第14話 本気の勝負
私はスタートゲートと呼ばれる、狭い檻がいくつもつながって並んでいるところにいきました。18番と書いてあるところにいき、ハープウィンドやほかのウマの様子を観察して、みんなの真似をしてゲートの中に入りました。
後ろの扉が閉まると、前の扉がすぐに開きました。
ほかのウマが一気に飛び出していきました。
「ハル、もう始まってるよ!」
ハープウィンドが走りながら教えてくれたので、私は大慌てで走り出しました。どうも最後のウマがゲートインすると、すぐにレースが始まるようで、私がまさに最後のウマだったみたいです。
スタートは出遅れましたが、私はすぐに前を走っていたウマの集団に追いつきました。ハープウィンドの横について、しばらく一緒に走ることにしました。
「ちょっと! 走り出すタイミングくらい教えてよ」
「ゴメンゴメン、言う暇がなかったんだ」
そんなにペースは速くなかったので、私はしばらく息を整えることができました。
「あと斜めに走って、ほかのウマの邪魔をすると反則になるからね!」
ハープウィンドが走りながら教えてくれました。
(ふーん、じゃあ大回りして直線で真っ直ぐ走ればいいか)
と、私は頭の中でコース取りをシミュレートしました。
いつしかレースは直線からコーナーに差し掛かりました。そしてコーナーの出口が見えてきたところで、私は左前方に大きく踏み出しました。
「ハープウィンド、行くよ! ついてきて!」
ハープウィンドは私のコース取りに驚いたようでしたが、黙って私の後ろにつきました。
コーナーの出口で私は一気にスピードをあげました。スタンドから大歓声が聞こえました。
私とハープウィンドの二頭は、集団から大きく離れたコースを駆け抜け、あっという間に先頭に立ちました。
(やっぱりこのやり方が正解ね)
突然視界の端に、ほかのウマの姿が移りました。ハープウィンドが私に並んできたのです。
(え? 速い!)
けれどハープウィンドは私のことは視界にないようでした。目がキラキラと輝き、ハアハアと荒い息をたてながら、ただ前方だけを見つめています。
ゴールまで100メートルを切りました。
(まずい! このままだと負けちゃう!)
私はもう一段スピードを上げました。ブリンさんも私のお尻の横で鞭を振るって私の気持ちを後押ししてくれました。
けれどもハープウィンドは後退するどころかジリジリと前に進み、今では私とほぼ横一線というところまでやってきました。
そして私たちはほとんど同時にゴールラインを駆け抜けました。
ゴールした後、しばらくそのまま走っていきました。
息が落ち着いてきたので、バックスタンドの電光掲示板を見ると、「10」「18」の順に表示され、間に「ハナ」と表示されていました。
後で「ハナ」というのは二頭の間にウマの鼻の長さ分の差があった、つまりほんのちょっとの差しかなかったという意味だと教えてもらいました。
けど着順の番号を見て私が負けたことはすぐに分かりました。




