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真・恋姫†無双-獣達の紡ぐ物語-  作者: わんこそば
第三章 戦乱の目覚め
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65話 空虚な殺戮者

すいません、お待たせしました。

気付けば一ヶ月。

色々とやってたらこんな時間過ぎているとは……

装甲車のストライカーが到着し、ファントム達が降りてくると、そこは異様な空間と化していた。

誰1人として戦ってはいなく、ボーッとある一点を見つめるのみ。

しかもその場に居る全員が同じところを見つめていた。

どうしたのか?とファントムは見つめる方向へと視線を合わせた。

そこに移るのは苦しみ、のたうち回るソラ。

そして、ソラと瓜二つのシエルが笑っていた。



「初めましてローンウルブズの隊長(ファントム)さん。僕はシエル。隻眼の死神だよ」



シエルはファントムの存在に気付くとニコニコとしながら名乗った。

ファントムが感じたのはソラ以上の不気味さ、触れれば死ぬと思うほどの殺意。

それよりも気になるのはソラが苦しむ姿である。



「何をした?」



苦しむソラを見たファントムは低く冷めた声でシエルを睨む。



「兄さんを戻そうとしてるだけさ」


「戻す?」



訳が分からないと言った顔のファントム。

そんなファントムにシエルはソラの事をまるで分かってないと言った顔で呆れた。



「兄さんは組織崩壊の日、色々と失った。家族のような兄弟、愛した者、死神の力、心、そして記憶。だから、僕が兄さんを元に戻す」


「それを空が望むとでも?」


「どうやら兄さんの力の凄さを知らないみたいだね」



一刀や優二、蜀の武将達やロイド達巨人の雷槌、一匹狼達がシエルに注目した。

シエルが持つソラの情報を聞き出すために辺りは静まり返っていた。



「良い?兄さんには色々な力がある。類稀な戦闘能力だけじゃ無い。人を支配する力……言い換えれば人を導く力や先を見通す力などなど……兄さんは革命家や支配者が持つような力を全て持っている」


「ほう、そりゃ凄い。で、それで何故お前達は空を欲しがる?」



ファントムだけは違った。

そんな情報は知っているといった顔でシエルから更に情報を聞き出そうとした。

いや、聞き出そうとするより時間を稼ぐような聞き方だった。



「反乱を受けるリスクを背負ってまで欲しがる理由は簡単さ。死神達は兄さんの完全復活を望んでいる。最強呼ばれる死神が復活すれば死神達は本来の力を発揮する。そうなれば世界をコントロールする事は容易となるのさ」


「何だ?まるでアニメみたいだな。悪の組織みたいに聞こえるぞ?」


「それは君達にも言えるよ。君自身もイギリス脱出の時に単身でS A S(イギリス軍特殊部隊)を屠ったと聞いているよ。同僚を数多く殺ったそうだね。

それこそ悪に見えるよ」


「一個小隊を単身撃破なんぞ、俺等からすると当たり前だ。それこそ俺でなくてもやってのけるぞ」


「それは君達が異常だからさ。普通じゃそんな事は出来ない。歴戦の兵士だって単身ならもう少し慎重に行動するよ」


「それを言われると耳が痛いな……だが、ソラを渡す訳にはいかん。こいつは最強の死神なんかじゃない。ローンウルブズのジャックだ」


「そう。なら、僕を止めれる?」


「やりたくも無いが、止めないとソラを連れて行くだろう」


「良く分かっているね。僕を止める方法は一つ。僕を倒せば良い。その武器は何のためにある?その強靭な体は何のためにある?それは人を殺すためのモノだろう?なら抗ってみせてよ。けど、そこリーダーさん以外は見ているだけのようだ」



シエルはファントム以外に対しても武器を握らせるように含んだ言い方をした。

気付けば全員が抜刀や銃を構えていた。

何故?と考えてる間もなくただシエルの異常な雰囲気に押されていた。



「それで良い。僕は英雄だろうと容赦はしない。この瞬間から覚悟出来ていない者、薄れた者から順に死んで行く……R.I.P-LSW/B06」



シエルは手を上にかざした。

何をするのか分からない行動だが、上空から弾丸のような速度で何かが降ってくる。

それをシエルは片手で受け止めた。

禍々しいほど真っ黒の鎌。

触れれば魂が持っていかれそうなほどその鎌は震えていた。



「これが僕達が使う武器の一つ。魂の支配者(ソウル・ドミネーター)。どんな物でも両断するこの鎌は容赦なく人の魂を奪う。防ぐ事も避ける事も不可能。じゃあ、行くよ……」


「イーグル今だ、やれ!」



「時間は十分稼いだ」とファントムがイーグルに無線で指示を出した。

その瞬間、シエルの体がビクンッ!と跳ねた。

強い衝撃でも喰らったかのように後方に吹き飛ぶ。

そして、ワンテンポを置いてズターンッ!と銃声が聞こえてきた。

だが、指示からのタイムラグ殆ど無い。

イーグルの未来予知に近い狙撃にローンウルブズ以外は呆気に取られていた。

だが、それで終わりでは無い。



「ローンウルブズ戦闘開始!敵対者を排除せよ」


《ラジャー》



無線から反応があるとソラ以外のローンウルブズ達はシエル方へ向けて銃撃を開始した。

銃弾が地面に当たり、土埃を上げシエルが見えなくなる。

それでも銃弾の雨は止まない。



「やったか?」


「ちょ⁉︎それフラグだから」



ドッグが言った事にヘルメスは笑いながら言い返した。

しかし、ドッグはヘルメスが何を言っているのか理解出来ずにいる。



「なんだそれ?」


「ゲームとかよく言われてるらしいぜ。因みに意味は知らん」


「死ぬまで撃てばいい話だな」


「じゃ、死なない場合はどうするの?」



返したのはヘルメスでは無かった。

土埃が晴れ、見渡しが良くなると聞き返したシエルの姿が見え始める。

あれだけ銃弾の雨を浴びたにも関わらずシエルは普通に立っていた。

体は土埃で汚れているものの傷一つ負って無い。



「僕に銃弾は効かないよ。弾道は全て見えてる」



そう言いながら鎌を高速で振り回す。

遠距離からの狙撃すら分かっているかのように全て叩き落としきった。



「これで最後っと。流石にこの人数相手には面倒だ……僕も数に頼るとするよ」



そう言うとシエルはパチンッ!と鳴らす。

すると、太陽を背に真っ黒の格好をした者達が次々に降ってきた。

パラシュートなど一切使わず地面に激突して、大量の土を巻き上げる。



「これが僕の仲間達。力は僕には及ばないものの隻眼の死神と呼ばれている者達さ」



降って来た者達はローンウルブズだけではなく蜀の主要メンバーや巨人の雷槌達すら囲み、武器を向けた。

この予想外の出来事にロイドは舌打ちをするも、直感で今動くと危ないと察知し、辺りを見渡す。

気付けば20名弱が射撃武器を向けていた。

一人一人から放つオーラは只者じゃ無いと感じさせ、武器は見た事も無い形を持つ射撃武器だった。

黒い者達はターゲットを品定めするかのようにジロジロと見つめた。



「リーダー。今回はこいつらですか?」


「やっていい?早くやろうよ」


「またぁ雑魚相手ぇー?もう飽きたよリーダー」


「ふっ、どう見ても雑魚共しかいない……」


「キャハッ!ねぇ、どこから捥いで欲しい?腕ぇ?足ぃ?腸でもいいよー、ギャハハハハッ!」


「別に私来なくても良かったんじゃない?この後予定あるから早くね……」


「骨のある奴は……いそうだな。精々楽しませろよ」


「あの女簡単に死にそうだね〜、捻ったらどんな声で鳴くんだろうね、アハハッ!」


「なら男は私が殺してアゲル。精々抗ってよね」



囲む者達の中から不気味な声が響く。

ある者は面倒臭そうに、ある者は殺戮を楽しむかのように……

不気味な殺意に一刀や優二、愛紗や星は背筋が凍りつきそうになった。

右眼だけが赤く輝き、言葉の端々から狂気とも感じ取れる程の悪意を感じる。

今動けば細切れになるんじゃ無いかと錯覚しそうだった。

しかし、それは一刀達だけじゃ無かった。

ロイドやカーチス、ロッタ、デイヴィッドとネロも同様に死神達に恐ろしい何かを感じていた。



「うっわ!何この敵、気持ち悪ッ!」



絶望的な状況にも関わらず、右眼だけが輝く者達を見てレインは何時ものような口ぶりで思ったことをそのまま口に出していた。

この緊張感のなさはレインだけでは無い。



「殺意の塊かよ。ソラよりも恐ろしいもん持ってんなー」


「うわー……やばそうっすね」



ファングやジョーカーは慣れたと言わんばかりに呆れた顔でシエルの部下達を見ていた。



「で、どうする隊長?流石にまずいんでねーの?」



バイパーに言われファントムは振り返った。

黒い者達はどんどん増えていく一方で、既数は40を超えていた。

しかし、同時にローンウルブズ達は戦闘準備万端でいつでも殺れるとオーラを放っていた。



「案外大丈夫そうだな」


「ソラ坊がブチギレたらあんな感じの殺意放っていたから慣れましたよ、ええ」


「確かに!って、ホーネットいつからそこに⁉︎」


「あのシエルって少年が現れた時には既に一緒でしたよ?」



レインに言われホーネットは失礼な……と言い返していた。

しかし、それが緊張感を解くのには十分だった。

それだけじゃ無い。

ローンウルブズの中にも怒りを露わにし、シエル達と同等の殺意を放つ者もいる。



「早く指示を出せ。怒りでどうにかなりそうだ」


「ああ、そうだな。本当にうちのガキ共は問題児しかいない。ロイド・パーカー!」



超が付くほど怒りを露わにしたゴーストに急かされファントムは旧友ロイドを呼んだ。

急に自分の名を叫ばれれば当然ロイドは黒い者達からファントムへと視線が移る。



「一時休戦だ。共通の敵を排除するぞ」


「相変わらずな奴だ。勝つこと前提で話しを進めるからな」


「勝たなきゃここで墓石を建てることになるぞ。死にたくなければ勝って帰る。それだけだ」


「良いだろう。乗ってやる」


「それと、ジャーヘッド。貴様も力を貸せ」



ロイド達巨人の雷槌の協力を半ば無理矢理取り付けるとその横のカーチスへと協力を求めた。



「俺だけ嫌と言う訳にはいか無いだろう?それにロイド達が協力するなら俺も協力する」


「北郷一刀!、久遠優二!、呂布!、関羽!、張飛!、趙雲!全力で空を守る。力を貸せ」



ファントムは答えは分かっていたと、カーチスが言い切ると直ぐ次に移っていた。



「分かりました!空の為なら」


「同じく力を貸すよ。空君の為だもん」


「……コクン」


「仕方ない。この趙子龍が助力いたそう」


「鈴々も力を貸すのだ!」


「この関雲長、全力で助力する!」


「よし、指示はこちらで出す。今回ばかりは本気で行くぞ。無茶苦茶な指示を出すつもりだ覚悟しろ」



全員の協力を得るとファントムはヘルメスに指示を出し、ヘルメスは無線装置をローンウルブズ以外全員に行き渡るように投げつけるような勢いで投げた。

それぞれが受け取ると慣れた手つきで一刀達が無線機を付けるのを見た愛紗、鈴々、星は見よう見まねで無線機を付けた。



「これで全員付けたな。分からん奴は使いながら慣れろ。今はそれだけだ」



一刀達にそう言うと、ファントムは無線機をいじりある場所に無線を飛ばした。



「こちらファントム。諸葛亮聞こえるか?」


《はわわわ⁉︎ き、聞こえてます!》



いきなり声が聞こえた事に驚く朱里。

同じように驚き声を上げている雛里や、「どうなってるのです?」と疑問を浮かべてる音々音の声が微かにマイクが拾っていた。

驚きながらも朱里はファントムに言われた通りに反応した。



「どうやら無線の使い方は分かったみたいだな。戦況が掴めんかも知れんがよく聞け。我々は今第3勢力の介入を受けた。前線は混乱、状況は芳しくない。前線を下げるように指示を出せ。劉備には自陣へ引くように伝えろ」


《は、はい!了解しました。こちらで指示を出します》



ファントムはそれだけをつたえると朱里達との無線を切断した。

しかし、直ぐに無線は鳴り響いた。

朱里達が再度かけてきたと思うが違った。



《こちらイーグル。状況が掴めない、敵はどいつだ?》


「黒服共だ。タイミングはこちらで出す。ストームにも伝えろ」


《了解した、隊長。指示がない場合はこちらで判断して撃つ。そのつもりで》



イーグルとの無線のやり取りを終えるとファントムは無線機のマイクから手を離し、自身の武器であるL85A2を構えた。

敵が戦闘態勢を整えていくのを確認したシエルは死神達に指示を出す為、手を挙げた。



「作戦会議は終わったかな?それそろ始めようか」


「総員戦闘態勢。来るぞ!」


「攻撃開始、あの者達を排除して」



シエルが手を下ろした瞬間から戦闘がはじまった。





戦闘が始まり、銃声や剣戟音などが響き辺りは喧騒としている。

ファントムが指示を飛ばしながら、死神に攻撃を加えようとしても死神達は真っ黒のローブをはためかせながらかなりの速度で動き回り全てを避けていった。



「北郷、久遠は3時方向を警戒しろ。来るぞ」



ファントムが一刀と優二に指示を出すと、その通りに死神2人が現れ、2人に攻撃を加えようとして来た。

先に警戒出来ていた一刀、優二の2人は死神2人へ剣戟を加えようとするが、攻撃を察知した死神は陽炎のように消えた。



「ジャーヘッド、4秒後に伏せろ。ジョーカー、ハルトマンはジャーヘッドに向けて射撃しろ」


「ロイド、真後ろから来る。少年2人で当たらせろ」


「イーグル!7秒後にレインを襲う黒服の1人の足を狙え」


「関羽、張飛は趙雲の援護。レイン、真正面からぶつかり時間を稼げ」


「ホーネット、ファングは9時方向の敵を撃て。ドック、ジョーカー方面の敵にロケット砲をかましてやれ」



ファントムの指示により隻眼の死神達の猛攻を防ぎきっている。

しかし攻撃は当たらない、もしくは弾かれてしまう。

が、それでも誰1人として怪我は負っていない。

それが死神達にはあり得ない事だった。



「チッ……なんなんだよアイツ。俺達の行動がわかるのか?」


「なんなの?焦れったい。リーダー。もう力使っていいわよね?」


「いいよ。君達の好きに動いて構わない。目標はただ一つ、邪魔な者の排除って事を忘れないでね」


加速(ブースト)モード』



シエルの忠告を聴き終えた死神達は皆同じ言葉を口にした。

その瞬間から死神達の放つ何かが変わった。

先程までいい勝負だったのが、死神達に流れが移り弄ばれ始めていた。



「ほら〜、捉えられるっかなー」


「こっちだ」


「どこを見ている?」



振り向いても振り向いても声は後ろから聞こえる。

どれだけ刀剣を振おうが残された残像を切り裂き、どれだけ銃弾をばら撒いても射抜くのは虚空だけ。



「サード、アハト、トゥエルブいいよ、始めて」



シエルが合図を出した途端、死神達はファントムや一刀、ロイド、カーチスなど集団の要となる者を潰しにかかった。

残像を残しながらあり得ない速度で主要メンバーにそこらへんに転がっていた大剣で攻撃する死神達。

それを恋、ゴースト、デイヴッド、ネロの4人が防ぐ。



「見えているのか恋⁉︎」


「……コクン」


「…見えているようだな」


「舐めてもらって困る。仮にもブラッド・ダイヤモンドに居た身だ」


「こっちも舐めてもらっちゃ困るネ」


「ああ、これぐらい日常だったんだ」


「さぁ、今だよアインツ。 あぶり出した、一気に焼き払え」


「はい、リーダー」


「「「「「ッな⁉︎」」」」」



死神アインツはロケット砲をあぶり出された計8人に目掛けてぶっ放した。

もう間に合わないと一刀は目を瞑った。

しかし、爆発は起こらない。

発射された砲を簡単に空中へと弾く者が1人。



「ここは……どこ?…君達は、誰?」



生気すら何も感じられないソラがそこに立っていた。





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