」


「私もそう思います。しかし、そういう可能性が否定できない以上、我々には調査をする義務があると思っています。」


友則のあまりの熱弁に、予想に反して反論の声は上がらなかった。


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